主人公とライバルが敗退しちゃったけど、大会は続くんじゃよ
ベーキウとジャオウの反則負けを見て、キトリは茫然としていた。
「き……気持ちが高ぶっていたのかしら?」
いつもの真面目なベーキウだったら、ルールを守るとキトリは思っていたのだが、目の前に倒すべき相手がいる。その相手と戦うため、ベーキウの感情が高ぶったのだとキトリは思った。そんな中、アルムが騒ぐレリルを抑える光景を見た。
「きー! 何やってんのよあいつ! 私、あいつが勝つって信じてヘソクリを賭けちゃったじゃない!」
「落ち着いてくださいレリルさん! それより、ヘソクリって何の話ですか? 僕たちの旅が常に金欠で、キツキツの状態でやっているんですよ。それで、お金を貯める余裕があったんですか?」
「げ! やべっ、こっそりヘソクリ溜めてたのがばれた!」
などと騒ぐレリルを見て、呆れてキトリはため息を吐いた。
控室に戻ってきたベーキウは、シアンとクーアに頭を下げていた。
「すまん。感情が高ぶってしまった」
「まー、しゃーないわよ。あいつが相手何じゃ、私も感情を抑えきれないし」
「あとはわらわが相手をぶちのめして優勝するから、終わったらデートな」
クーアの言葉を聞き、シアンはクーアの首を絞めた。
「ベーキウとデートの約束をするのは私だけで十分よ! あんたはステージの上でぼっこぼこにされて、みっともない姿を晒しなさい!」
「みっともない姿を晒すのはお前の方じゃ!」
と言って、クーアはシアンの拘束を解き、背後に回ってバックドロップを仕掛けた。
「お前はステージの上でボロボロにされて、同時に服もボロボロになるがいい。まぁ、貴様のない胸がポロリしても、興奮する奴はいなさそうじゃがな」
「私の方も言わせてもらうわよ。あんたみたいなババアがエロい姿でボロボロになっても、誰も興奮しないってね!」
シアンは無理矢理クーアから離れ、飛び蹴りを放った。シアンとクーアが喧嘩をする中、役員が現れた。
「次の試合はシアン・ダンゴ選手とセクハーラ・スキナンデス選手です」
名前を呼ばれたシアンは、クーアから離れて役員の元へ向かった。去って行くシアンを見て、クーアはこう言った。
「やーいやーい! フルボッコにされろー!」
「戻ってきたら、あんたをボコすから、覚悟しなさい!」
シアンはそう言いながら、クーアに向かって文字では表現してはいけない指のジェスチャーをした。去って行くシアンを見て、ベーキウは大きなため息を吐いた。そんな中、ジャオウがベーキウに近付いた。
「外で続きをするか?」
この言葉を聞き、戦いを挑まれたと思ったベーキウは、すぐに頷いた。
「ああ。お前とは確実に決着をつける」
「そうだな」
その後、ベーキウはジャオウと控室から出て行った、クーアはベーキウに近付き、こう言った。
「そっちはそっちで片を付けてくるのじゃ。純白のガラスは、わらわに任せろ」
「ああ、頼む」
ベーキウは短くこう答えると、ジャオウと一緒に去って行った。
ベーキウとジャオウの戦いの後、試合は順調に進んだ。まず、シアンとセクハーラの戦い。
「うっひっひ! 僕チン好みの美少女だ! 今すぐにボコボコにして服をひん剥いて、いいことをしてあげるよ!」
と、セクハラ発言をしたセクハーラの顔面に向かって、シアンは強烈な飛び蹴りを放った。その一撃で、セクハーラは失神し、シアンの勝利で終わった。
次に、クーアの試合。
「はいやー! かかってくるアルネー! 私のヌンチャクで、ズタズタにしてやるネー!」
と、刺が付いたヌンチャクを振り回すニャッキー・ジョンがクーアの相手だったが、武器を使ったため、ニャッキーは失格になった。
「あいつ、ベーキウとジャオウの試合を見ていなかったのか?」
去って行くニャッキーを見ながら、クーアは呟いた。
