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激突! ロリババアエルフVS喧嘩狂いの美女!


 今作品の主人公、ベーキウとライバルポジションであるジャオウが悪い奴に捕まってしまった状況の中、大会は順調に進んでいた。


 シアンは目の前の相手、ツッコミーを睨んでいた。前の試合にて、ツッコミーは鋭い飛び蹴りで対戦相手を一発で蹴り倒してしまったのだ。


「ヒョッヒョッヒョッ。まさか、あの勇者様が俺の相手になるとは、思ってもいなかったよ」


「さっきの戦い見てたよ。いい蹴りを持ってるね、あんた」


「褒められて光栄です。ですが、それと試合は別物だ! さぁ、俺の飛び蹴りでぶっ飛ぶがいいねー!」


 試合が始まったと同時に、ツッコミーはシアンに向かって鋭い飛び蹴りを放った。シアンは動きを察し、攻撃をかわした。


「避けられたか。だが、次の攻撃で確実に……」


 次の攻撃を仕掛けようと考えていたツッコミーだったが、飛び蹴りの勢いが強すぎてステージから外れてしまった。


「うわァァァァァァァァァァ! 誰でもいいから止めてェェェェェェェェェェ!」


 ツッコミーは叫び声を発したのだが、誰もがツッコミーを受け止めることをせず、悲鳴を上げて逃げた。その結果、ツッコミーは観客席に激突した。


「ツッコミー選手、場外。勝者、シアン選手!」


 リングアナウンサーの声を聞き、シアンは呆れながらもツッコミーを見ていた。




 一方カオイジリとの試合で、残虐ファイト一歩手前の試合を見せていたデレラだったが、あの試合でデレラの感情が爆発し、次の試合も相手の攻撃をかわし、歓喜の声を上げながら相手を殴っていた。そのせいで、他の選手はデレラを見て鼻の下を伸ばすことより、逃げることを選択していた。


「もう。怯え切っている状態では、戦いになりませんわ。見た目は立派ですけど、頭の中はそうでもなさそうね」


 逃げる選手を見て、呆れたデレラはこう言っていた。そんなデレラに、ジャクミがこう言った。


「張リ切リスギヨ、アナタハ」


 ジャクミの言葉を聞いた後、アナウンサーの声が聞こえた。


「次の試合、クーア選手とデレラ選手になります。両者、リングに上がってください」


 この言葉を聞き、デレラはにやりと笑った。


 デレラはクーアのことを知っている。勇者パーティーの一人で、魔力を使って戦うエルフ。最初、デレラはクーアが格闘技を使って戦えるかどうか不安に思っていたが、滅茶苦茶な拳法でクーアは戦い、敵をなぎ倒してきた。それを見ていたため、デレラはクーアと試合をするのが楽しみになっていた。


