やっぱり自分好みの戦い方の方がいいに決まってる
何だあのおっかない美人は?
チャンバは、自身が作り上げた最強で、巨大なクローン戦士がデレラの手によってズタズタにされるのを見て驚いていた。巨大なクローン戦士はベーキウとジャオウ、そしてそれ以外にも優秀な兵士から採取されたDNAによって作り上げられた最強のクローンである。そのクローンが、デレラ一人に苦戦しているのだ。
「何をやっているんだ! たかが女一人、握り潰してしまえ!」
チャンバは思わず大声で叫んだ。その時、兵士の集団が現れた。
「いたぞ! あそこだ、あそこにいる!」
「チャンバ大臣……いや、チャンバ元大臣! お前からはいろいろと話を聞きたい! 大人しくしろ!」
兵士たちの言葉を聞き、チャンバは悲鳴を上げた。この騒動が自分のせいであることが、周囲にばれてしまったからである。
「チクショー! こんなに早く情報が回るなんて……クソが! お前らみたいな役立たずに捕まってたまるか!」
「誰が役立たずだクソヤロウ!」
「プッツンしました。完全にプッツンしました! 皆であのハゲを追い詰めて血祭りじゃァァァァァ!」
その後、怒った兵士たちは逃げるチャンバを追いかけ始めた。
ベーキウたちはデレラの無双を立って見ていた。
「ありゃまー、こりゃーわらわたちの出番がなさそうじゃのー」
と、クーアは暴れるデレラを見て呟いた。その呟きを聞き、シアンたちは頷いた。その時、巨大なクローン戦士は大きな悲鳴を上げた。すると、巨大なクローン戦士の体の一部がベーキウたちの足元に落ちてきた。
「おわっ! 何だこれ!」
「これは、奴の体の一部だ」
「それじゃあ、あの人があの化け物の体を斬り飛ばしたってわけ?」
ジャオウたちは暴れるデレラを見て、口を開けて驚いていた。
一方、デレラは楽しそうに剣を持って巨大なクローン戦士と戦っていた。
「ほらほら! やられっぱなしではありませんか! 反撃しないと、腕が片方なくなっちゃいますわよー!」
そう言いながら、デレラは高く飛び上がって剣を振り下ろし、巨大なクローン戦士の右腕に深い傷を与えた。巨大なクローン戦士は悲鳴を上げながら、体にいるデレラを振り落とそうとしたのだが、その前にデレラは地面に着地した。
「叫んで暴れることしかできない大きなデカブツですわね。ほらほら。私はここにいますわよ。攻撃するなら今ですわー」
と言って、デレラは巨大なクローン戦士を挑発した。この挑発を受けたのか、巨大なクローン戦士はデレラに向かって走り出した。それを見たデレラは笑みを浮かべ、剣を構えた。
「さぁて。まだまだ暴れたりないから、もっと暴れますわよ!」
デレラは自身に向かって走る巨大なクローン戦士を見て、笑みを浮かべた。デレラは巨大なクローン戦士の接近に合わせて剣を振ろうとしたのだが、巨大なクローン戦士はデレラの攻撃が当たる寸前に高く飛び上がり、攻撃をかわした。
「さすがにボロボロになるまでやられたら、かわすことも覚えますわね」
飛び上がった巨大なクローン戦士を見て、デレラは嬉しそうにこう言った。その後、巨大なクローン戦士は自身の体の一部を巨大な剣に変形させ、デレラに襲い掛かった。危険だと思ったベーキウ、シアン。ジャオウは同時に走り出し、デレラの前に立った。
「ちょっと皆さん! あいつは私の獲物ですわよ!」
「そんなこと言ってる場合じゃないわよ!」
「あんな攻撃、一人で受け止められるわけがありませんよ!」
「俺たちで攻撃を受け止める! あんたは今のうちに態勢を整えるんだ!」
「その必要はありません! その理由は、あのデカブツは私が始末するからです!」
と言って、デレラは走り出した。ベーキウはその後を追いかけようとしたのだが、その前に巨大なクローン戦士の攻撃が襲い掛かった。
「ぐうっ! まずいな、あの人暴走してるよ!」
