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主人公とライバルが敵に捕まるなんてこの作品だけじゃねーの?


 行方不明になったベーキウとジャオウを探すため、キトリは再びアルムとレリルと協力することになった。探す前に、キトリは選手控室に移動し、このことをシアンに伝えた。


「えええええ! ベーキウとジャオウが行方不明?」


 話を聞いたシアンは、驚きのあまり大声を発した。キトリは頷き、シアンにこう言った。


「何かあったかもしれない。ちょっと、城の中を探してみるわ」


「頼んだわよ。ベーキウが不安だけど、まさかジャオウも行方不明になるなんて思ってもいなかったわね」


「ジャオウ、方向音痴だから……」


 アルムはそう言って、ため息を吐いた。話をする中、リングアナウンサーの声が響いた。


「次の試合は、シアン選手とナマエダケ選手の試合です」


「おっと、次の試合が始まるわ。キトリ、頼んだわよ」


「うん。シアンも頑張って。今、純白ガラスを手に入れるかどうかはシアンの頑張りで決まるんだから」


「まっかせなさーい!」


 と言って、シアンは去って行った。話を終えた後、キトリたちは控室から出て行った。




 その後、キトリたちはベーキウとジャオウを探すため、場内の兵士に話をした。状況を理解した兵士は、すぐにキトリたちに城内を探索できるように手配してくれた。


「では、探し人を見つけたら報告してください」


「分かりました。本当にすみません!」


 アルムはそう言って頭を下げた。そんな中、レリルは兵士に近付いた。


「あんた近くで見ると結構いい男じゃない。どう? 仕事が終わったらスッキリしない?」


「レリルさん! こんな時にナンパをするのは止めてください!」


 いきなりナンパを始めたレリルを見て、アルムは慌ててレリルを止めた。この状況を見て呆れたキトリはため息を吐き、周囲を見回した。


「場内はかなり広いわね。手分けして探しましょう」


「ですね。すぐに見つかればいいんですけど」


 アルムはこの状況を打破するため、時間がかかると予想していた。レリルはあくびをしながら、アルムにこう言った。


「とりあえず、片っ端から探すしかないわね。動かないと、話は進まんないわよ」


「レリルさんの言う通りですね。では、探しましょう!」


 話を終え、キトリたちは二手に分かれてベーキウとジャオウを探し始めた。




 ユージロコは、次の試合が始まる前に簡易的なストレッチをしていた。そのストレッチは、常人では不可能な動きをするストレッチだった。


「おいおいまじかよ」


「あんなに広がった椅子の上に、足を置いているぜ」


 そのストレッチとは、椅子を両端に置き、両足を百八十度広げるとんでもないストレッチだった。一方、ジャクミは筋トレを終え、食事として用意していた大きなイノシシのモンスターの丸焼きを食べていた。普通の食事かと思われたが、その様子を見た他の戦士は驚いていた。


「マジかよ……」


「骨ごと食ってる」


 ジャクミは音を立てながら、モンスターの骨ごと肉にかぶりついていたのだ。その一方で、バキコは普通の食事メニューだった。だが、その量が異常だった。バキコが用意したゴミ箱には、大量のバナナの皮があった。近くの机の上には、空になったタッパーが置かれていた。


