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二対二って聞くと、国民的ロボットのあのゲームを思い出す


 パーフェクトクローンと戦っていたシアンとクーアは、あくびをしながら周囲を見回した。


「こいつら、パーフェクトクローンとか言ってたけど、あまり強くなかったわねー」


「そうじゃのー。雑魚じゃったのー。手加減しても勝てたわ」


 会話をする中、シアンはかすかに動くパーフェクトクローンを見つけ、素早く攻撃を仕掛けた。そんな中、完全復活したベーキウとジャオウたちがやってきた。


「すまない。大変なことを任せてしまって」


「まさか、こんな展開になるとは思わなかった。敵とはいえ、感謝する」


 と言って、ベーキウとジャオウは丁寧に頭を下げた。シアンは照れくさそうにしていたが、クーアはどや顔をしていた。キトリは周囲を見回し、パーフェクトクローンが一体もいないことを確認して驚いていた。


「驚いた。あのクローン、結構強かったのに」


「キトリ、手加減してたんじゃない?」


「少し本気を出してたんだけど」


「それか、たくさん作りすぎたから、素材がなくなって弱くなっただけかもしれませんね」


 キトリはアルムの言葉を聞き、そうかもしれないと思った。そんな中、ベーキウたちは大きな足音を耳にした。


「まだ特大の奴がいるようね。もう勘弁してよ」


 呆れながら、レリルがこう言った。その直後、巨大な刃物が飛んできた。ベーキウとジャオウが同時に動き、その刃物を武器で受け止めた。


「誰だ? こんなことをするのは?」


 ベーキウがクレイモアを構えながらこう聞くと、奥からヒダーリとミンギーが現れた。


「俺らだよ」


「テメーらか。俺たちのきょうだいをやったのは?」


 ヒダーリとミンギーの言葉を聞き、シアンは見下すような笑みを浮かべてこう言った。


「そうよ。あんたらのきょうだい、結構雑魚だったわ」


「これ以上侮辱するなよ。ただでさえ、きょうだいをやられて頭がプッツンしかけてるんだぜ、俺らは」


「頭がプッツン? あんたらみたいな出来損ないに、脳みそなんてあるの?」


「俺たちを見下すなよ!」


 シアンの挑発を受け、ミンギーがシアンに襲い掛かった。シアンは盾を使ってミンギーの飛び蹴りを受け止め、後ろに下がった。


「逃がさん!」


 ミンギーの後ろにいたヒダーリは、両腕を伸ばしてシアンに攻撃を仕掛けた。だが、途中でベーキウがクレイモアを振り下ろし、ヒダーリの両腕を吹き飛ばした。


「仲間をやられたのは同情するが、襲ってきたのはお前らの方だ」


「やるつもりか? ハンサム野郎?」


「そのつもりだ」


 ベーキウはそう答えると、身構えるクーアたちに向かってこう言った。


「こいつらは俺とシアンで相手する。クーアたちは外に出て、皆を助けてくれ!」


「嫌じゃ! わらわも一緒に」


「分かった」


「王様たちにこのことを伝えてくるわ」


 クーアはこの場に残ろうとしたのだが、キトリとジャオウが先に返事をし、無理矢理クーアを連れて部屋から出て行った。


「嫌じゃァァァァァァァァァァ! わらわもベーキウと一緒に戦いたい! シアンだけずるい! ポジションを変えてくれェェェェェ!」


 クーアはチャンバの部屋から出るまで、ずっと泣き叫んでいた。この言葉を聞き、シアンは呆れていた。


「はぁ、あのオバサンは……状況を考えなさいよマジで」




 ミンギーは後ろに下がり、両腕をさするヒダーリと合流した。


「あいつに弾かれた両腕、痛いのか?」


「ああ。どうやら、あいつは俺たちが作られた素材の元だ」


「つーことは、あいつの体の一部を素材にして、俺たちが生まれたのか。つーことは、俺たちは生みの親と戦っているようなもんか」


「気持ち悪いことを言うなよ。あいつは敵だ。とにかくぶっ潰すぞ」


「おう」


 会話を終え、ヒダーリとミンギーは同時に走り出した。シアンはベーキウの横に移動し、魔力を開放して巨大な光の矢を作った。


「ベーキウ、こいつを勢いよくぶっ叩いて」


「強く叩いて、威力を上げるんだな」


「その通り!」


「任せろ!」


 ベーキウは光の矢の後ろに立ち、力を込めて叩いた。勢いよく放たれた光の矢は、ヒダーリとミンギーに向かって飛んで行った。


