5話
続きです。
ゴールデンウィークがもっと欲しい。
ピェェェ!!
ホーンラビットは奇声と共に、輝に突進をしてきた。輝は突進してきたホーンラビットを剣で防ぐ。
キンッッッ!!
固っ!なんていう固さだ。しかも威力も強…
輝はホーンラビットの突進を防ぎきれず、ダメージをくらった。
「ぐはっ!」
さっきのスリムより威力が高けぇ…それはそうかLv3だからな…
さらにもう一匹のホーンラビットの突進が来た。輝は防ぎきれないと判断し、回避した。
動きは速いが、俺の目で追えないほどではないな…
輝は態勢を立て直し、ホーンラビット二体に斬りかかっていった。
──だが。
シュンッ!!
寸前で輝の剣を躱し、突進をしてきた。
「なっ!?ごはっ!!」
輝は突進の反動で、吹っ飛んだ。かなりの大ダメージで、先ほどの突進攻撃よりはるかに威力大きかった。
「かはっ!はぁ…はぁ…」
輝はすぐに立ち上がり、ホーンラビットに再び斬りかかっていった。しかし、また躱され、返しに突進をしてきた。その攻撃を咄嗟に剣で防いだ。
キィンッッ!!!
重い!やばい…押される…
輝はこのままだとまたダメージをくらうと考え、ホーンラビットの突進を受け流す方向に切り替えた。
シュインッ!ドーン!
そこから輝は受け流した後にわずかなホーンラビットの隙を見て、斬撃を与えた。
「はあっ!」
ズシャッ!!
ピキャァ!
その斬撃は諸にホーンラビットの身体に当たった。すると、もう一体のホーンラビットがこちらに突進をしてきており、輝はバク転をして回避した。
やっと…一発ぶち込めた…アドリブでやった攻撃を受け流す…この技術を使えば、威力の高い攻撃にも対応できるな。
斬撃を入れられたホーンラビットはまだ、生きており、こちらの動きの様子を伺っているようであった。輝はさらに加速をつけて斬り込んでいくと、今度はホーンラビット二体が同時に突進をしてきた。
今度は二体同時かよ!受け流せるか…いや、やるしかないだろ…!
輝は全力で剣を振り、二体のホーンラビットの突進とぶつかり合った。
ガキィィン!!!
うおおおおお!!受け流せえ!!俺!!
輝はホーンラビット二体の攻撃を受け流し、一体目は後ろに吹っ飛び、二体目は地面に角が深く突き刺さった。
思わぬ結果に好機だと思った輝は地面に突き刺さったホーンラビットに斬撃を与えた。
ズシャンッ!!
ピエエエ!!!
ホーンラビットは斬撃を与えられ、消滅していった。
「はあ…はあ…一体目なんとか倒せたな…あと一体このまま押し切る」
輝は剣を構え、もう一体のホーンラビットを警戒した。すると、ホーンラビットは高くジャンプをして輝の頭をめがけて突進をしてきた。
そんな飛ぶのかよ…!
輝はあまりのホーンラビットのジャンプ力に慌てたが、すぐに切り替え、剣を降ろし、突進してくるホーンラビットの方をじっと見つめた。
輝とホーンラビットの距離が近づいた時────
ヒュンッ!ズドーン!
輝は寸前で躱し、突進の勢いでホーンラビットは地面に突き刺さった。その隙を逃さず、剣を振り上げ、ホーンラビットを斬った。
「おらっ!」
ズシャンッ!!
