無限に現るクローン戦士
キトリとクローン戦士が戦う中、チャンバと部下はクローン戦士を大量に作り出していたのだ。
「もっとだ! もっともっとクローン戦士を作るのだ!」
「ですが、材料がそろそろ底をつきそうです」
「大丈夫だ! いざって時に大量に素材をストックしていたのだ!」
チャンバはそう言って、熟女系のエロ漫画やエロビデオがある棚を動かし、その奥にあるクローン戦士を作る素材を部下に見せた。
「おお! ですが、どうしてあんなしょーもないものの後ろに隠すんですか?」
「あのコレクションはフェイクだ。あれを見た人は、こいつあんなのをこんなところに隠しやがってと思いつつ、呆れるだろう。呆れたら、それ以上棚のことを調べんと思うしな」
「ほう。相手の考えを利用したのですね。少し見直しました」
「少しだけか。まぁいい。素材をじゃんじゃんぶち込んで、じゃんじゃんクローン戦士を作るのだ! 素材はまだある!」
「分かりました!」
会話後、チャンバと部下は素材を使い、クローン戦士を作り出した。
キトリは自身に迫るクローン戦士を見て、冷や汗をかいていた。まだ体力的にも魔力的にも余裕はある。だが、ここは狭い城内の廊下。クローン戦士が一斉に攻撃を仕掛けたら、攻撃をかわせないのだ。
「さぁ、行くぞ!」
「さっきのクローンの仇だ!」
クローン戦士たちは、キトリに向かって一斉に刃に変形させた腕を伸ばした。キトリは前に走り、目の前に飛んでくる刃の腕をかわし始めた。
「後ろに逃げられないから、前に走って逃げるのか」
「いい考えだ。だが! 一対多数では、明らかにお前の方の分が悪い!」
「さっさと諦めて、死ね!」
クローン戦士たちは、キトリに向かって大声で叫んだ。その声を聞き流し、キトリはひたすら前へ進んだ。結果、キトリは逃げきることに成功した。
「あ! あいつ逃げやがった!」
「逃げ足だけは一人前だな」
「感心している場合か! あいつを追いかけろ!」
クローン戦士たちは話をし、逃げるキトリを追いかけた。
一方その頃、アルムとレリルは大量のクローン戦士から逃げていた。
「待て!」
「逃げるな、卑怯者!」
「お前たちを倒せと言われているんだ!」
クローン戦士たちは大声を発しながら、アルムとレリルを追いかけていた。
「ギャァァァァァ! 何あれ? 全身銀色で気持ち悪い! なんだか、スライムみたい!」
「何あれって僕に言われても、僕も分かりません! 今分かるのは、僕たちに対して敵対心を持っていることだけです!」
アルムはそう言いながら、走っていた。すると、同じように走るキトリの姿が見えた。
「あなたは魔王の娘さん! まさかあなたも……」
「そっちも状況は同じね」
アルムはキトリの後ろを見て、同じようにクローン戦士に追われていることを把握した。キトリは声を出して動揺するレリルにこう言った。
「サキュバス、魔力で私を強化して。そのためにここまで逃げたんだから」
「魔力で? あんなのを倒す方法があるの?」
「あいつらは魔力の攻撃に弱い。さっき、一体は倒したから!」
「あんたの言うことを信じるわ。絶対にあの気持ち悪い奴らを倒しなさいよ!」
レリルは魔力を開放し、キトリに魔力を注いだ。強くなったと察したキトリは、両の掌を前に出し、大きな魔力の塊を作った。アルムはレリルが次に何をするか理解し、無数のナイフを投げた。
「あなたの魔力を僕のナイフに当ててください。僕のナイフに魔力が当たれば、周囲に攻撃できます!」
「分かったわ」
その後、キトリは魔力の拡散弾を発し、アルムが投げたナイフに命中させた。ナイフは黒く光り出し、より強力な拡散弾を放ち、クローン戦士たち向かってに飛んで行った。
「なっ……何!」
「そんな技を使うとは!」
「クソッ! 一度逃げるぞ!」
クローン戦士たちは逃げようとしたのだが、数が多すぎて逃げることができなかった。
