表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/300

あのロリコン王に制裁を!


 バーサーカーモードになって大暴れするドイテオニーチャン。これにより、ベーキウとシアンが倒されてしまった。この作品の主人公とヒロインなのに、どうしてやられるんだとか言わないこと。大ピンチな状況の中、ヒルヴィルが加勢した。




 岩盤に叩きつけられ、追撃を受けたベーキウは大きなダメージを負っていた。クーアが救援にきたのだが、気を失ったベーキウを見て、悲鳴を上げた。


「ベーキウ! わらわがきたぞ! 安心せい!」


 クーアはこう言ったのだが、ベーキウは反応しなかった。気を失っていると判断したクーアは、急いでベーキウの治療を始めた。


「今傷を治してやるぞ。しっかりするのじゃ!」


 慌てるように、クーアは魔力を開放してベーキウの治療を始めた。しばらくすると、ベーキウが目を覚ました。


「ク……クーアか」


「ベーキウ! 目を覚ましたのか! このまま治療を続けるから、完全に治るまでもうちっと待ってくれ!」


 クーアはこう言って、ベーキウを安心させた。治療中、ベーキウはクーアにあることを尋ねた。


「今、状況はどうなってるんだ?」


「キトリがシアンを回復中。ジャオウたちがあのポンコツを相手に戦っているのじゃが、ジャオウ以外の二人は、援護専門じゃから、ジャオウがやられたら終わりじゃ。あいつらに命運をゆだねるのはおかしな話じゃが……」


 クーアがこう言うと、突如強い魔力を感じた。


「どうやら、誰かが援護にきてくれたようじゃ。ベーキウ、急いで治療するぞ!」


「ああ、頼む」


 と、苦しそうにベーキウはこう言った。




 ヒルヴィルは魔力を開放し、宙に浮いた。ヒルヴィルの魔力を感じたキトリ、そしてジャオウたちは目を丸くして驚いた。


「こんなに強い魔力を持った人がいるなんて……」


「あの人、私より強い」


 と、アルムとレリルは小さく呟いた。そんな中、ドイテオニーチャンはヒルヴィルに向かってストレートを放った。だが、ヒルヴィルはあっさりとドイテオニーチャンのストレートを受け止めた。


「クソッ! ドイテオニーチャンの攻撃を簡単に受け止めてしまうとは! ドイテオニーチャン! 物理攻撃では無駄だ! ミサイルを使え!」


「はい」


 ドイテオニーチャンの後ろにある小型ミサイルハッチが開き、無数の小型ミサイルが発射された。


「ヒルヴィル王妃!」


 心配したキトリが、ヒルヴィルの名を叫んだ。ヒルヴィルはキトリを安心させるためにウィンクをし、宙を動き始めた。ミサイルはヒルヴィルを追尾するかのように動いていたのだが、ヒルヴィルは小さな魔力の塊を発し、ミサイルを破壊した。そして、ミサイル同士がぶつかり合い、爆発していった。この様子を見ていたペデラタンは、歯を食いしばりながら叫んだ。


「ドイテオニーチャン! 魔力だ! 魔力であのババアを始末しろ!」


「はい」


 ドイテオニーチャンは両手から魔力の塊を作り、破裂させて勢いよくビームを発した。ヒルヴィルは振り返り、飛んでくるビームを受け止めた。


「ハッハッハ! あのババア、ビームを受け止めやがった! 今のうちにあのババアを始末しろ!」


「はい」


 このまま押し切って、ヒルヴィルを倒そうとペデラタンは考えた。だが、突如コクピット内に警告音が流れた。


「何だこれは!」


「注意、注意! 背後から強烈な攻撃を受けています!」


「背後だと!」


 ペデラタンは後ろを確認すると、手当てを終えたキトリ、そして復活したシアンがアルムとレリルの力を借り、後ろから攻撃していた。


「覚悟しろロリコン野郎!」


「あなたはここで倒します!」


 シアンとキトリは、叫び声を上げながら攻撃していた。どうにかしたいのだが、ヒルヴィルを倒すためにビームを放っているため、今はとにかくヒルヴィルを倒すことに専念した。だが、その時だった。


