今思ったんだけど、人魚ってあれはモンスター扱いでいいの?
ヤイバといろいろ話をした後、ベーキウたちは宿に戻って寝ることにした。その翌日、ベーキウたちは宿のキッチンで朝食を食べていた。
「やっぱりリゾート地。朝日が眩しすぎるわ」
窓から照らされる太陽の日を浴び、シアンがこう言った。クーアはアイスコーヒーを飲み干し、ため息を吐いた。
「あぢー。冷たいものを飲んでもすぐにのどが渇く」
「そうね……魔界よりも熱い」
キトリは扇風機の風を浴びながらこう言った。ベーキウは額の汗をぬぐい、ヨーグルトを食べていた。そんな中、女性客がベーキウを見て歓喜の声を上げた。
「きゃー! すごいイケメンがいるわー!」
「やっぱりこのペンションに泊まってよかった! あんなイケメンに出会えるなんてね!」
女性客はベーキウに近付こうとしたのだが、シアンが女性客を睨んだ。
「はぁ、連れがいるのね」
「仕方ないわ。諦めて今日は人魚が出るって聞いた場所へ向かいましょう」
この言葉を聞き、シアンははっとした表情をした。
「ねぇ、人魚が出る場所ってどこ?」
いきなり質問をされたため、女性客は驚いた。ベーキウもいきなりシアンがこんなことを聞いたため、驚いた。
「シアン、どうしてそんなことを聞くんだ?」
「海のサファイアは海の奥深くにあるんでしょ? だったら、海に住んでいる人魚だったら何か知っているかもしれないわ」
シアンの言葉を聞いたクーアは、納得した表情をした。
「確かにそうじゃのう! たまにはいいことを思いつくではないか!」
「これでも勇者だからね」
と言って、シアンはどや顔をした。
数時間後、ベーキウたちは女性客から教えてもらった人魚が集まる場所にいた。そこは、リゾートから離れた浅瀬で、黄色いテープで進入禁止と書かれていた。
「入っちゃダメか。まぁ、危なそうだからな」
ベーキウはこう言ったが、シアンはテープをまたいで浅瀬へ行こうとした。あまりにも危険なため、ベーキウとキトリは慌ててシアンを止め、周囲を見回した。
「シアン、とりあえずここの管理者に事情を説明しないと」
「でも、早くしないとー!」
「慌ててもいいことはないぞ」
「ベーキウの言う通り。それじゃ、管理者のところへ行きましょう」
その後、ベーキウたちは浅瀬の管理者の元へ向かい、事情を話して何とか浅瀬に入ることを許可された。
「人魚は下半身が魚、上半身は人と言うモンスターです」
「え? モンスターなのか? おとぎ話とかでよく出てくるけど」
人魚がモンスターだと聞き、シアンは目を丸くして驚いた。管理者は小さく笑い、シアンにこう言った。
「一応モンスターって部類に入っておるぞ。まぁ、その辺は科学者がまだ言い争いをしているから、確実に決まったってわけじゃないけど。それよりも、人魚は気を付けた方がいい。イケメンを見たら、海の底へ連れて行ってしまうからな」
管理人はベーキウを見ながらこう言った。その言葉を聞いたシアンたちは、ベーキウを取り囲むようにしてこう言った。
「大丈夫です。連れ去ろうとしたら私たちが返り討ちにします!」
「人魚の下半身を叩き切って、焼き魚にしてやるわ!」
「ちょっと……えぐいことを言わないでよ」
シアンたちの言葉を聞き、管理人は笑った。
「こりゃーたくましいボディガードがいるねぇ。それなら安心だ」
その後、許可をもらったベーキウたちは、浅瀬へ入った。
「岩場がかなり尖っているな。足元に気を付けくれよ」
ベーキウの言葉を聞いたシアンたちは、返事をした。ベーキウが周囲を見回していると、不思議な波の音を耳にした。
あれは波が浅瀬に当たる音じゃない。何かが現れた時の音だ。
何者かが現れたと察し、ベーキウは急いでシアンたちを呼んだ。ベーキウの呼びかけで集まったシアンたちは、周囲を見回した。
「何かが上に上がったのね」