「おい邪魔だ、どけ!」
「早く逃げないとやばいって察しないのか!」
「逃げたいけど、前がつっかえて動けないんだよ!」
「ああ! まずい! 弾がもうすぐそこまで迫ってるよォォォォォ!」
「や……やばい!」
逃げることができないクローン戦士たちは、飛んでくる拡散弾に命中し、体が破裂していった。しばらくして、大量にいたクローン戦士たちの数は、四分の三以下に減っていた。
「クソッ! 仲間があんなにあっさりと……」
「残った俺たちで戦うしかない!」
「そうだな。あれだけの魔力を使ったんだ! もう魔力は使えないはずだ!」
生き残ったクローン戦士たちは、一斉にキトリたちに襲い掛かった。
「うげェェェェェェェェェェ! こっちにくる!」
「もう……魔力がないのに……」
大量に魔力を使ったアルムとレリルは、迫ってくるクローン戦士たちを見て驚いていた。だが、闇の剣を作ったキトリが前に出て、クローン戦士たちに攻撃を仕掛けた。
「一人で戦うつもりか?」
「俺たちも舐められたものだ! かかってこい!」
「お前を血祭りにあげてやる!」
一人しかいないキトリに対し、クローン戦士たちは勝ったつもりでこう叫んだ。だが、現実は違った。キトリは闇の剣をクローン戦士たちに向かって投げ、魔力で操って破裂させた。
「ギャァァァァ!」
「そんな……酷い」
「接近戦を挑むんじゃないのかよ……」
情けない言葉を発しながら、クローン戦士たちは倒れて行った。
クローン戦士たちとの戦いを終えた後、キトリたちは休んでいた。
「あれは何だったんですかね?」
「分からないわよ。あんなのが場内にうろついているなんて、思っているわけないじゃない」
アルムとレリルはそんな話をしていた。キトリは呼吸をした後、アルムとレリルにこう言った。
「あいつら、私と戦う時にクローンって言っていたわ」
「クローン? じゃあ、あいつらを作った人がいるってことですか?」
「その可能性が高いわね」
キトリとアルムの話を聞き、理解できていないレリルはアルムにこう聞いた。
「ねぇ、何の話をしてるの?」
「あいつらはクローン。簡単に言うと、作られた人……のようなものです」
「へぇ。作られた人ねぇ。じゃあ、あいつらを作った奴と、あいつらの元になった奴がいるってことね」
「そう。今から一緒に動きましょう。あいつらがまた、出てくるかもしれないわ」
キトリの言葉を聞き、レリルは嫌そうな声を上げた。
「あいつらまた現れるの? こっちはジャオウとイケメンを探すのに必死なのにー」
「ベーキウとジャオウを探すのも大事だけど、今はあいつらを生み出している奴を探し出して、叩くことも必要ね」
会話を終え、キトリは立ち上がった。アルムは背伸びをし、立ち上がって周囲を見回した。
「今はあのクローンの仲間がいないようですね」
「さっきので打ち止め……だといいんだけど、もしかしたらまた出てくる可能性が高いわね」
「あーもう。こうなったらあのクローンを生み出したバカを見つけ出して、コテンパンにしてやるんだから」
「もし、その人がイケメンだったら?」
「食べちゃう。あ、イケメンの可能性があるか。それだったらいいんだけどなー」
レリルの言葉を聞き、呆れたアルムはため息を吐いた。
一方その頃、デレラとの戦いに負けたクーアが目を覚ました。
「んにゃ? あれ? ここって控室?」
「ああそうよ」
と、言葉を返したのはユージロコだった。クーアは目をこすりつつ、シアンの姿を探した。
「シアンはどこへ行ったのじゃ?」
「次の試合の準備よ。応援しに行ったら?」
「行かぬわ恥ずかしい」
クーアはそう言って、ベッドから起き上がった。その時、クーアはキトリの魔力を感じた。
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