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次の大陸へ!


 焔のルビーを手にし、ベーキウたちはスノウたちに別れを告げて次の大陸へ旅立った。船旅の途中、船の部屋の中でシアンは次の大陸のことを話していた。


「次の目的は純白のガラス! 純白のガラスはガラス王国って国にあるわ!」


 ガラス王国と聞き、クーアは何かを思い出したかのようにこう言った。


「あの国か。確か、あの国はガラス細工で有名だな」


「そう。ガラスの素材になる物質がたくさん採れるから、それを逆手に取ったような感じで、有名になったの」


「それで、とれる物質の中でかなりレアなのが、純白のガラスってわけね」


「キトリの言う通り!」


 シアンは決めポーズをしながら、キトリの方を指さした。


「採れる素材の中で、異質だけどとっても特別なのが純白のガラス! 噂だと、純白のガラスは他のガラスと違って、高い透明度と高い硬度を持っているすごいガラスなのよ!」


 この言葉を聞き、ベーキウは雑誌で見たある話題を思い出した。


「思い出した。とある強盗が大富豪の家に忍び込んだけど、あまりにも透明なガラスだから強盗はガラスの存在に気付かず、激突して大けがしたって話があったな」


「そう。それこそが純白のガラスで作られた防犯ガラス。かなり透明だから、強盗は目の前にガラスがあるなんて察することができなかったのよ」


「ほう。それじゃあ次の素材はそのガラスか。簡単に見つけることができればいいんじゃが」


 と、クーアはあくびをしながらこう言った。そんな中、携帯電話を操作していたキトリが何かを見つけ、ベーキウたちに見せた。


「すぐに見つかったけど、手にするのは難しそうだよ」


 ベーキウたちはキトリの携帯電話の画面を見て、声を上げた。


「ほう。ガラス王国で武道会があるのか。その優勝賞品が……純白のガラス!」


「うおっしゃー! この大会で優勝すれば、楽に純白のガラスをゲットできるのー!」


 キトリは嬉しそうにこう言ったが、呆れたキトリがこう言った。


「ガラス王国の武道会はそれなりに有名で、結構強い拳法家や、格闘家が集まるみたい。武器や魔力で戦う私たちが勝つのは、ちょっと難しそうね」


「なーに、心配ないわ!」


 不安な表情のキトリは、シアンの言葉を聞いてさらに不安な顔になった。


「シアンって剣を使って戦うんでしょ? ずるしたら、勇者の肩書に汚れが付くわよ」


「ちゃんとルールを守って戦うわよ! 私は修行の一環で、それなりに格闘技を学んだのよ! 格下の格闘家なんて秒でぶっ飛ばしてやるわよ!」


 と、得意げにシアンはこう言った。そんな中、扉の方から笑い声が聞こえた。


「あんたら、ガラス王国の大会に参加するつもりかい?」


 この言葉を聞いたベーキウたちは、慌てながら扉の方を振り返った。そこには、勝手に部屋に入ってきて、扉の方に寄りかかっている男を見た。


「あの、勝手に部屋に入ってこないでください」


 キトリは呆れた表情で男にこう言ったが、男は小さく笑ってこう言った。


「俺はナグール」


「名前とか聞いていないので、さっさと出て行ってください」


「そんなことを言うなよ。あんたら、ガラス王国の武道会について、何も知らないんだな」


 ナグールの言葉を聞き、シアンとクーアは苛立った表情をした。その後、ナグールは部屋に入ってきたが、ベーキウとキトリに制止された。


「何も知らないから携帯電話で調べているんで」


「勝手に部屋に入ってこないでください」


「ちょっと待って、いろいろと教えようと思ったのに」


「大体察しています。かなり強い人たちがくるんでしょ? で、俺たちの実力じゃあ勝ち上がるのは無理って言いたいんでしょ?」


「あ、俺がいいたことを全部言っちゃった……ニヒルな役でカッコつけようと思ったのに」


「話は終わったんで、さっさと戻ってください」


「はい……」


 話が終わり、ナグールはしょんぼりしながら歩いて去って行った。