試合が終わり、シアンとクーアは控室で試合を見ていた。今、テレビで流れいたのは、トンカチ一家の長女、ジャクミとその対戦相手、プロレスラーのヌルヌルローションの試合だった。
「プロレスラーの名前、変な名前ねー。あの名前で戦っているのかしら?」
「そのようじゃぞ。ヌルヌルローションって名前にしたのは、風俗が好きじゃからって言ってた」
「しょーもな」
シアンがそう言うと、試合が始まった。
「おっと! ヌルヌルローションがローションを使ったかのごとく、滑りながらジャクミ選手に突進を仕掛けたー!」
リングアナウンサーの声が聞こえた。ヌルヌルローションは滑る勢いで、ジャクミに攻撃を仕掛けた。だが、ジャクミは右足で突進してくるヌルヌルローションを蹴り飛ばした。
「うォォォォォォォォォォ! ローションが滑って止まらないィィィィィ!」
と、ヌルヌルローションは悲鳴を上げていた。その結果、ヌルヌルローションはリングアウトで負けになった。
「あほくさ」
試合を見ていたクーアは、呆れてこう言った。
次の試合はトンカチ一家の次女、バキコとパワードスーツを身に着けた科学者、イカレテールの試合だった。
「フェフェフェフェフェ! 吾輩が三日で作った、このパーフェクトスーパーストロングスーツの実験台にしてやろう!」
そう言いながら、パーフェクトスーパーストロングスーツを身に着けたイカレテールは、バキコに襲い掛かった。だが、バキコはイカレテールの腹に向かって強烈なストレートを放った。
「うっぶぅ……」
「そんなのに頼っているから、あんたは弱いのよ」
攻撃を受けて、ひるんでいるイカレテールに向かってバキコはそう言うと、強烈な蹴りを放ち、イカレテールを場外に向かって蹴り飛ばした。
「うわー、すごい一撃」
「あんなの喰らったら、一発で気を失いそうじゃ」
テレビに流れる気を失ったイカレテールを見て、シアンとクーアはこう言った。
次の試合はトンカチ一家の母、ユージロコといろんな噂がある拳法家、シャブマミレの戦い。
「ゲヘッ……ゲヘヘヘヘ。すごいなぁお前さん、試合前から三人に分身するなんて」
と、シャブマミレはこう言った。シャブマミレの様子を見て、シアンはこう呟いた。
「こいつ、もしかして麻薬をやってるんじゃない?」
その直後、試合が始まった。シャブマミレはユージロコに襲い掛かったが、ユージロコは左手でユージロコの顔を掴んだ。
「お前の話は聞いている! 強い力と肉体を求め、薬を使ったと! その結果がこれだ! お前は弱い! 薬に溺れるような弱者がッ! 私を倒せると思うなッッッ!」
と言って、ユージロコはシャブマミレを叩きつけるようにステージの上にぶつけた。その結果、シャブマミレの上半身は、ステージに突き刺さった。
「あーあ、またステージがボロボロになっちゃたわねー」
「こりゃーステージを直すのに時間がかかるのー」
シアンとクーアは、お茶を飲みながらこう言った。
しばらくして、デレラとイケメンな格闘家、カオイジリの試合が始まった。
「素晴らしいお嬢さんと戦えるなんて、光栄です」
と言って、カオイジリはデレラの手を握り、手の甲にキスをしようとした。だが、デレラは手を払った。
「私をナンパしたかったら、強さを証明してください」
「ふっ、強い人にだけしか抱かれないか。分かった。僕の強さを君に見せよう」
会話の直後、試合が始まった。カオイジリはデレラに接近し、攻撃を仕掛けた。
「あー、あの女の人、避けてばっかりだ」
「体系が格闘術に向いていないのじゃ。やはり、きつかったのじゃろう」
シアンとクーアは、防戦一方のデレラを見てこう言ったが、遠くからテレビを見ているバキコは、心の中でこう思っていた。
デレラお姉様、戦いを楽しんでいるわね。あんなに楽しそうな顔、見るのは初めて。
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