「まずいわね。早く何とかしないと!」
巨大なクローン戦士の攻撃を耐えながら、ベーキウとシアンがこう会話をしていた。
キトリはアルムとレリルと一緒に攻撃を受け止めているベーキウたちの援護へ向かおうとしていた。そんな中、先走ったデレラを見たアルムは、大声で叫んだ。
「ちょっとあの人、武器を捨てたんですけど!」
「え? えええええ!」
キトリは目の前の光景を見て驚き、思わず叫んでしまった。デレラは手にしていた剣を巨大なクローン戦士に向かって投げていたのだ。
「ちょっとー! あんた何やってんのよ! どうして武器を捨てるのよ!」
レリルは大声でデレラに向かって叫んだ。デレラはキトリたちの方を見て、大声でこう返した。
「やっぱり私は! この手で敵を殴る方が性に合っていますので!」
「だからと言って! 武器を捨てるなァァァァァ!」
「うるさいサキュバスですわね! どう戦おうが、私の勝手ですわァァァァァ!」
と言って、デレラは巨大なクローン戦士の頭に向かって飛びあがった。巨大なクローン戦士はいきなり現れたデレラを見て、驚いた。
「さてと、とりあえず攻撃を止めなさい!」
デレラは巨大なクローン戦士の鼻に向かってストレートを放った。その威力は、巨大なクローン戦士の鼻が奥までめり込んでしまうほどだった。デレラのこの攻撃で、巨大なクローン戦士の攻撃を受け止めていたベーキウたちが解放された。
「た……助かった」
「でも、なんだか滅茶苦茶なことになってきたわね」
「ああ。本当にどうなるんだこれから?」
ベーキウたちは、素手で暴れ始めたデレラを見て小さく呟いた。
一方、デレラは倒れた巨大なクローン戦士の顔面の上に立ち、叩く踏むなどの攻撃を加えていた。
「早く起きなさいデカブツ! このまま一方的に攻撃を続けてもつまらないですわ! 早くたって、反撃しなさい!」
この言葉を聞いたのか、巨大なクローン戦士は立ち上がり、デレラに向かって左の手刀で攻撃した。攻撃を受けたデレラはその衝撃で壁に向かって吹き飛んだ。
「ぐぅ。やりますわねぇ」
デレラはすぐに立ち上がり、鼻血を拭いた。そんな中、人の気配を察したデレラは周囲を見回した。そこには、逃げている途中のサンラがいた。
「あなたは王子様ですね」
「はい。それよりも大丈夫ですか? 傷だらけではありませんか」
「大丈夫ですわ。こんなの、傷のうちには入りません。ん? ちょっと失礼」
と言って、デレラは右の鼻を抑え、左の鼻を鳴らした。すると、少量の鼻血が流れた。
「すみません。血の臭いが充満してたのです。じゃ、私はまたあのデカブツと戦いますので、今のうちに逃げてくださいね」
デレラは笑顔を作り、サンラにこう言った。そして、再び巨大なクローン戦士に向かって走り出した。サンラは走り去るデレラを見て、その場に立ち尽くしていた。その様子を見ていた兵士はサンラに近付き、こう言った。
「王子! 早く逃げましょう! 彼女たちが戦っているうちに、早く!」
兵士はそう言ったのだが、サンラは動かなかった。兵士は慌てながら、サンラの顔を見た。
「王子! こんなところで立っていたら、攻撃に巻き込まれて死んでしまいます! 早く逃げましょうよ!」
「美しい……」
サンラの口から予想外の言葉が聞こえた。兵士は思わず変な声を上げ、サンラにこう聞いた。
「美しいって何がですか? まさか自分? 待ってください、自分には妻も子供もいます!」
「あなたではありません! 私にはそんな趣味はありませんからご安心を! あの女性です」
サンラの返事を聞いた兵士は驚いた。その後、嬉しそうに巨大なクローン戦士を相手に戦うデレラを見て、兵士は小さく呟いた。
「あんな物騒な美人の、どこが美しいんだろう?」
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