「うォォォォォォォォォォ!」


 ジャオウが渾身の力を使い、ドイテオニーチャンの足を大剣で攻撃したのだ。この攻撃を受けたドイテオニーチャンは、少しだけバランスを崩した。


「なっ! しまった!」


 ペデラタンは動揺したのだが、すぐに体制を整えた。


「これで次は倒れんぞ!」


 と、得意げにこう言った。だが、ペデラタンの不幸は終わらなかった。治療を終えたクーアが、ベーキウを連れて猛スピードで飛んできたのだ。


「ベーキウ! わらわの愛の魔力を注ぐ! その力で、あのロリコン野郎をぶっ倒すのじゃ!」


「ああ、任せろ!」


 クーアは魔力をベーキウに注ぎ、力を付けた。その後、ベーキウはドイテオニーチャンに向かって飛び、足元を攻撃した。


「ああ! またバランスが!」


 ペデラタンは慌てながら、再び体制を整えようとした。だが、ジャオウが再びドイテオニーチャンの足を攻撃した。


「これで倒れるはずだ」


 ジャオウがこう言うと、ドイテオニーチャンは転倒した。ビームが弱まったその隙に、ヒルヴィルは目を開いて魔力を開放した。


「これで終わりよ! あんたのせいで、いろんな人に迷惑が掛かっているのよ! 反省しながら、ぶっ飛びなさい!」


 ヒルヴィルはそう言うと、両手に強い魔力の塊を発し、大声で叫びながら大きなビームを発した。その大きさは、ドイテオニーチャンを包み込むほどの大きさであった。


「そんな……この……ドイテオニーチャンが……」


「バカな! こんなはずでは……」


 ペデラタンとドイテオニーチャンは、悔しそうな声を上げた。このままだと酷い目に合うと察したペデラタンは、脱出ボタンを押し、自身が乗るコクピットを上へ吹き飛ばした。


「あ、逃げた!」


 アルムは逃げるペデラタンを見つけて叫んだ。だが、ジャオウがこう言った。


「あいつ一人では何もできない。ここはひとまず、逃がそう」


 その後、ヒルヴィルが放つビームは、ドイテオニーチャンをどこかへ吹き飛ばした。




 戦いは終わった。ビームを放ち終えたヒルヴィルは、疲れた様子を見せながらその場に座った。


「ヒルヴィル王妃!」


「大丈夫ですか!」


 と、心配したベーキウたちがヒルヴィルに駆け寄った。ヒルヴィルは疲れたものの、笑みを見せてベーキウたちを安心させた。そんな中、ジャオウはアルムとレリルに何か合図をし、その場から去ろうとした。そのことを察したベーキウは、ジャオウの名を叫んだ。


「おい、何をするつもりだ?」


「この大陸から去るだけだ。焔のルビーは諦める」


「そうか……」


 ベーキウがそう答えると、ジャオウはベーキウの方を振り返ってこう言った。


「次に会う時は敵同士かもしれんな。その時に、焔のルビーを奪うかもな」


「渡せねーよ。絶対にな」


「ふっ。そうか」


 ジャオウはそう答えると、アルムとレリルを連れて去って行った。


 ジャオウたちが去った後、戦いが終わったことを察したスノウたちがやってきた。


「ベーキウ様ァァァァァ! あぁ、酷い怪我をされているようで……」


 スノウは泣きながら、ベーキウに抱き着いた。シアンたちは奇声を上げてスノウをベーキウからどかそうとしたのだが、スノウはなかなか離れなかった。その様子を見て、ヒルヴィルは小さく笑ってこう言った。


「スノウ、ベーキウさんのことがずっと不安だったのね」


「はい。お……お義母さん!」


 スノウは、やつれた表情のヒルヴィルを見て驚き、近付いた。


「お義母さん、強い魔力を使ったのですか!」


「ええ。少し疲れたけど、すぐに治るわ」


「もしかして、ペデラタンを倒すために強い魔力を使って……」


「その通りよ。少し無茶したけど、あなたを助けるためなら、何だってするわ」


 と、ヒルヴィルは笑顔でこう言った。その後、疲れ切ったベーキウたちはカンベイたちの力を借り、近くの宿屋へ移動した。


 とりあえず、戦いは終わったな。


 移動する中、ベーキウは荒れ果てたユイーマの城を見ながら、心の中でこう呟いた。


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