「もしかしたら人魚か? 初めて見るからワクワクするのー」
「ちょっと、あいつらは一応モンスターって部類だからね。そこんところ忘れないでよ」
「しっ、気配が近付いてきてる」
ベーキウたちは会話をしながら、何が現れたのか確認した。それは、下半身が魚で、上半身が貝殻ビキニの美しい女性だった。
「に……人魚……」
目の前に現れた人魚を見て、ベーキウは言葉を失った。シアンは近付こうとしたのだが、先に人魚がベーキウたちの気配を察して振り向いた。
「あ、気付かれた」
「まずい、逃げるかもしれん」
クーアがこう言ったのだが、その予想は大きく外れた。
「ん? うっひょォォォォォ! 私好みのイケメンがいるじゃない! 見ただけで卵産みそう!」
そう叫び、人魚はものすごい勢いではねながらベーキウに近付いた。人魚の狙いがベーキウだと察し、シアンが前に出て人魚を睨んだ。
「おい! そこのあばずれ人魚! 私のベーキウに手を出したら刺身にするわよ!」
「そこをどけ、色気のない小娘! 乳のないくせに私には向かうんじゃないわよ!」
「このビッチが! お前は下半身斬りまくって回転寿司のネタにさせてやらァァァァァ!」
怒りが爆発したシアンは、人魚に襲い掛かった。人魚は軽く息を吸い、声を発した。その声はかなりうるさく、シアンは耐え切れず耳を抑えた。
「あがァァァァァ! うるさァァァァァ!」
「人魚のことについて、いろいろと勉強をするのを忘れたのかい? 私たち人魚は声を武器にする! 惑わしたり、こうやって相手の動きを封じたりできるのよ!」
勝ち誇ったかのように人魚はこう言うと、耳を抑えているベーキウに近付いた。
「あっ! ヤベッ!」
「ヒャッハー! イケメンお持ち帰りー! これで長年の独身生活におさらばじゃー!」
ベーキウを連れた人魚は、嬉しそうにこう言った。だが、キトリが闇の弾丸を放ち、人魚に攻撃を仕掛けた。
「あっぶな! ちょっと、危ないわね! 尾びれに傷が付いたらどーすんのよ! 傷が完全に治るのに時間がかかるのよー!」
「うるさい人魚ね。とりあえず、半殺しにして捕まえましょう」
キトリの言葉を聞いた人魚の顔は青ざめ、クーアは笑みを浮かべた。
「その案に賛成じゃ! よっしゃ! それなら思う存分暴れられるのじゃ!」
と言って、クーアは魔力を開放して無数の風の刃を放ち、人魚に攻撃を仕掛けた。
「ビギャァァァァァ! ちょっとタンマ! 私、地上の上ではまともに戦えないのー!」
「知るかそんなこと! そもそも、地上に上がったお前が悪い! お前の運のなさを呪うのじゃな!」
動揺する人形に対し、クーアは下種な笑みを浮かべて攻撃を続けた。攻撃を避ける人魚だったが、ベーキウを抱えたまま逃げるため、かなり体力を消耗していた。
「あーもう、こうなったら仕方ないわ!」
人魚はベーキウをやさしくその場に置き、急いで海の中へ向かってジャンプした。
「チッ、逃げたか」
シアンは舌打ちをしながらこう言った。キトリはベーキウを助ける中、小さく呟いた。
「本来の目的って、人魚を捕まえて海のサファイアのことを聞くんだよね? なんか忘れてるような気がするけど」
「まぁいいじゃない。次に現れたら半殺しにして捕まえる!」
クーアがこう言った直後、再び海から何かが現れる音が聞こえた。
「まさか」
「あの人魚、仲間を連れてきたわね」
シアンはそう言って、目の前に現れた無数の人魚を睨んだ。
「きゃー! マジでイケメンじゃない!」
「うひひひひひ。あんなイケメンがそばにいたら毎日が発情期ね」
「やべ、卵産みそう」
「皆、とにかくあのちっこい連中をとっちめて、イケメンをゲットするわよォォォォォ!」
「うォォォォォ!」
人魚たちは威勢のいい声を上げ、シアンたちに襲い掛かった。
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