ホーンラビットは斬られ、消滅していった。
ふう…なんとか倒せたな…ダメージもかなりくらったし、回復薬飲んどくか。
輝は回復薬を飲むと、急に身体が楽になった。まるで、一晩ぐっすり熟睡して目覚めたような気分のように疲れも取れていた。
すごいな…回復薬…味もそこまでまずくないのに…
輝は回復薬をしまい、目の前のリザルト画面を確認した。
Result
魔法石×2
獲得ポイント 6
獲得賞金 800パール
なるほど、だいたいわかってきた。魔法石はモンスターの数の分だけドロップか…獲得賞金と獲得ポイントは魔物によって違うわけか。ホーンラビットは一体、3ポイントで、400パール…でかいな…これで俺のステータスをもっと強化できるわけだ。
輝はステータスを開いて、与えられたポイントをどのように振るかを考えた。とりあえず、defenceに2、attackに3、speedに1振った。
とりあえず、防御と攻撃を多めに振っておこう…それにしても、俺以外にこのダンジョン攻略している人っているのか…まあ、Lv1だし、そこまで攻略しようとは思わないか…
輝はそんなことを思いつつ、先へと進んでいった。進めば、進むほど木々や草木が生い茂りとても、進みづらい道が続いた。
この道で合ってるのか…
輝は進んでいくと、何か草むらでがさがさと黒い何かが動いているのが見えた。剣を抜き、警戒しながら、音を最小限にして、ゆっくりと進んでいく。
───そこにいたのは。
「う~ん、むにゃむにゃ…」
えっ…人間なのか…
輝が見た草むらの中でがさがさと動いていた正体は輝と同じ年齢のように見える少年がそこにぐっすりと寝ていた。身なりは黒の髪に青い布鎧を纏っていた。
とりあえず、起こしていいのか…
輝は無防備に寝ている少年を起こすため身体を揺すろうと触れた。
───その瞬間、触れようとした腕をがっちりと掴まれた。
なっ!!
「う~ん、何の用だよ~せっかく人が昼寝してたのによ~むにゃむにゃ…」
輝は腕を引きはがそうが、全くはがれなかった。
こいつ…なんていう…握力してんだ!
少年は立ち上がり、輝の方を見た。
「はっ!まさかマスターでありますか!?自分!新しく攻略者になった天川優翔です!このダンジョンでマスターに会えるとは光栄であります!」
「は?マスター?」
「さあ共にダンジョン探索の続きをしましょ~」
「ちょっと待て!マスターって誰のことだ」
「ご謙遜を!マスターは攻略者でも有名なSSランク 鋼滝荘司さんじゃないですか!」
「だから誰!?」
「鋼滝さんがいれば、こんなダンジョン余裕で攻略できますよ~」
「話を聞け!俺は鋼滝とかいう人じゃないんだ!」
天川は寝ぼけた目をこすりながら、輝の方をよく見た。
「はっ!マ、マスター…じゃない…誰だお前は」
「さっきからそう言ってるだろ!」
「いや~寝ぼけてて、見間違えちゃった~」
「そんなことある?っていうかなんでこんなところで寝てんだ」
「ん?なんでって…道中の魔物を倒して、疲れたから寝てただけだよ~」
ここは魔物が出るダンジョンなのによく寝れるな。でも、こいつ、結構強いのか…さっき、俺が触れる瞬間を寝ながら正確に掴んだ。しかも、引きはがせないほどに…
「ふぁ~そういえば、寝ぼけてて名前を言ったかどうか忘れたけど、自己紹介するよ~。僕の名前は天川優翔。協会に新しく登録したばかりのFランク攻略者だ。よろしく」
「ああ、よろしく。俺の名前は夜宮輝、お前と同じく登録したばかりの攻略者だ」
「おお、まさかの同じ新人仲間だ~。良ければ、ここから先は一緒にダンジョンを攻略しない?」
「ああ、もちろんだ。一人でこのダンジョンを攻略するのは不安だったからな」
「決まりだね。でも、僕は入るパーティを決めてるから、今回限りのパーティでいい?」
「ああ、分かった」
こういう展開は、これからもパーティを組もうみたいな展開のはずが…まあ、しょうがないか。
輝は天川とパーティを組み、先へと進んでいった。背ほどに伸びる草木をかき分けながら、進んでいくと開けた場所へ出た。
「また同じような開けた場所か…」
「どうやら、魔物が出るエリアはこのようなエリアところしか出てこないのかもしれないね」
「もしかして、最初からそんなことが分かっていてあんな草むらで寝ていたのか」
「ん?いや、ただ疲れて寝てただけだ。遠い田舎からここまで来て、登録した初日にダンジョンはいったからね~」
「そ、そうなんだ」
だとしても、疲れていたからってあんなボーボーの草むらの中で、寝ないだろ。これが異世界人の性みたいなものなのか。
輝と天川は開けた場所に足を踏み入れた。
──すると、目の前に一体の中型の魔物が現れた。その魔物の姿は全身が真っ黒に染まった巨大な犬であった。
中ボス Lv5 ブラックドック
「ちゅ、中ボス!?今までの魔物にはそんな表記なかったぞ」
「中ボスか…こいつは強そうだね」
輝と天川は驚きながらもそれぞれを剣を抜き、戦闘態勢に入った。
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