表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/18

熱の記憶(中学時代/凪、玲 現代/凪、残夏、司、雄星)

 風邪を引いた。

昨日、夜遅くまで窓を開けて星を見ていたせいかもしれない。


「こまったなぁ……。」


ぽつん、と静かな部屋に言葉が落ちる。

朝一で清治(きよはる)が面倒を見てくれたけど、仕事があってずっとはついていられない。


(れい)も出張みたいだし、お見舞いに来てくれる友達もいない。耳を澄ませてもなんの音も聞こえない空間。


なんだか、世界でひとりぼっちみたいだ。


 けほん、とひとつ咳をして、布団を頭の上まで引き上げる。

毎日嫌がらせをされる中学校より、今の方がずっと安全なのに、中学校の方が音に包まれていて恋しいなんて。


ーーううん、大丈夫。


大丈夫。

きっと風邪が治れば、またお外に行ける。

友達がいなくても、日の光が気持ちいい木陰(こかげ)で鳥の鳴き声を聞けば寂しくないから。


気だるい身体を丸めて、ぎゅっと目を瞑った。


 暑い。なんだか喉も渇いたし、身体も汗をかいて気持ち悪い。 

耐えられなくなってガバッと起き上がれば、すぐ隣で声が上がった。


(なぎ)、起きた?大丈夫?」


「……え、玲ちゃん?」


横を見れば、凪の机について玲が書類仕事をしていた。


なんで。

今日は出張って聞いてたのに。


「ふふ、早く終わったからね。……まだ熱あるね。服着替えよっか。毛布も厚いね。少し軽くしよう。はい、お水。飲んだら身体拭こうね。」


てきぱきと世話を焼いてくれる玲に、なんだか頬が熱い。


そっか、帰ってきてくれたんだ。

ずっと一緒にいてくれたんだ。

そっか、そっか。


「……玲ちゃん。」


「うん?」


すっかり快適になった布団に転がりながら、おそるおそる口を開く。


「手、つないでてくれる?」


そっと手を伸ばせば、くすりと笑う声と共に、暖かい手がしっかりと凪の手を包んだ。



 ぱちりと目を覚ます。

暑くて、喉が渇いて、身体が汗で気持ち悪い。

耐えられなくなってガバッと起き上がれば、すぐ隣で声が上がった。


「あ、凪!起きた?大丈夫?」


「……残夏(ざんか)くん。」


「俺たちもいるぞー。起きたんなら、ゼリー食う?」


「馬鹿もの!先ずは水分補給と着替えだ!」


見渡せば、凪の部屋なのに残夏たちがいる。


心配そうに覗き込んでくる残夏。

購買の袋からゼリーを取り出す雄星(ゆうせい)

そして、一番しっかりと指示を出す(つかさ)


わいわいと賑やかな様子に自然と笑みが溢れる。


「凪。水だよ。飲める?」


「うん、ありがとう。」


玲がいなくても寂しくなんかない。

玲が連れ出してくれた世界は、こんなにも幸せだから。


「……みんな。」


すっかり快適になった布団に転がりながら、口を開く。


「寝るまで、一緒にいてくれる?」


そっと尋ねれば、柔らかい笑みに包まれた。


「当たり前だよ。というか、今日はここで寝るから。起きても一緒だよ。」


「俺も。ゼリー欲しくなったらいつでも言ってな。色々買ってきたからさ。」


「心配せずに早く寝ろ!」


三者三様の答えに笑って目を閉じる。

手を繋がなくても、部屋の中は暖かかった。


読んでいただきありがとうございます。

ハグレモノ番外編第十六話はいかがでしたでしょうか?


久しぶりの高専組の話になります。

風邪の時って、なんだかすごく心細くなりますよね。少しだけ音がある方が寝付けるような気がします。

凪は少しずつ、親離れして、残夏たちと共に成長していくのだと思います。


次回は土曜日19:30頃に本編投稿予定です。

よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