登場! ヤンデレ妹系ロボット、ドイテオニーチャン!
ヘンテコなAIを搭載したユイーマの国の最終兵器、ドイテオニーチャンを動かすため、ペデラタンはいろいろと操作を始めた。そんな中、ペデラタンの隠し部屋に到着したベーキウが、コクピット内にいるペデラタンに斬りかかった。
「うおォォォォォ!」
「うわギャァァァァァァァァァァ!」
ペデラタンは、クレイモアを振り下ろすベーキウを見て、驚いて情けない悲鳴を上げた。ベーキウのクレイモアはコクピットに命中したが、傷一つなかった。
「クソッ、強烈な攻撃で壊そうとしたのに」
「は……ははは……ハーッハッハ! 残念だったなぁ! お前の攻撃では、このドイテオニーチャンを傷付けることはできない!」
勝ち誇ったかのようにペデラタンがこう言った直後だった。突如、ドイテオニーチャンに搭載してあるランプが赤く光り、手を動かしてベーキウの頭を掴んだ。
「お兄ちゃんを傷付けようとする人は、この私が許さない!」
と言って、ドイテオニーチャンはベーキウを床の上に叩きつけた。その後、ドイテオニーチャンは床の上でうずくまるベーキウに向かって、左足を落とした。
「やべぇ!」
追撃を受けると痛い目に合うと察したベーキウは、体を回転させて追撃をかわした。ドイテオニーチャンから十分に距離を開けたことを確認し、ベーキウはクレイモアを手にした。
まさか、こんなヘンテコなロボットを作っているなんて、思ってもいなかったなー。
と、ベーキウは心の中でこう思った。適当に入った部屋がペデラタンの部屋であり、開きっぱなしの隠し扉が気になって入ったら、ベーキウはペデラタンと遭遇したのである。
「ドイテオニーチャン、あんな雑魚を相手にする暇はない! 今は私のエンジェルを連れ、どこか遠くへ逃げることを優先するのだ!」
「お兄ちゃんのエンジェル? 私じゃないの?」
ペデラタンの言葉を聞き、ドイテオニーチャンは寂しそうにこう言った。
「は? そりゃそーだろ。とにかくお前はロボットだ。私の指示に従え!」
「どうして? どうして他の女の人のことを気にするの? お兄ちゃんには私がいるのに!」
突如、ドイテオニーチャンは声を荒げるようにこう言った。ペデラタンは動揺しつつも、とにかく逃げることを考え、こう言った。
「とにかく逃げるぞ! 一度、あいつから逃げるんだ!」
「どうして逃げるの? 私の力なら、あんな奴なんて簡単に倒せるのに!」
「あいつには仲間がいるんだ! とりあえず外に出ろ! 頼むから」
「分かった……お兄ちゃんの頼みなら、仕方ないわ」
ドイテオニーチャンはそう言うと、外に向かって逃げて行った。
「あ、待て!」
逃げだすドイテオニーチャンを見て、ベーキウは慌てて後を追いかけた。
二番目に戦いを終えたシアンは、ベーキウと同じようにペデラタンとスノウを探していた。そんな中、大きな音が響いた。
「今のは何?」
気になったシアンは、外から様子を見た。そこには、ドイテオニーチャンの姿があった。
「うわっ! あれ、ロボット?」
「何じゃ、まだロリコン王とスノウのガキを探しているのかお前は」
と、戦いを終えたクーアが、シアンに駆け寄った。声を聞いてクーアの方を振り返ったシアンは、外に現れたドイテオニーチャンをクーアに見せた。
「変なロボットじゃのう。いつの間にあんなのが出てきたんじゃ?」
「ついさっき。あいつも気になるけど、スノウ王女もどこにいるか探さないと」
「そうじゃの……ん?」
この時、クーアはドイテオニーチャンを追いかけて外に出てきたベーキウの姿を見た。その瞬間、クーアは急いで外に出た。
「ちょっと! いきなり外に出ないでよ!」
「ベーキウがいたんじゃ、助けに行かぬと!」
「ベーキウが? 私も行くわ!」
シアンはクーアの後を追いかけ、外に出て行った。
キトリは手当たり次第に扉を開けていた。トイレだったり、着替えをしていた男兵士だったり、百合百合していた二人の女兵士などがいたが、スノウは見つからなかった。