「なのじゃあの変態は?」


「いろいろと教えてくれそうな雰囲気だったけど、まぁいろいろと察しできる内容だったわね」


「勝手に部屋に入ってくる人の言うことなんて聞けないわ」


 キトリは扉を閉め、鍵をかけた。ベーキウは、お茶を飲みながら変な人も大会に参加しそうだなと心の中で思った。




 その日の夜、ベーキウたちは部屋の中のベッドの上で眠っていた。ベーキウはシアンたちにベッドを譲り、床の上で眠っていた。


「むぐっ! むぐぐっ! ぐー!」


「むがむがむががが! むっがー!」


 ベッドの上では、拘束されているシアンとクーアが叫んでいた。キトリはシアンとクーアがベーキウに夜這いをするだろうと考え、シアンとクーアを魔力の鎖で動きを封じていたのだ。そのおかげで、少しうるさいのだがベーキウはちゃんと眠ることができた。


 ベーキウとキトリが寝息を立てながら眠っていると、突如大きな音が響いた。


「な……何だ!」


「何今の? うるさいわね……」


 目を開けたベーキウとキトリは、急いで電気を点けて、時計を見た。時刻は午前三時。まだ夜中であった。


「こんな夜中に何やってるのよ……」


 キトリは叫び疲れて眠っているシアンとクーアを無視し、ベーキウと一緒に外に出た。外には、同じように大きな音によって目を覚ました他の乗客がいた。


「あなたも起きたんですか」


「と言うことはあなたも。災難ですな」


「上の方から音が聞こえました。確認してきましょう」


 乗客たちは、上へ向かって歩き出した。ベーキウとキトリも音の正体が気になったため、他の乗客と一緒に上へ向かって歩いた。外に出ると、タンクトップの集団が大声を上げながら筋トレをしていた。


「うげぇ……何やってるのよ、あの人たち」


「筋トレか? こんな夜中に……」


 ベーキウはあくびをしながら、キトリにこう言った。そんな中、タンクトップ集団の一人がベーキウに近付き、こう言った。


「君も大会のためのトレーニングに参加するのかい?」


 この言葉を聞き、ベーキウとキトリはこの集団がガラス王国の武道会の参加者だと察した。


「あんたらは、ガラス王国の武道会に出るんですか?」


「もちろんだよ! 大会には、腕に自信がある戦士たちが集まるんだ! 朝早くから鍛え、最高のテンションで大会に備えたいんだ! どうやら、筋トレを始めた人たちは同じ気持ちのようだ!」


 と言いながら、タンクトップの男性はベーキウの肩を叩き、再び口を開いた。


「君も大会に出るのなら、一緒に汗をかかないかい?」


「遠慮します。俺はまた寝ます……」


「そうか! アーッハッハ! 確かに睡眠も大事だな! では、大会で会えたら会おう!」


 タンクトップの男性はそう言って、再び筋トレを始めた。ベーキウたちは呆れながらも自室に戻り、再び寝ようとした。だが、タンクトップの集団の声がうるさすぎて、眠ることができなかった。




 筋トレをしているタンクトップの集団の一人が、にやけながらスクワットをしていた。


「これだけ鍛錬を積めば、あの一家と対等に戦える!」


 この言葉を聞いた別のタンクトップの男性が、近付いて話しかけた。


「お前、あのトンカチ一家と戦いたいのか?」


「ああもちろん! あの一家も今回の大会に参加するだろう! 俺は自分より強い奴と出会い、戦いたいんだ!」


「最高の考え方だ。多分、この場にいる連中も同じ気持ちだ!」


「そうか! トンカチ一家と戦えたら、幸運だな!」


「ああ、俺もあの一家に負けないように、筋トレしないとな!」


 話が終わると、話をしていたタンクトップの男性は激しい筋トレを始めた。タンクトップの集団は、朝日が昇っても叫び声を上げながら筋トレを行っていた。この様子を見ていた総舵手は、あくびをしながら小さく呟いた。


「朝から筋トレしてたら、逆にばてないか?」


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