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二度目の一時休戦


 ペデラタンが操るドイテオニーチャンの攻撃が、ベーキウたちを襲った。だが、この状況を救ったのはまさかのジャオウだった。その姿を見たペデラタンはもちろんのこと、ベーキウたちも目を開いて驚いていた。


「ど……どうして俺たちを助けた?」


「あの外道の話は聞いている。外道を見過ごして先に向かうことなど、俺にはできない」


 と言って、ジャオウは力任せに大剣を振るい、ドイテオニーチャンの腕を吹き飛ばした。


「グッ! 援軍か何か知らんが、あいつらに手を貸すのなら、私の敵だ! ドイテオニーチャン、あいつもまとめてぶっ飛ばせ!」


「分かったわお兄ちゃん! お兄ちゃんのためなら、何でもするわ!」


 ドイテオニーチャンはそう答えると、コクピット付近から小型ミサイルを発射した。シアンとキトリが前に出て、細かい魔力の粒子を放ち、飛んでくる小型ミサイルを撃ち落とした。


「手を貸してくれるのはありがたいわ。とにかく今は、あいつを倒すわよ」


「ああ」


 シアンの言葉を聞いたジャオウは短く答え、大剣を持って前に出た。




 アルムとレリルは、離れた草むらの影の中でこの状況を見ていた。アルムはやっぱりと思いつつため息を吐き、レリルは髪をかきむしっていた。


「あーもう! 何やってんのジャオウは! あのロリコン野郎があいつらをとっちめたら、こっちが動きやすくなるってのに!」


「ジャオウは目の前の非道を許さない性格だから」


「何? ジャオウって何かあったら自分から首突っ込む性格なの? はぁ……もう」


 レリルは大きなため息を吐き、立ち上がった。


「仕方ないわね。こうなった以上、私も動かないと後で何か言われるわね」


 と言って、レリルはベーキウたちの元へ向かった。アルムはドイテオニーチャンを観察して、弱点の有無を調べた。




 ジャオウとともに戦うベーキウたちだったが、頑丈なドイテオニーチャンに物理攻撃は通用しなかった。


「グッ……見た目の割に厄介だ」


「二人で攻撃を仕掛けても、傷一つできないのかよ」


 武器を構えたベーキウとジャオウが、苦しそうに呼吸をしながらこう言った。そんな中、ドイテオニーチャンの両手からビームが放たれた。


「危ない!」


「わらわの後ろに隠れるのじゃ!」


 シアンとクーアがベーキウとジャオウの前に立ち、強いバリアを張った。攻撃が防御されていると察したペデラタンは、慌てながらドイテオニーチャンにこう言った。


「おい、あのバリアを壊すくらいの力を出すんだ!」


「ごめんね、お兄ちゃん……これが全力全開なの……」


「限界なんて超えてしまえ! ここでお前が倒されたら、私はあいつらに何をされるか分からんのだぞ!」


「やってみる……もし、私が壊れても……私のことは忘れないで……」


「死ぬ前のヒロインのようなことを言うな! 分かったから、お前のようなインパクトのあるロボットは忘れることはないから!」


 ペデラタンがこう言った直後、闇の剣を構えたキトリが目の前に迫っていた。


「せやっ!」


 掛け声を発しながら、キトリは闇の剣を振るった。闇の剣は激しい音を発しながら、ドイテオニーチャンに傷を付けた。


「キャァァァァァ!」


「なっ! 嘘だろ!」


 ダメージを受けて悲鳴を上げるドイテオニーチャンを見て、ペデラタンは驚愕した。その時、キトリの闇の槍が刺さった時にもドイテオニーチャンは悲鳴を上げたことを思い出し、あることを察した。


「まさか、ドイテオニーチャンは魔力の攻撃に弱いのか……」


 ドイテオニーチャンの弱点を察したペデラタンの顔は、青く染まった。


 攻撃を終えたキトリは、ベーキウたちの元へ戻っていた。


「皆、あいつの弱点が分かったわ」


「ああ。魔力による攻撃だな」


 ジャオウがこう言うと、キトリは頷いた。弱点が分かり、ベーキウたちは一気に攻撃を仕掛けようと考えた。そんな中、レリルが近付いた。


「弱点が分かったんなら、さっさと決めちゃってよ。私の魔力を貸してあげるからさ!」


 と言って、レリルはベーキウたちに魔力を放った。


「えー? あんたの魔力? ニンニクの臭いが移りそうなんだけど」


「移らないわよ!」


 シアンの言葉を聞き、レリルはこう叫んだ。ベーキウは戦いをやっている中で喧嘩をするのは止めてくれと思っていたが、レリルの魔力を借りた直後、体中に力がみなぎるのを感じた。


