パーフェクトクローンとの激闘
リングの上で大量のクローン戦士と戦っているトンカチ一家は、チャンバの部屋の方から発する音を耳にした。
「向こうでも派手にやってるみたいね」
「そっちの方が派手らしいわね。私、そっちに行きたかったわ」
ユージロコとバキコがこんな会話をしていた。そんな中、クローン戦士に噛みついていたジャクミがこう言った。
「コノ雑魚ヲ蹴散ラシタラ、私タチモソッチニ行ケバイイジャナイ」
「そうね。デレラはどうするの?」
ユージロコの問いに対し、デレラはサンラを守りながらこう言った。
「私は王子様を助けます! その後で暴れに行きます!」
「分かったわ。じゃあ、私たちは雑魚を片付けた後で、もっと騒ぎが大きくなってる場所に向かうから!」
と、ユージロコは大声でデレラにこう言った。
パーフェクトクローンは、逃げるキトリに対して腕を伸ばして攻撃を仕掛けていた。
「待つんだニャン! 止まらないと、攻撃が当たらないニャン!」
「クッ! 見た目の割に声がかわいいけど、やることが野蛮ね!」
攻撃をかわしながら、キトリは反撃の隙を伺っていた。だが、パーフェクトクローンは大きな体の割に、見切れないほど動きが速かった。キトリの危機を感じて援護にきたアルムとレリルだったが、異様に早いパーフェクトクローンの動きを見て、驚いていた。
「そ……そんなに早く動くなんて」
「ただのデカブツじゃないのあれ?」
アルムとレリルの声を聞いたのか、パーフェクトクローンの攻撃がアルムを襲った。
「ウワァッ!」
危機を察したアルムはとっさに攻撃をかわしたが、パーフェクトクローンの腕は刃に変化しており、そのせいでアルムのズボンを切り裂いてしまった。その結果、アルムのあれが丸出しになってしまった。
「うわぁ! またこの展開?」
「あんた、よく急所付近の布に攻撃を受けるわねー。いい加減守る方法考えたら?」
「じっくり見ながら言わないでください!」
アルムは急いであれを隠したが、パーフェクトクローンは顔を赤くしながら照れていた。
「イヤーン! あの子、女の子かと思ったら男の子だったー! ご主人様より大きーい!」
この言葉を聞いたチャンバは思わずずっこけ、立ち上がってこう叫んだ。
「おバカ! 男の勲章を見て照れるんじゃない! 今は戦っている最中なんだぞ! それにしても……まさか、あれだけの大きさを持つ男がいるなんて……」
「あなたも何を言っているんですか!」
アルムは大声で、チャンバに向かってこう言った。キトリはアルムのあれを見ないようにし、パーフェクトクローンに接近して攻撃を仕掛けた。キトリは闇を放ち、パーフェクトクローンの胸を打ち抜いた。
「キャァッ!」
「パーフェクトクローン!」
キトリの闇を受けたパーフェクトクローンの胸は、大きな穴が開いていた。それを見たレリルは、勝ったと思いガッツポーズをした。だが、攻撃を仕掛けたキトリは勝利を確信していなかった。
まだ魔力を感じる。まだあいつは戦える!
