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味方も敵も集まったので


 パーフェクトクローンを倒したキトリたち。だが、パーフェクトクローンはまだたくさん存在していた。キトリは本気を出して戦おうとするが、そこにシアンとクーアがやってきた。シアンは目の前のパーフェクトクローンを見て、気持ち悪そうな表情をしていた。


「うっげぇ。何あれ? 気持ち悪いのがたくさんいる」


 シアンがこう言う中、キトリがシアンとクーアに近付いて、この状況を伝えた。話を聞いたシアンは、チャンバの姿を見つけてこう言った。


「ちょっとあんた! 私の彼氏を拉致って変なバケモンを作ったみたいね! 降りてきなさいツルツル野郎! あんたのその残り少ない毛、燃やして爆発アフロにしてやるわ!」


「だーれがお前みたいなチンチクリンの言うことを聞くかっつーの! パーフェクトクローンよ、あいつらを仕留めてしまえ!」


「はい、ご主人様! 分かりましたニャン!」


 パーフェクトクローンの群れは一斉に返事をすると、シアンたちに襲い掛かった。パーフェクトクローンの声を聞いたクーアは吹き出し、大声で笑い始めた。


「ダーッハッハ!  何じゃ今の声は? あんないかつい見た目なのに、声は萌え系って! ギャップ萌えでも狙ってんのかー?」


「そんなことはしないニャン!」


 パーフェクトクローンの一人が、クーアに向かって襲い掛かった。クーアは攻撃をかわし、魔力を開放した。


「デレラとの戦いで、魔力を使わなかったのが正解じゃった! ここなら、思う存分暴れられるのじゃ!」


 と言って、クーアは魔力を使って攻撃を仕掛けた。そんな中、レリルはシアンとクーアにこう言った。


「気を付けて。あいつらはジャオウとあのイケメンのクローンだから、二人と同じ技を使うから!」


「同じ技? ありがと、分かったわ。危険だから、下がってて」


 シアンの言葉を聞き、レリルは急いで後ろに下がった。そんな中、キトリがレリルに近付いてこう言った。


「ベーキウとジャオウを回復するから、手伝って」


「分かったわ。とにかく早くこの状況をどうにかしないと」


 その後、レリルは急いでキトリとアルムと一緒に、途中だったベーキウとジャオウの回復へ向かった。




 ベーキウとジャオウは互いの肩を借り、何とか立ち上がっていた。途中で終わった治療で、完全に復活していないが、立つまでは回復していた。


「やばいな……何とかして、あの化け物をどうにかしないと」


「だが、俺たちは手負いだ。あいつらのせいで、体力と魔力を奪われたぞ」


「だけど、ここでじっとしているのは嫌だ」


「俺もだ。とにかく、俺たちでできることをしなければ……」


 そう言って手負いの体を動かし、シアンたちの方へ向かっていた。その途中で、キトリたちと遭遇した。


「ベーキウ、ジャオウ! 無茶したらどうなるか……」


「でも、そうでもしないと……クッ……」


「無茶しないでください。今から治療しますので」


 キトリとアルムは、急いでベーキウとジャオウの治療を始めた。


ベーキウの心配そうな顔を見たレリルは発情し、ベーキウに近付いていた。それを察したキトリはレリルを足で追いやり、アルムがベーキウを守るかのように移動した。


「ちょっと! 何すんのよ!」


「今、発情してたでしょ」


「顔が赤くなっていましたよ。状況を考えてください」


「ちょっ、そこまで言わなくてもいいじゃない!」


 レリルはそう言って、この場をごまかそうとした。その時、遠くから大きな音が響いた。


「シアンたち、大丈夫か?」


 音を聞いたベーキウは、心配そうにこう言った。その言葉を聞いたレリルは、ため息を吐いて言葉を返した。


「勇者なんでしょ? 敵だからあまり言いたくないけど、あいつの強さは化け物並みよ。化け物が作られたばっかりのヘンテコモンスターと戦って負けると思う? 私は心配いらないと思うけど」


