↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
4/8

4 メカノイドの正体 - 霧の中の機械

クラウズタウンの蒸気に覆われた裏通りは、まるで迷宮のようだ。

細い路地に絡み合うパイプからは熱い蒸気が漏れ、遠くで聞こえる歯車の低い音が不穏な響きを奏でている。

俺は「メカノイド」の隠れ家とされる場所に向かい、霧の中を進んでいた。


「こんな場所、本当に隠れ家なんてあるの?」

ハルが横を歩きながら念話を送ってくる。

声は軽いが、その尾はピンと張っており、警戒心を隠せていない。


「クロウの情報が正しければ、奴らはこの辺りで活動している。隠れるには絶好の場所だ」

俺は低く答えながら、足元に注意を払い続けた。

路地に敷かれた鉄板は時折音を立て、奥へ進むほど視界が悪くなっていく。


「見つけたぞ」

目の前に現れたのは、煙突が並ぶ廃工場だった。

建物の外壁には錆が広がり、窓は厚い鉄板で覆われている。

入り口の扉には、蒸気で動く複雑な錠前が設置されていた。


「ハル、少し静かにしていろ」

俺が呟くと、ハルは軽く頷き、周囲を見張るために隅に身を潜めた。

俺は扉の錠前に手を伸ばし、その仕組みを解読し始める。

「これは……圧力センサーか。簡単には開かないようになっているな」


扉の横に取り付けられたパイプを観察し、蒸気の流れを逆転させる。

錠前の内部で小さな歯車が音を立て、やがて低い振動と共に扉が開いた。


「すごいじゃん!さすがだね」

ハルが嬉しそうに念話を送るが、俺は手を振って制した。

「まだ気を抜くな。これからが本番だ」


工場の内部は暗く、蒸気が漂う中に巨大な機械の影が浮かび上がる。

中央には、歯車がいくつも重なり合った巨大な装置が据えられており、その周囲には金属製のゴーレムが立ち並んでいた。

「これが……メカノイドの拠点か」

俺は低く呟き、装置の構造を観察し始めた。


その時、影の中から人影が現れた。

「ようこそ、探偵さん」

低く響く声と共に現れたのは、黒いマントをまとった男だった。

その瞳には機械のような冷たさが宿り、その手には奇妙なデバイスが握られている。


「メカノイドの一員か?」

俺が問うと、男は笑みを浮かべて答えた。

「一員?いや、私はリーダーのヴァルターだ。この都市を蒸気と機械で支配する計画を進めている者だよ」


ヴァルターはゆっくりと歩きながら話を続けた。

「蒸気時計塔の事件は、その第一歩に過ぎない。オーガストの設計した『歯車の核』を利用すれば、この都市の時間を我々が握ることになる」

その言葉に、俺は冷静を装いながら答えた。

「だが、計画はまだ完成していないようだな。お前たちの装置も未完成に見える」


ヴァルターは肩をすくめ、装置の側に立った。

「だからこそ、君のような者が邪魔になる前に排除する必要がある」

彼がデバイスを操作すると、金属製のゴーレムが動き始めた。


ゴーレムたちは蒸気を噴き上げながら、一斉に俺に向かって襲いかかってきた。

「ハル、少し下がっていろ!」

俺は霊刃を抜き、ゴーレムの動きに集中する。


その動きは機械的でありながらも鋭く、僅かな隙を狙って攻撃を仕掛けてくる。

だが、蒸気機関を動力とするその構造には、明確な弱点があった。


「動力部を叩けば……」

俺はゴーレムの足元に潜り込み、その動力部に刃を突き立てた。

霊刃が蒸気のパイプを切断すると、ゴーレムは激しい音を立てて停止した。


戦いの末、ゴーレムが全て倒れた時、ヴァルターは苦笑いを浮かべながら姿を消した。

「さすがは名探偵。次はそう簡単にはいかないぞ」

彼の言葉が響き渡り、暗闇の中に消える。


俺はその場に残された装置を観察しながら呟いた。

「この装置が全ての鍵か……」

装置には、歯車の核をはめ込むための空洞が見えた。

「時間を操る……奴らは本気だな」


ハルが近づき、念話を送ってくる。

「嫌な感じ。次はどうするの?」

「まずはこの装置を調べる。そして奴らの次の動きを読むんだ」

俺は静かに答え、装置の調査を始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。