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クローンパニック!


 クローン戦士を作り、ベーキウとジャオウを捕らえたのがチャンバだと知り、怒りが爆発したキトリはチャンバに攻撃を仕掛けた。


「ふん! 感情に任せて突っ込むつもりか? こっちには最強のクローン戦士がいることを忘れるな!」


 チャンバはボタンを押し、水槽からクローンを出した。現れたクローンを見て、キトリは後ろに下がった。


「さぁクローン戦士よ! あの小娘を始末するがいい!」


 チャンバはこう言ったが、クローン戦士たちはあくびをし、横になった。言うことを聞かないクローン戦士たちを見て、チャンバは苛立った。


「ええい! 言うことを聞かんかい!」


「あんなちっちゃい子を始末しろって言われてもねぇ」


「なーんかやる気が起きないんすよ」


「それだけのために、俺たちクローンを使わないでくださいよー」


 クローン戦士たちの言葉を聞き、チャンバは怒り出した。その様子を見ていたキトリは、驚きつつもクローン戦士たちが少し反抗的だと知り、攻撃するなら今がチャンスと察した。


「今のうちですよ。レリルさん、僕たちを魔力で強化してください」


「分かったわ。サクッとやっちゃってね。サクッとね!」


 レリルは魔力でキトリとアルムを強化し、援護を始めた。攻撃がくることを察したクローン戦士たちは、悲鳴を上げて部屋から逃げ出した。


「え? あ! おい待て! ワシを置いてくな!」


 放置されたチャンバは、慌てて逃げ始めた。キトリとアルムは急いで逃げたチャンバを追いかけ、走り始めた。




 控室にて、ジャクミとの戦いを終えたシアンは、控室にいる医療スタッフの治療を受けていた。


「はい。これで次の試合には出られますよ」


「ありがとうございます。いやー、助かったわー」


 シアンは右腕を回しながら礼を言った。その後、治療を終えたジャクミがシアンを訪ねた。


「イイ試合ダッタワヨ、コノ次モ頑張ッテネ」


「ええ。また戦う機会があればやりましょう」


「ソノ時ヲ待ッテイルワ」


 ジャクミはそう言うと、ウインクをして去って行った。次の試合までまだ十分時間があることを知ったシアンは、軽く背伸びをしてストレッチをしようとした。そんな中、ユージロコとバキコが近付いた。


「あんたは確か、ジャクミのお母さん」


「さっきの試合、いい試合だったわ。ジャクミを倒すなんて信じられないわ」


 ユージロコはそう言うと、笑みを浮かべた。シアンはそれほどでもと言いながら照れていたが、ユージロコは言葉を続けた。


「あんたの仲間からの伝言よ」


「仲間? クーアか。そう言えば、あのおばはんの姿が見えないわね」


「あの人は仲間を探しに城内を探索すると言っていたわ。それと、何か騒動があったみたいよ」


 ユージロコの言葉を聞き、シアンは驚いた表情をした。


「騒動? 誰かが何かやらかしたんですか?」


「そこまでは分からないわ。でも、何かが起きてもいいように、準備をすることをお勧めするわ」


「そうね。うーん、何が起きるか気になるけど……今は試合のことを気にしないと」


 シアンはそう言って、気合を入れるために両の頬を叩いた。その頃、ユージロコは、隣にいるバキコに話しかけた。


「動くわよ、バキコ」


「騒動を解決するんですか?」


「ええ。ちょっと気になるし、何かが起きたら思う存分暴れることができるからね」


「その通りね。それじゃ、ちょっとお城の中を散歩しましょうか」


 その後、ユージロコとバキコは控室から出て行った。




 騒動が起きるかもしれない。そう思いながら、シアンは試合を映すテレビを見ていた。そんな中、横ではデレラが重そうな鎧を装備して右手だけで腕立て伏せをしていた。


「うっし! うっし! うっしゃァァァァァ!」


「すみません、もう少し静かにやってもらいませんか?」


「さーせん!」


 デレラはそう言うと、片手腕立て伏せを終え、少し離れた所で筋トレを始めた。派手に筋トレを始めるデレラを見て、シアンはデレラの体がいつ壊れるんじゃないかと不安になった。そんな中、テレビの中の声が大きく聞こえた。