「魔力で作られた矢か」


「他の魔力と何か違う! 避けるぞ!」


 異変を察したヒダーリは、ミンギーにそう言って後ろに移動した。その時、光の矢はヒダーリの左腕に命中し、跡形もなく消滅させた。


「ぐわァァァァァァァァァァ!」


「ヒダーリ!」


 ダメージを受けたヒダーリを見て、ミンギーは立ち止まった。その直後、二発目の光の矢が放たれた。


「クソッ! 治療の隙を与えてくれねーのかよ!」


 そうぼやきながら、ミンギーはヒダーリを抱え、高く飛び上がった。その後、高所に移動したミンギーは、ヒダーリの治療を始めた。


「おい、再生できるか?」


「何とか……グッ! まさか、俺がここまでダメージを受けるとは……」


「きょうだいのクローンを倒すレベルの強さだ。油断してたらやばいようだな」


 ミンギーはそう言って、前を見た。そこには、クレイモアを構えたベーキウが浮いていた。

「うォォォォォ!」


 ベーキウは大声を発しながら、クレイモアを振り下ろした。攻撃の際、床の上に着地したベーキウは、勢いを付けながら攻撃を仕掛けた。


「所詮は俺たちの元となった戦士。俺たちはお前と同じ技を使えるんだ! それがどういう意味か分かるか?」


「技の弱点も知っているってわけか?」


「その通りだ!」


 ミンギーはベーキウの連撃の隙を見て、攻撃を仕掛けた。ミンギーは伸ばした両腕をベーキウの足元に移動させ、ベーキウが転倒するように動かした。


「んなっ!」


「今だ!」


 転倒したベーキウの腹を狙い、治療を終えたヒダーリが倒れているベーキウの腹に向かって、腕を伸ばした。


「グッ!」


 攻撃を受ける寸前、ベーキウは魔力を開放し、ヒダーリの両腕を弾いた。だが、ミンギーの両腕がベーキウの体を掴んだ。


「ヤベッ!」


「残念だったなぁ! お前はここで死ぬ運命だ!」


 ベーキウを倒せる。そう思っていたミンギーだったが、足元から変な音がした。その音を聞いたミンギーは一瞬だけ、動きを止めてしまった。


「ミンギー! 動け!」


 嫌な予感を察したヒダーリは、大声で叫んだ。だが、その直後に足元から光の柱が現れ、ミンギーを包み込んだ。


「ぐわァァァァァァァァァァ!」


 光の柱に包み込まれたミンギーは、悲鳴を上げた。その後、光に包まれなかったミンギーの両腕は、ベーキウの動きを封じたまま床の上に落ちた。


「囮になってくれてありがとうベーキウ。おかげで一体倒せたわ」


 そう言いながら、空いた床からシアンが現れた。ベーキウはミンギーの両腕をほどき、体を動かしていた。


「少し無茶しすぎたな。でもま、これで一対二だ」


 ミンギーの両腕を見て、ヒダーリは怒りの形相を浮かべた。


「よくもやりやがったな! 絶対に許せん!」


「クローンとはいえ、仲間をやられた時の怒りの感情はあるもんね」


「そうみたいだな。でもま、お前たちが怒ろうが何しようが、敵である以上何も思わん」


 ベーキウはそう言って、クレイモアを構えた。シアンはベーキウのクレイモアの刃に触り、光の魔力を注いだ。


「これで一瞬だけ、光の刃が使えるわ。これであいつをやっつけて」


「ああ!」


 ベーキウは走ってくるヒダーリを見て、タイミングを合わせてクレイモアを振ろうと考えていた。


「うォォォォォ!」


 怒りにより、我を忘れたヒダーリはベーキウが攻撃を仕掛けてくるなんてことを考えてはいなかった。そのことを知ったベーキウは、勝利を確信した。


「お前に一つ言っておく。感情で左右される戦士は、あっさり倒されるってな」


「何をふざけたことをォォォォォ!」


 ベーキウの言葉を聞き、怒りが燃え上がったヒダーリは、力を込めて両腕をベーキウに向かって振り下ろした。だが、ベーキウはヒダーリの動きに合わせてクレイモアを振り上げて、ヒダーリの両腕を斬り飛ばした。


「ガッ……」


「化け物相手なら、容赦なく戦える」


 と言って、ベーキウは光の力が込められたクレイモアを、ヒダーリの胸に突き刺した。


「ガッ……カハッ……クソ……」


 攻撃を受けたヒダーリがこう呟いた直後、ヒダーリの体は塵となった。


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