「すごい力だ……これなら、あいつを倒せる」


「だから、ちゃちゃっとやっちゃってよ」


 レリルは深く息を吐いて、その場に座った。ジャオウは大剣を構え、座り込むレリルを見てこう言った。


「ありがとう。助かった」


 ジャオウの言葉を聞き、レリルはブイサインを作った。




 レリルのおかげで、ベーキウたちはパワーアップし、一気にドイテオニーチャンを倒そうとした。


「キャァァァァァ! お兄ちゃん! こいつら、強すぎるよ!」


「分かってる! あークソ! この状況を打破する兵器はないのか!」


 ペデラタンは慌てながら、コクピット内を見回した。その時、激しい揺れがペデラタンを襲った。


「おわっぷ! クソッ! あいつらの攻撃が激しくなってる!」


 ペデラタンは外を見ると、猛攻撃を仕掛けているベーキウとジャオウの姿があった。


「うおォォォォォ!」


「覚悟しろ外道! お前はここで倒される運命だ!」


 ベーキウとジャオウの言葉を聞いたペデラタンは苛立ち、窓を開けて顔を出した。


「なーに主人公っぽいこと言ってんだ愚か者! お前らなんてこれで十分だ!」


 と言って、ペデラタンはベーキウとジャオウに向かって唾を飛ばし始めた。


「汚い!」


「子供のようなことをする!」


「やーい! バーカバーカ! お前たちのようなバカにやられる私ではないわバーカ!」


 ペデラタンがこう叫んだ直後、クーアが放った火炎がペデラタンの上半身を焼いた。


「バカはお前じゃロリコン野郎! 自分から姿を出すなんて余裕のつもりか? 今ならお前を粉々にすることだってできるのじゃぞ!」


 と言って、クーアは激しい炎を手から発した。これを受けたら死ぬだろうと思ったペデラタンは、適当にコクピット内のボタンを押した。すると、ドイテオニーチャンが騒音を発した。


「バーサーカーモード発動! 周囲に何かあっても、私は一切の責任を負いません!」


 この言葉を聞き、ペデラタンは何かやっちまったと思った。




 ベーキウたちが戦っている中、ヒルヴィルはカンベイたちとユイーマの城の中に入り、スノウを探していた。


「ベーキウさんたちが戦ったおかげでしょうか、兵士たちの姿を見かけませんね」


「そうね。とても都合がいいけど、この状況がいつでも続くかどうか分からないから、早くスノウを見つけるわよ!」


 ヒルヴィルはそう言いながら、扉を開けまくった。しばらくして、ヒルヴィルたちはスノウがいる部屋に入った。


「スノウ、いる?」


「この声は……お義母さん!」


 ヒルヴィルの声を聞いたスノウは声を出し、ヒルヴィルたちの前に姿を現した。


「スノウ、無事でよかったわ。まぁ……少し露出度が高いウェディングドレスね……あのロリコン野郎が無理矢理着させたのね」


「その通りです。服がどこにあるのか分かりませんが……」


 スノウがこう言うと、ロウベが笑いながらこう言った。


「後で売ろうとしてたんじゃが、兵士の服をいくつかかっぱらってきた!」


「後で売るって、これって泥棒じゃあ……」


「細かいことは気にするなカンベイ! 豪華な服じゃないが、兵士の服だから動きやすいじゃろう! 王女、これに着替えるがいい!」


 と言って、ロウベは服をスノウに渡した。スノウは恐る恐る兵士の服を手にし、嫌そうな顔をした。


「うぇっ! 親父臭い!」


 その時、外から激しい音が響いた。スノウはその音を聞き、恐怖のあまりヒルヴィルに抱き着いた。ヒルヴィルは外を見て、ベーキウたちとペデラタンの戦いが激しくなったことを察し、カンベイたちにこう言った。


「私はベーキウさんたちに加勢してきます。あなたたちはスノウを連れて逃げて!」


 この言葉を聞いたスノウは、驚いた声を発してヒルヴィルにこう言った。


「でも、ベーキウ様が!」


「私が助けに行くから大丈夫よ。あなたは、私たちの帰りを待ってて」


 と言って、ヒルヴィルはベーキウたちの援護へ向かった。


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