この戦いを終わらせる時
ユージロコたちは他のクローン戦士の相手を終え、ベーキウたちの元へ集まっていた。
「どうやら、あっちの方もそろそろ終わりそうね」
ユージロコはデレラの手によってボコボコにされる巨大なクローン戦士を見て、こう言った。バキコは笑みを浮かび、走り出した。
「一気に終わらせましょう! 大会を台無しにされたんだから、早くあいつを倒して黒幕にお灸をすえましょう!」
「バキコノ言ウ通リネ。マダ力ハ余ッテイルカラ、マダマダ戦エルワ」
「あんたたちはやる気あるわね。まぁ私は……あんたたち以上にやる気はあるからね!」
その後、ユージロコたちは走り出した。
ベーキウたちの治療をしていたキトリは、巨大なクローン戦士の動きが鈍くなっていることを察した。
「あいつ、かなり動きが鈍くなってきたわね」
「それじゃあ、そろそろこの戦いも終わるじゃろう」
話を聞いたクーアは、魔力を開放した。
「とっとと終わらせて黒幕を追いかけるぞ!」
と言って、クーアは周囲に無数の氷の刃を発した。シアンは呼吸をしながら立ち上がり、魔力を開放した。
「私が先に行くわ。あんたは私の動きに合わせて、氷の刃を動かして」
「ああ。手当が終わったばかりじゃから、派手に動くなよー」
「分かってるわよ」
シアンはクーアに言葉を返した後、剣と盾を持って巨大なクローン戦士に向かって走り出した。ベーキウとジャオウは同時に立ち上がり、魔力を開放した。
「俺たちも行くぞ!」
「ああ、倒れてばかりじゃいられない」
「じゃあ、私も付いて行くわね」
立ち上がったベーキウとジャオウを見て、キトリが近付いた。ベーキウは頷き、ジャオウはキトリを見てこう言った。
「無理そうだったら、離れていろよ」
「大丈夫だから心配しないで。で、あなたたちはどうするの?」
キトリはアルムとレリルを見てこう聞いた。アルムはナイフを手にし、戦う意思を見せた。レリルは周囲を見て、周りに人がいないことを知って声を出した。
「援護ぐらいしかできないけど」
「それで十分」
と言って、ベーキウはジャオウと一緒に走り出し、その後に続いてキトリたちも走り出した。
デレラは巨大なクローン戦士の左腕に向かって蹴りを放っていた。
「ほら! ほら! ほら! 早くどうにかしないとあなたの左腕がボロボロになりますわよー!」
そう言いながら、デレラは攻撃を続けていた。そんな中、巨大なクローン戦士は無理矢理体を動かし、デレラを落とした。
「あらまー。結構無理矢理なことをしますわねー」
落下中、デレラはこう言った。そんな中、バキコが声を上げながら巨大なクローン戦士の脇腹に飛び蹴りを放った。
「デレラお姉様! 今のうちに態勢を整えて!」
「ありがとうございます!」
デレラは体を回転させ、床の上に着地した。それに合わせるかのように、ジャクミが巨大なクローン戦士の左足に噛みついた。
「フン、ステーキヨリ柔ラカイワネ」
と言って、ジャクミは巨大なクローン戦士の左足の肉を噛みちぎり、吐き捨てた。その後、上からユージロコが巨大なクローン戦士の頭に向かって左足のかかとを落とした。
「ふん。やわな頭ね」
この攻撃によって、巨大なクローン戦士の頭は大きく変形した。攻撃を終えたユージロコは床に着地し、巨大なクローン戦士の動きを見た。
「頭が変形するくらいのダメージを与えたのに、まだまだ動くようね」
頭に大きな傷を受けた巨大なクローン戦士だったが、まだ動ける体力があった。そんな中、シアンが現れ、飛び上がって剣を振るった。
「どりゃァァァァァ!」
シアンが放つ無数の斬撃が、巨大なクローン戦士の体を傷付けた。攻撃を終えたシアンは巨大なクローン戦士の腹を蹴り、後ろに下がった。その後、クーアが放った氷の刃が巨大なクローン戦士の腹に突き刺さった。
「これで終わりだと思うなよ!」