 レリルはそう言うと、あくびをしてシアンとクーアがいる方を振り返った。レリルの言葉を聞き、ベーキウはシアンが勝つと思い、治療に専念した。




 シアンは高く飛び上がり、剣を使って目の前にいるパーフェクトクローンに攻撃をしていた。


「ニャーン!」


 斬られたパーフェクトクローンは、変な悲鳴を上げてその場に倒れた。あっという間に倒される仲間を見たパーフェクトクローンは、動揺して後ろに下がっていた。


「イヤーン! この人たち強すぎるニャン!」


「生まれたての私たちじゃ、荷が重すぎるニャン!」


「ご主人様の元に帰りたいニャン!」


 などと、パーフェクトクローンは泣き言を発していた。その直後、クーアが放った爆炎がパーフェクトクローンを焼き尽くした。


「フン! パーフェクトクローンだか何だか知らぬが、所詮はリングや廊下にいたヘンテコ戦士と同じじゃ! そんな奴らがわらわたちを倒せると思うな!」


 クーアは仁王立ちしながらそう言った。その時、後ろに忍び寄っていたパーフェクトクローンが攻撃を仕掛けたが、気配を察していたクーアはジャンプして攻撃をかわし、空中で水の魔力を開放し、水を凍らせて氷の弾丸でパーフェクトクローンに反撃した。


「ニャフン! 気配を消したつもりなのにー」


「攻撃する直前まではな! 攻撃した時に、殺気が漏れていたぞ!」


 氷の弾丸を受け、穴だらけになったパーフェクトクローンにこう言うと、床の上に着地したクーアは素早く氷の刀を作り、パーフェクトクローンを一閃した。


「ふぅ、本気を出せばこの程度、楽勝なのじゃ」


 塵になるパーフェクトクローンを見ながら、クーアはこう言った。




 シアンとクーアにより、無数にいたパーフェクトクローンの数は一気に減った。それを察したチャンバは怒りで体を震わせながら、部屋の奥へ向かっていた。


 パーフェクトクローンであいつらを仕留められないのなら、いざって時のあいつを使うしかないな。


 そう思いながら、チャンバは目の前の大きな扉を開き、中に入った。その部屋の中には巨大な三つの水槽があり、その前にはいざって時にしか使っちゃいけない秘密兵器だよと書かれた張り紙があった。


「今がいざって時だ。さぁ動け! 究極クローンのヒダーリとミンギーよ!」


 と言って、チャンバは三つのボタンのうちの二つを押した。その直後、二つの水槽が開き、中で充満していた緑色の煙が勢いよく外に漏れた。しばらくして、水槽の中にあった巨大なクローンが姿を現した。


「ようやく俺たちの出番か」


「いつ暴れることができるか、この力を試すことができるのか。そんなことばかり考えていたぜ」


「ご主人様。俺たちが戦う相手はどこにいるんだ? 早く戦わせてくれよ」


 と、ヒダーリとミンギーはチャンバの顔が見えるようにしゃがみ、こう言った。この言葉を聞いたチャンバはにやりと笑い、ヒダーリとミンギーの頬を触りながらこう言った。


「お前たちはパーフェクトクローンと同じように、私に従順だな。量産したクローンなんて、私の言うことを聞かなかったからな……」


「あのー、それより俺たちの相手を教えてください」


「強い奴が現れたから、俺たちを出したんでしょ?」


「そうじゃったそうじゃった。あいつらは、隣の部屋でパーフェクトクローンと戦っている。あいつらのせいで、大量にいたパーフェクトクローンが一気に減ってしまったのじゃ」


「つーことは、俺たちのきょうだい分がやられまくったってことか」


「プッツンするぜー。おいミンギー、俺たちでやっちまおうぜ」


「おう。倒されたきょうだいたちの仇討ちだ。行くぞ!」


 ヒダーリとミンギーは会話を終わらせた後、隣の部屋にいるベーキウたちの元へ向かった。ヒダーリとミンギーの姿を見て、あの二人なら確実に勝てると判断したチャンバは、笑みを浮かべていた。


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