「おーっと! キンニクマスクがデビルジェネラルにパイルドライバーを仕掛けた!」


 この声を聞き、シアンはテレビの方を振り向いた。テレビの映像では、豚のようなマスクを被った大男が、派手な鎧の男にパイルドライバーを仕掛ける映像が映っていた。デビルジェネラルはキンニクマスクが仕掛けたパイルドライバーの技を解くことができず、そのままリングの上に激突した。


「グバァ……」


 デビルジェネラルは小さな悲鳴を発し、その場に倒れた。しばらくして、審判がデビルジェネラルの様子を見て、戦闘不能だと判断し、勝負が決着した。


「へぇ。あのへんなマスクのプロレスラー、結構やるじゃない。負けると思ってたけど」


 シアンはクッキーを食べながらこう呟いた。その時、リングの端の方から変な人が現れ、キンニクマスクに襲い掛かった。


 プロレスだし、マイクパフォーマンスでもあるのかしら。


 そう思っていたシアンだったが、会場の声が本当の悲鳴であり、変な人がキンニクマスクに襲い掛かっていたことを知り、これは本当のハプニングだと察し、急いでリングへ向かった。




 変な人、迷い込んだクローン戦士は、とりあえずの形で暴れていた。


「うわーん! 何だあいつー? 私じゃ勝てないよー!」


 キンニクマスクは泣きわめくようにこう言い、クローン戦士から逃げていた。倒れていたデビルジェネラルは気合で立ち上がり、クローン戦士に襲い掛かった。


「この非常識が! 私が成敗してやる!」


 そう叫びながら、デビルジェネラルはクローン戦士に殴りかかった。クローン戦士はやばいと思いつつ、顔を動かして攻撃をかわした。


「何!」


「悪いが俺は逃げてる途中だ! 逃げる邪魔をするならぶっ飛ばしてやる!」


 クローン戦士は右腕を刃に変化させて、デビルジェネラルに斬りつけた。


「ぐわァァァァァ!」


 斬られたデビルジェネラルは、悲鳴を発しながら宙に舞った。地面に激突する前に、キンニクマスクがデビルジェネラルを受け止めた。


「デビルジェネラル! 貴様! よくもこんなことを!」


「何だ? 俺とやる気か不細工マスク! 言っておくが、お前じゃ俺を倒すことはできないぞ!」


「何をー!」


 怒りに任せ、キンニクマスクはクローン戦士に向かってドロップキックを放った。クローン戦士はキンニクマスクの両足を掴み、ジャイアントスイングを始めた。


「おわァァァァァ! 目が! 目がァァァァァ!」


「このまま投げ飛ばしてやるぜ!」


 しばらく回した後、クローン戦士は観客席に向かってキンニクマスクを投げた。キンニクマスクが観客席に激突した後、クローン戦士は周囲を見回した。


「えーっと、出口はどこだっけ? ああ、そこか」


 出入り口を見つけたクローン戦士は、出入り口に向かって急いで走り始めた。扉を開けたその瞬間、シアンの盾が現れ、クローン戦士の顔を殴った。


「ブッフェッ!」


「このまま逃げられると思う?」


 シアンは剣と盾を持ち、クローン戦士の前に近付いて攻撃を仕掛けた。クローン戦士は柔軟な体を利用し、シアンの攻撃を回避した。


「オイオイオイ! いきなり攻撃を仕掛ける何て卑怯じゃねぇか!」


「バケモンが何言ってんのよ!」


 シアンはそう言葉を返すと、光の矢を作ってクローン戦士に向かって放った。クローン戦士は光の矢をかわし、シアンに反撃を始めた。だが、シアンはその攻撃を盾で受け止めた。


「今のうちよ! 観客や他の人たちは避難して!」


 シアンは大声でこう叫んだ。その叫びを聞き、役員や観客たちは、急いで会場から逃げて行った。シアンは会場に残ったのが自分とクローン戦士だけだと判断し、これで十分に戦えると思った。


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