「この城、無駄に部屋が多すぎる」
と、キトリは文句を言いながら片っ端から扉を開けていた。すると、次に開けた部屋の向こうには、ウェディングドレス姿のスノウがいた。
「あなたはベーキウ様の仲間!」
「王女、ここにいたのね。無事でよかった」
キトリはスノウに近付き、周囲を見回した。
「あのロリコン野郎はいないのね」
「部屋にいると思います。それより、ベーキウ様は?」
「あなたを探しています」
「じゃあ、私はベーキウ様が迎えにくるまで待ってます! その方が、ロマンチックですし!」
と、嬉しそうにスノウはこう言った。呆れたキトリは、スノウの顔を見てこう言った。
「聞いてください。今、大きな音が聞こえました。ロリコン王が何かやらかした可能性が高いです。今、あなたを連れ出すのはとても危険なので、安全なこの部屋にいてください」
真剣なまなざしのキトリを見て、スノウはとんでもなく危険な状況だと把握し、頷いた。キトリはその反応を見て、部屋から出て行った。その前に、キトリはスノウにこう言った。
「また、必ず戻ります。どうか、ご無事で」
ドイテオニーチャンと戦うベーキウたちを見て、町の人たちはざわついていた。
「何だあのロボットは?」
「センス悪いな!」
「あれは……ガン……ダ」
「言わせねーよ!」
などと、町の人たちは話していた。ペデラタンは場内で起きた爆発が、町の人たちを寄せ付けたのだと察し、マイクを手に取ってこう言った。
「お前ら! 戦いの邪魔になるからどっか行け!」
この言葉を聞いた町の人たちは、足元に落ちていた石やガラスの破片、爆発で飛んできたレンガや剣、槍などを持ってドイテオニーチャンに向かって投げた。
「見下すように叫んでんじゃねーぞロリコン野郎!」
「もしかして、俺たちの税金をそんなくだらないもんを作るために使ったのか? 金返せバカヤロー!」
「お前は俺を怒らせた!」
「謝ったって、絶対に許せないぞクソ野郎!」
などと、町の人たちはペデラタンに向かって罵倒を始めた。その言葉を聞いたのか、ドイテオニーチャンは町の人たちの方を振り返り、頭にあるバルカンを動かした。
「お兄ちゃんの悪口を言う人は、この私が許せない……全員ハチの巣にしてやるわ!」
と言って、ドイテオニーチャンは町の人たちに向かってバルカンを放った。ベーキウはしまったと思いつつ、助けに行こうとしたのだが、間に合うことはなかった。
「アーッハッハ! お兄ちゃんのことを罵倒するからよ!」
周囲に舞う砂煙を見ながら、ドイテオニーチャンは笑い叫んでいた。だが、砂煙の中から二つのバリアが現れた。
「何!」
「あのバリアは……シアン! クーア!」
ベーキウは察した。シアンとクーアが現場に到着し、町の人たちを助けたと。次の瞬間、闇の魔力で作られた大きな槍が、ドイテオニーチャンの頭に命中した。
「痛いよ、お兄ちゃん!」
攻撃を受けたドイテオニーチャンは、悲痛な叫びを発した。ダメージがあるのか、ドイテオニーチャンの体からは電流が発していた。
「今のはかなりの痛手のようね」
そう言いながら、キトリがベーキウの横に現れた。
「ありがとう、助かったよ」
と、ベーキウは笑顔でこう言った。そんな中、シアンとクーアがベーキウに抱き着いた。
「私だって頑張ったよ! あのへんなロボットから、町の人を救ったんだもん!」
「わらわも褒めて! もっと褒めて!」
シアンとクーアはいつもの感じで、ベーキウに愛をせがんだ。そんな中、ドイテオニーチャンの大きな腕がベーキウたちに向かって振り下ろされた。
「戦いの中、イチャイチャするな! 見せつけるなよ、リア充がァァァァァ!」
ペデラタンは戸惑うベーキウに対し、叫び声を発した。ドイテオニーチャンの手が当たる寸前、何者かが現れて攻撃を受け止めた。
「あ……あんたは……」
ベーキウは、目の前に現れた人物を見て驚いた。その人物とは、ジャオウだったからだ。
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