「よし! ついにあの方と一戦交えることができる! 頑張ります!」


「相手ニ怪我ヲサセナイデネ。少シハ加減シナサイヨー」


 やる気十分のデレラを、ジャクミは見送った。




 リングの上に上がったクーアとデレラは、互いの顔を見ていた。


「すごい美人じゃが、手加減はしないぞ」


「手加減なんていりません! 本気で戦ってください! もっと私をわくわくさせてください!」


 目を輝かせながら言葉を放つデレラを見て、逆にクーアは引いた。そんな中、試合が始まった。


「わくわくしたいのななら、もっとさせてやるわ!」


 クーアは声を発しながら、デレラに近付いて飛び蹴りを放った。デレラはクーアの攻撃をかわし、クーアが次にどう動くか観察した。


「いい動きをするが、まだまだぁ!」


 すぐに起き上がったクーアは、デレラに接近して殴りかかった。デレラはクーアの攻撃をかわし、後ろに下がった。


「これで本気ですか?」


 と、デレラはクーアを挑発するようにこう言った。この言葉を聞いたクーアは、にやりと笑った。


「そんなに痛い目にあいたいのか。なら、トラウマ級の痛みを与えてやるぞ!」


 クーアはそう言うと、魔力を開放しようとした。それを察したリングアナウンサーは、慌ててこう言った。


「ああちょっと! 魔力の使用は禁止です! やったら反則負けにしますよ!」


「ちょっとだけ魔力を使うのはダメか?」


「ダメです!」


 クーアとリングアナウンサーの会話を聞いていたデレラは、にやりと笑ってこう言った。


「少しだけなら使ってもいいですわよ。本気でないと、私は楽しめないので」


「え……ええ」


 デレラの言葉を聞いたリングアナウンサーは困惑したが、仕方ないと思いつつ、クーアにこう言った。


「リングを破壊しないこと、相手を痛めつけないこと。それでなら、魔力の使用を許可します」


「よし! 話の分かる奴じゃ! さぁ覚悟しろ!」


 クーアはちょっとだけ魔力を使うと、デレラに向かって走り出した。急接近したクーアを見て、デレラは嬉しそうにこう思った。


 少しだけだけど、これがこの人の本気! かなり強い力を感じる。あぁ……いい喧嘩になりそうですわ!


 そう思っていると、クーアの拳がデレラの左頬に命中した。攻撃を受け、ひるんだデレラだったが、隙を与えないクーアの連撃がデレラを襲った。


「うォォォォォりゃァァァァァ! このままお前を倒してやるのじゃァァァァァ!」


 クーアはデレラを確実に倒すため、魔力を少ししか開放していないのだが本気で攻撃を行っていた。連撃の最初、デレラは攻撃を受けていた。だが、途中でデレラの動きが変わり、クーアの攻撃をかわすようになっていた。


 攻撃がかわされる! このまま攻撃を続けても、意味がない!


 そう察したクーアは後ろに下がり、デレラの様子を見た。ふらついていたデレラは背筋を伸ばし、クーアにこう言った。


「あら? もう終わりですか? やっと攻撃を受けて、面白い喧嘩になりそうだと思っていましたのに」


「何じゃと! それなりに力を込めて攻撃をしたのに! まだ余裕なのか、お前は!」


「ええ。ルール上、あなたが全力を出せないのが惜しいです」


「はん! 若造が何を言っとる! 全力を出したいのなら、本当に全力を出してもいいんじゃぞ!」


 そう言って、クーアは魔力を開放しようとした。だが、その前にデレラが接近して、クーアの腹に拳を沈めた。


「うぶぁっ……」


 強烈な痛みと吐き気が、クーアを襲った。攻撃を受けたクーアが反射的に後ろに下がる中、デレラは左足に力を込めた。


「今度は本気であなたと戦いたいです。ルールなしの、本当の喧嘩でね!」


 そう言って、デレラは左足を大きく振るってクーアを蹴り飛ばした。それを見ていたリングアナウンサーは、戸惑いながらもこう言った。


「く……クーア選手場外……しょ……勝者、デレラ選手!」


 リングアナウンサーの声の直後、観客の歓声が響いた。




 試合を見ていたキトリは、クーアが負けたことを知って驚いていた。


「手加減していたとはいえ……あのクーアが負けるなんて……」


 気を失ったクーアが、担架で運ばれるのを見て、キトリは呟いていた。そんな中、アルムとレリルがキトリに近付いた。


「何か用?」


「あの、ジャオウを見ませんでしたか?」


「試合が終わってしばらくしたら合流するとか言ってたのに、戻ってこないのよ」


「そうなの」


 アルムとレリルの話を聞き、キトリはあることを思った。ベーキウも試合が終わったから、戻ってくるはずだと。


「そうだ、ベーキウもいない」


「どこ行っちゃったのかな? ジャオウ、方向音痴だから城の中で迷っていると思って、探したんだけどいないんだ」


「あのイケメンも戻ってきてないのね? ちょっと、不安ね……」


 珍しくレリルが不安な表情を浮かべた。キトリは少し考えた後、アルムにこう言った。


「何かあったかもしれない。三度目の一時休戦ね。まず、このことをシアンに伝えてくるわ」


「お願いします。なにも変なことが起きなければいいんですが……」


 不安な表情のアルムに対し、レリルは大声で笑いながらこう言った。


「あんなロリコン王みたいな変な性癖を持った奴がうじゃうじゃいるわけないじゃない! 大丈夫って思えば大丈夫なもんよ!」


「はぁ……不安だ」


 能天気なレリルの言葉を聞き、アルムはため息を吐いた。


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