クーアはそう言うと、雷の剣を作り、巨大なクローン戦士の腹を突き刺した。この勢いで、巨大なクローン戦士は倒れた。
「終わったか?」
倒れた巨大なクローン戦士を見て、クーアは小さく呟いた。シアンは巨大なクローン戦士が小さく声を上げていることを知り、大声で叫んだ。
「あいつ、まだ動くわ!」
シアンの叫びの直後、巨大なクローン戦士は立ち上がった。
「うっげぇ。まだ動くのかこいつ? 虫の息だと思ったのに」
連続で大きなダメージを受けたが、それでも立ち上がる巨大なクローン戦士を見たクーアは、嫌そうな声を上げた。その一方で、トンカチ一家は全員嬉しそうな顔をしていた。
「フッフッフ。まだやるかい?」
「楽シクナッテキタワネ」
「だったら、倒れるまでぶん殴ってやるわ」
「お楽しみの時間はまだまだ続くってわけですね。嬉しいです!」
この言葉を聞き、シアンとクーアは呆れた表情になった。そんな中、キトリが放った闇の槍が巨大なクローン戦士の体に刺さった。
「皆、ボケーっとしてないで! あいつが倒れるまで、攻撃を続けるわよ!」
キトリの声を聞き、シアンたちは我に戻って攻撃を続けた。
後ろでは、レリルがベーキウとジャオウに魔力を注いでいた。
「あと少しで、私の魔力が切れそうなのよ。これであのデカブツを倒せなかったら、終わりだと思って」
「分かった。魔力をありがとう」
ベーキウはレリルの方を振り返ってこう言った。その時のベーキウの表情を見て、レリルは顔を赤くした。
「いやーん。そんな顔をして礼を言われると発情するわよ。これが終わった後、ホテル行っちゃう?」
「レリルさん、真剣に戦っている最中に発情しないでくださいよ!」
アルムは呆れてこう言った。しばらくして、レリルは魔力を抑えてベーキウとジャオウの肩を叩いた。
「ありったけの魔力を注いだわ。あとは本当によろしくね!」
「任せてくれ」
「援護すまない。感謝する! 行くぞ、アルム!」
「うん!」
強化したベーキウとジャオウ、そしてアルムは巨大なクローン戦士に向かって走り出した。ベーキウたちの接近を察したシアンたちは、互いの顔を見て頷いた。
「ベーキウたちが攻撃しやすいように動くわよ!」
「了解!」
と言って、クーアは再び魔力を開放し、氷の階段を作った。巨大なクローン戦士は自分が何をされるか察し、急いでクーアが作る氷の階段を壊そうと動いた。だが、キトリが無数の闇の矢を放ち、攻撃を邪魔した。
「あがいても無駄よ」
攻撃を受けて悲鳴を上げる巨大なクローン戦士を見て、キトリはこう言った。その後、ベーキウたちが巨大なクローン戦士に近付いた。
「おーい! この氷の階段を使うのじゃ! これなら、楽にあいつの近くに行けるぞ!」
「ああ! サンキューな、クーア!」
「援護すまない!」
「あとは僕たちが終わらせます!」
ベーキウたちは走りながらクーアに礼を言い、急いで氷の階段を走り出した。
巨大なクローン戦士はベーキウたちが接近してくるのを察し、体を動かして氷の階段を破壊しようとした。だが、キトリが巨大なクローン戦士の足元から巨大な闇の柱を発し、あごに命中させた。
「今のうち!」
キトリの言葉の直後、ベーキウとジャオウが飛び上がった。アルムはナイフを取り出し、巨大なクローン戦士の頭上に向かって投げた。
「僕のナイフに向かって、武器を振り下ろして!」
アルムの言葉を聞いたベーキウとジャオウは頷き、アルムが投げたナイフを注目した。しばらくして、ナイフは巨大なクローン戦士の額の上に到達した。
「今だ!」
「終わらす!」
ベーキウとジャオウは同時に叫び、同時に武器を振り下ろした。強大な魔力が込められた二つの大剣が、アルムが投げたナイフに命中した。そして、二つの大剣と同時に、アルムのナイフはすごい速さで巨大なクローン戦士の額に向かって放たれた。
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