ゲーム(高専時代/同期4人)
「絶対アクションが良い!!」
「いや、ゲームはRPGだろ。」
「RPGは長いよ彰良……。シミュレーションなんてどう?」
土曜日の午後、玲の部屋で彰良たちは今日やるゲームについて、三者三様の意見をぶつけていた。
楽はアクション要素の高い格闘ゲーム。
四人でやるならこういうのが一番、といっているが楽があのゲームをやり込んでいることは周知の事実である。
彰良は王道RPG。
四人でやるというよりも、実際のグラフィックや世界観を見て楽しみたいのだろう。最近のものは映画のようだから見るだけでも満足感はある。
ただ、やっぱりゲームなのだから操作はしたい。
清治は都市開発のシミュレーションゲーム。清治らしく、四人で街を作ったらどうなるかが見てみたいらしい。
ただし、清治もこのゲームはやり込んでいて、時に口を出してくることを全員が分かっている。
そんな誰も譲らない空気の中、ついに三人は決定権を我関せずと見守っていた玲に託した。
誰のゲームが一番やりたいか。
いつも主体性のない玲に決めさせようというわけである。
しかし全員の期待を華麗に裏切るのが玲という人間の本質。
玲は決定権を渡されると、嬉しそうに笑って机の奥から、おどろおどろしいパッケージのゲームを取り出した。
「これやろう。俺、ホラー大好き。」
「ホラーかぁ……。」
「俺あんまり得意じゃねーな。」
「僕も苦手かも……。」
「?お前ら霊力あるのになんで?」
玲の疑問はその通りで、彼らにとって幽霊やら妖やらは日常のもの。
ましてやハグレモノという、明確に生命に関わる奴らを相手にしているのだから慣れていると言われればその通り。
ただ、逆に手の込んだ作り物こそ怖いというのが人間の機微である。
しかし玲はそんな事知りもしないとでもいうように、さっさとゲーム機を起動した。今日ばかりは三人の意見は聞いてもらえないらしい。
そして始まったホラーゲーム。
もちろん操作は玲で死んだら交代制。そのルールに渋々頷いた三人が当初予想していたよりも、ゲームはグラフィックは美しく、雰囲気も御伽噺のようなテイストで悪くはなかった。
しかし進んでいくにつれて、やはり不気味な効果音や敵キャラに緊張感は高まっていく。
そんな中、清治に操作を変わっていた玲の肩が小刻みに震えているのを彰良は見た。最初は怯えているのかと思ったが、どうやら笑っているらしい。
微かにふふ、と楽しそうな声が聞こえる。
そして物語は更に進み、今度は楽が操作をしていた。核心に触れるようなストーリーと難しくなっていくギミックに、強くなっていく敵キャラ。逃げるしか対抗手段の無い主人公に、自然と恐怖心が煽られていく。
そんな中、玲が楽しげに笑っているのに清治は気づいた。くすくすと、決して大きくはない声で控えめに、それでいて心底面白そうに笑っている。
物語の終盤、操作権は彰良にまわってきていた。
ラスボスは気色の悪い女の幽霊。首が伸び、手が伸び、迫力満点で追いかけてくる。
この頃には清治は涙目で、ある程度耐性のある楽も画面から少し引き気味、彰良はただ逃げ切る事だけを考えていた。
そして玲は、隠しきれなくなったのか笑い声をあげて彰良のプレイを楽しんでいた。もちろん、迷惑な声量では無かったがこの状況でかなり異質ではあった。
「おい、そいつ黙らせろ!集中できねぇ!!」
「玲!ちょっと落ち着いて!」
「玲、怖いよ……!」
楽が落ち着かせるように玲の肩に手を置き、清治が殆ど泣きながら画面と玲を見比べている。
彰良は最後のチェイスを早く終わらせようと躍起になり、そして。
「うわ!」
「……っ、」
「ひっ!!」
「あっはははは!!」
最大の恐怖ポイントで、玲の笑いは遂に決壊した。
床に倒れ込んで息もできずに笑い転げるのに、彰良が青い顔をする。
「おい!玲!息しろ!!」
「あはは、げほっ、は、あははは!!」
「落ち着いて!落ち着いて玲!!」
彰良と楽が二人がかりで落ち着かせて、玲の笑いはようやくおさまった。途中でほぼ過呼吸になっていたが。
ちなみに清治は怖くて普通に泣いた。
その後、玲は楽しかったと起き上がり、また新しいゲームを棚の奥から引っ張り出してきたが、彰良の、
「お前とはもう二度とホラーゲームはしない!」
という宣言に不思議そうに首を傾げていた。
もちろん、楽と清治も玲とは二度とホラーゲームをやるつもりはない。
(えーなんで?俺、笑うの我慢するよ?)
(お前が笑うのより、呼吸困難になるのが怖いんだよ……!)
読んでいただきありがとうございます。
ハグレモノ番外編第十一話はいかがでしたでしょうか?
皆さんゲームは好きですか?
私はホラーゲームがとても好きですね。でも下手のなので基本的に実況見てます。でも最近のはあんまり怖くないので、良いのをご存知の方がいましたら教えて欲しいです╰(*´︶`*)╯♡
次回は土曜日19:30頃に本編投稿予定です。
よろしくお願いします!