キトリは心の中でこう思っていた。パーフェクトクローンはキトリの方を振り返り、開いた穴を自己再生しながらキトリに飛びかかった。
「今のは痛かったニャン! 倍以上にお返ししてやるニャン!」
そう言いながら、パーフェクトクローンはキトリに向かって同時に両手を突き出した。攻撃を防御したキトリだったが、その勢いで壁に向かって吹き飛んだ。
「グッ!」
壁に激突する前に何とか態勢を整え、キトリは床の上に着地した。
「あら、激突しなかったニャン」
追撃のために動いていたパーフェクトクローンだったが、キトリの動きを見て追撃を止めた。
「まだ動くかニャン? いい加減倒れてほしいニャン」
「ふざけたことを言っているけど、あなたはそれなりに強いわね」
「そうですニャン。あ、そうだ。あなたが相手なら、この戦い方でもいいニャンね」
と言って、パーフェクトクローンは皮膚の一部をちぎり取り、魔力を注いで大剣を作った。
「私はあなたの仲間の情報で作られた戦士だニャン。仲間の技で倒されるなら、それで本望ニャンね?」
「ベーキウの技をまねして戦って、仮に私に勝っても嬉しいの?」
「はい。あなたを倒すなら、何だってやりますニャン」
キトリの問いにこう答え、パーフェクトクローンはキトリに襲い掛かった。パーフェクトクローンの動きを見て、レリルは驚いていた。
「あれ……完全にあのイケメンの動きじゃない!」
パーフェクトクローンは、完全にベーキウと同じ技を使っていた。キトリはそのことを察していて、動揺しなかった。
「ほらほらほら! あなたの仲間の技ですニャン! 驚かないんですか?」
「別に。それに、あなたは大きなへまをしたわね」
「へま?」
キトリの言葉を聞いたパーフェクトクローンは驚いたが、すぐに我に戻って攻撃を続けた。
「私はパーフェクトクローン! へまなんかするわけがない!」
「大きなへまをしているわ。それに、ベーキウと同じ技を使ってから、私に攻撃を当てたかしら?」
「そ……それは……」
「答えられないのね。じゃあ私が答えてあげるわ」
キトリはそう言って、動揺して動きを止めているパーフェクトクローンに近付き、闇で作った剣で攻撃を仕掛けた。
「私はずっとベーキウと一緒にいた。ベーキウと一緒に戦った。だから、ベーキウの攻撃のくせとか動きとか、理解できるのよ」
と言って、キトリは手にしていた闇の剣をパーフェクトクローンに向かって投げた。パーフェクトクローンは両腕を交差して飛んでくる闇の剣を防ごうとしたのだが、闇の剣はパーフェクトクローンの両腕を貫いた。
「あぐあっ!」
「それと、あなたの攻撃力は恐ろしく高いけど、防御力はもろいわね。他のクローン戦士と比べて、少しやわだと思うわ」
続けて言葉を放った後、キトリは魔力を開放し、闇で作った大蛇のような物体で攻撃を仕掛けた。
「飲まれなさい」
「なっ……あぁ……」
闇で作られた大蛇のような物体は、口を大きく開けてパーフェクトクローンを飲み込んだ。その後、闇の大蛇の中からパーフェクトクローンの悲鳴が聞こえた。それからしばらくして、パーフェクトクローンの悲鳴は聞こえなくなった。
「終わったわね」
そう言うと、キトリは闇を抑えて闇の大蛇を消した。そこには、飲まれたはずのパーフェクトクローンの姿はなかった。
チャンバはパーフェクトクローンが倒され、口を開けて驚いていた。
「まさか……こんなにあっさりとパーフェクトクローンがやられるなんて……」
チャンバが驚く中、アルムがナイフを投げてチャンバに攻撃を仕掛けた。チャンバは横に移動して攻撃をかわし、後ろに逃げた。
「あ! 逃げた!」
「逃すか! 追いついて確実にフルボッコにしてやるわ!」
レリルは急いでチャンバを追いかけた。だが、チャンバは笑みを浮かべてキトリたちの方を振り返った。
「フハハハハハ! パーフェクトクローンは一体だけかと思ったか?」
「まさか、まだいるの?」
「その通りだ! パーフェクトクローンたちよ、あいつらを始末しろ!」
チャンバはそう言って、ボタンを押した。すると、大きな音が響き、キトリたちの前から無数のパーフェクトクローンが姿を現した。
「ま……まだあんなにいるの?」
「この部屋どうなってんのよ? いくらなんでも広すぎない?」
アルムとレリルは驚き、後ろに下がった。キトリはため息を吐き、闇の魔力を開放した。
「やるんだったら、徹底的にやってやるわよ! 私は、一人じゃないから!」
「ええ? 私はあんなのと戦えないわよ! 戦いの頭数に入れないで!」
レリルは大声でこう言ったが、その直後にシアンとクーアが現れ、パーフェクトクローンに飛び蹴りを仕掛けた。
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