表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/300

愛する者のために


 スノウを救出した後、ヒルヴィルはペデラタンと戦うベーキウたちの元へ向かった。スノウを探す中で、ヒルヴィルは外から響く轟音を聞いていたのだ。


 あれだけ大きな音だから、派手な戦いになっているはず。急がないと、あの人たちがやられる可能性がある!


 ヒルヴィルはこう思い、急いで走り始めた。




 バーサーカーモードと言う中二病のようなシステムが発動し、周囲は騒然となった。武器を持つベーキウたちも、動かないドイテオニーチャンを見て、動揺していた。


「何があったのだ?」


「さぁ……分からん」


 戸惑うジャオウの問いに対し、ベーキウも戸惑いながらこう答えた。そんな中、クーアが魔力を開放した。


「動かない今なら、ぶっ潰すチャンスじゃ! これでスクラップにしてくれるわ!」


 と言って、クーアは無数のビームを放った。ビームがドイテオニーチャンの目前に迫った瞬間、ドイテオニーチャンは左手を前に出し、クーアが放ったビームをかき消したのだ。


「何!」


「この程度のパワーで、私を倒すことはできぬ!」


 アニメの美少女キャラのような声を発していたドイテオニーチャンだったが、いきなり巨漢の悪魔のような声に変った。


「うぇぇ……私、さっきの声の方が好みだったのに」


 声を聞いて、ペデラタンは残念そうに呟いた。その後、ドイテオニーチャンは勝手に動き出し、近くにいたベーキウに攻撃を仕掛けた。慌てたベーキウは、反射的にクレイモアを前に突き出し、防御した。だが、ドイテオニーチャンの力が強く、徐々にベーキウは押されていった。


「ぐあっ! ぐっ!」


「クッ! 俺が奴の腕を斬る。それまで耐えてくれ!」


 ジャオウは急いでドイテオニーチャンの両腕を切り落とそうとした。だが、ドイテオニーチャンの頭に装備されていたバルカン砲が、ジャオウを襲った。


「があっ!」


「ジャオウ!」


 ジャオウが攻撃を受けていると察したアルムは、素早くジャオウの前に立ち、バリアを張ってバルカンを防いだ。だが、バルカンの勢いが強いせいで、アルムが張ったバリアにはひびが入った。


「グッ! かなりの魔力を込めているのに……」


「こりゃーやばいわね!」


 シアンは剣を持って高く飛び上がり、ドイテオニーチャンのバルカン砲を斬って破壊しようとした。だが、後ろに隠されていた小型キャノン砲が、シアンの目に入った。


「嘘!」


 シアンが驚いた瞬間、小型キャノン砲が発射された。シアンは光を発して飛んでくる小さな弾を撃ち落としたのだが、二発目が発射されていた。


「そんなのあり?」


「考えている場合じゃないわよ!」


「あーもう! 面倒かけないでよ!」


 キトリは闇を開放して飛んでくる二発目の弾を撃ち落とし、レリルはシアンに近付いて、魔力を使って強化した。


「これであのポンコツにダメージが入ると思うわ。とにかくぶっ叩いて!」


「分かった。一応言っとく、ありがと」


 と言って、シアンは猛スピードでドイテオニーチャンの背後に近付き、剣を刺した。剣はドイテオニーチャンに刺さったのだが、特に異常はなかった。


「何なのだ、今のは?」


 そう言いながら、ドイテオニーチャンはゆっくりと振り返った。ダメージがないことを知り、シアンは焦った。


「そんな……結構奥深く間で突き刺したのに」


「雑魚からパワーをもらっても、私を倒すことはできぬぅ!」


 驚くシアンに向かって、ドイテオニーチャンは強烈なアッパーを放った。


「シアン!」


 アルムを助けていたベーキウは、吹き飛ぶシアンを見て叫び、ドイテオニーチャンに向かって走り出した。


「あっ! 危ない! 構えないで近付いたら、返り討ちにされますよ!」


 走り出したベーキウに向かって、アルムは叫んだ。だが、この叫びはベーキウに届かなかった。ベーキウは力を込めてクレイモアを振り下ろしたが、ドイテオニーチャンにダメージは入らなかった。