「おいおいおい。どんだけ食ってんだよあの人」


「死ぬぜあいつ」


 バキコの異様な食事量を見て、近くにいた戦士がこう言った。そんな中、バキコはコーラを取り出して勢い良く振るった。


「うわっ、コーラを振り回したぞ」


「周囲をコーラまみれにするつもりかよ」


 コーラが飛び散ると察した戦士たちは、その場から離れようとした。だが、バキコは洗面台に行き、吹き出した一部のコーラを流していた。


「炭酸を抜いていたのか。でもどうして?」


「余分な炭酸を抜くためよ」


 と、ストレッチを終えたユージロコがこう言った。


「エネルギーを補給するため、あの子はコーラを飲んでるの。でも、炭酸が余分だから、ああやって炭酸を抜いていたのよ」


「そうなんですか」


「つーかこれ、元ネタとそのまんまのような気がしますが……大丈夫なんですか?」


「元ネタ? 何のことよ?」


 ユージロコがこう言うと、あくびをしながらシアンが控室に入ってきた。


「あら、もう試合が終わったのね、勇者ちゃん」


「ああ、あなたですか。ええ。私の敵じゃありませんよ」


 と、シアンはこう言葉を返した。そんな中、食事を終えたジャクミがシアンに近付いた。


「サッキノ話、聞イテイタワ。仲間ガ行方不明ナノニ、心配ジャナイノ?」


「心配よ。でも、キトリがいるから大丈夫。きっと、ベーキウを見つけ出すわ」


「信ジテイルノネ、アノ子ノコトヲ」


「仲間だからね。私も余裕があったら、探しに行くけど……本当はあのおばさんが目を覚まして、探しに行ってくれればいいんだけど」


 シアンはベッドの上で爆睡しているクーアを見て、ため息を吐いた。バキコがシアンに近付き、頭を下げた。


「私の義理の妹があんなことをして……本当にすまないわ。こんなことが起きるなんて、予想してなかったのよ」


「あまり気にしないで。それよりデレラさんのこと、義理の妹って?」


「あの子はみなしごだったのよ」


 と、ユージロコがこう言った。ユージロコは自分が話すと言い、シアンに近付いて話を始めた。


「昔、知り合いの孤児院で、私があの子を引き取ったのよ。貧乏な孤児院で、まだ赤ん坊だったあの子を育てる余裕がないくらいだったのよ。だから、私があの子を引き取って育てたってわけ。孤児院は、あの後潰れたけど」


「そうだったんですか……」


「父親は不明。母親は亡くなったって言ってたわ」


 ユージロコはそう言うと、ため息を吐いた。


「だから、私たちとあまり似てないのよ。そのせいで、あの子には武道の才能がないの」


 デレラには武道の才能がない。この言葉を聞いたシアンは、声を出して驚いた。


「噓でしょー? 手加減していたとはいえ、あのクーアをぶっ飛ばしたのよ?」


「確かに成長はしたけど、あの子の武道の成長はあれが限界。今の強さを引き出しているのは、私たちと同じくらいに強い戦闘意欲の高さ。あれが、あの子の武器なのよ」


 ユージロコの言葉を聞き、シアンは驚くことしかできなかった。驚いているシアンの顔を見て、ユージロコは小さく笑った。


「お話はこれで終わり。じゃあ、次はリングの上で」


「はい。戦う時は、容赦しません」


「同じセリフを返すわ」


 と言って、ユージロコは笑いながら去って行った。




 一方その頃、ベーキウとジャオウを捕まえて新しいクローン戦士を作っているチャンバは、実験用のモニターを見て笑みを浮かべていた。


「すごい! すごいすごいすごい! これだけすごい遺伝子を持っているとは! こいつらを目に付けていて正解だった! もう一つ強い戦士の遺伝子があれば、クローン戦士はもっと強くなれる!」


 テンションが上がったチャンバは、笑いながらこう言った。そんな中、部下が近付いた。


「チャンバ様。大変なことが起こりました」


「何だ?」


「あの戦士の仲間が、捜索を始めました」


 部下の言葉を聞き、チャンバはモニターを切り替えた。そこには、場内のメイドが着替えている映像や、女兵士の着替えの映像が映った。


「わお! モーレツ! じゃありませんよ、何やってんすかあんた? まさか、女子更衣室に隠しカメラを設置してたんですか?」


「いやー。これはその……それより、あの戦士の仲間を見つけ出さないと」


 と言って、ごまかしたチャンバはモニターを操作した。すると、別々に分かれて行動しているキトリ、アルムとレリルの姿がった。


「二手に分かれているのか。好都合じゃ。一度、こいつを試してみよう」


 そう言いながら、チャンバは水槽の中で眠るクローン戦士を見た。


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