「クソッ! これならどうだ!」


 追撃で、ベーキウはクレイモアをドイテオニーチャンに突き刺した。だがその前に、ドイテオニーチャンはベーキウを高く蹴り飛ばした。


「ガハッ……」


 蹴り飛ばされたベーキウは、着地のために態勢を整えようとしたのだが、その前にラリアットの構えのドイテオニーチャンが目の前にいた。


「はっ!」


 いきなり現れたため、ベーキウは防御することができず、ラリアットを受けてしまい、遠くの岩盤に激突してしまった。ドイテオニーチャンはベーキウの頭を掴み、岩盤に強く押し当てながらこう聞いた。


「もう終わりか?」


「グッ……ウゥ……」


 強いダメージを受けたせいで、ベーキウは気を失った。そして、ベーキウの体は力をなくし、岩盤から落ちて行った。




 クーアとキトリはダメージを受けて、倒れているシアンの治療をしていた。その中で、ベーキウが倒されたことを察した。


「ベーキウもやられたのか。キトリ、シアンはお前に任せる。わらわはベーキウを助けに行く!」


「私も行くわ!」


「お前はシアンの治療に専念するのじゃ! 早くシアンを戦線復帰させて、ジャオウたちと一緒に戦うのじゃ!」


 真剣なクーアの言葉を聞き、キトリはその言葉に従うことにした。治療中、ベーキウを倒したドイテオニーチャンが現れた。


「フハハハハハ! 強いぞ! かっこいいぞドイテオニーチャン! さぁ、残りの雑魚をこの世から消してしまえー!」


「はい」


 ペデラタンの命令を聞いたドイテオニーチャンは、右の手から巨大な魔力の塊を発した。だが、魔力の塊はキトリたちに命中する直前に軌道を変え、ユイーマの城の頂上に命中した。


「え……ええー? どうして城を破壊したのー?」


 と、恐る恐るペデラタンはドイテオニーチャンに尋ねた。それに対し、ドイテオニーチャンは笑いながらこう答えた。


「お前たちが戦う意思を見せなければ、私はあの城を破壊するだけだ!」


「ちょっと待って! そんなことしなくていいから! 私とスノウ王女のあまーい新婚生活が送られなくなっちゃうから!」


「お兄ちゃんには、私がいればそれで十分。お兄ちゃんは、ずっとずっとずーっと、私の中にいればいいのよ」


 と言って、ドイテオニーチャンは笑い始めた。バーサーカーモードにより、ヤンデレ部分も以上に強くなったことを察したペデラタンは、小声でこう呟いた。


「悪魔だ……」


 キトリたちが身構える中、ヒルヴィルがやってきた。


「ごめん、遅くなったわ」


「ヒルヴィル王妃。どうしてここに?」


「あのロリコン野郎を倒すためよ。それと、スノウは私たちで助けたわ。今は、カンベイたちと一緒にいるから安心して」


 この言葉を聞き、キトリは安堵の息を吐いた。そして、ゆっくりとシアンが立ち上がった。


「それなら、安心して暴れられるわ」


「シアン。まだ手当は終わってないのに。立ち上がったら傷が広がるわよ」


「大丈夫よ。あとは根性でカバーするわ」


 シアンは鼻から垂れている鼻血を手で拭い、剣と盾を構えてこう言った。


「私はまだやるわよ。ポンコツ野郎とロリコン野郎! このままぶっ潰してやるから、覚悟しなさい!」


 シアンの言葉を聞き、ドイテオニーチャンはシアンの方を振り返った。ペデラタンは苛立ちながら、シアンに向かってこう言った。


「生意気なことを言うなクソババアが! ドイテオニーチャン! あの生意気なクソババアと、その仲間を全員血祭りにあげてしまえ! ヒルヴィル王妃もいるが、構わん! 私とマイスイートエンジェルスノウたんの恋路を邪魔する奴だ、まとめて血祭りに上げろ!」


「うォォォォォォォォォォ!」


 ドイテオニーチャンは叫び声を上げながら、シアンたちに向かって走り出した。それに対し、シアンたちも武器を構え、迫るドイテオニーチャンを睨んだ。


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