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ロリコン王の大災難


 催眠リンゴのせいで、シアンとクーアが大変なことになっていると予想していないロリコン王、ペデラタンは髪を整えていた。


「フンフンフーン。決まった。これで私の嫁であるスノウ王女とムフフなことになっても、この見た目なら問題ない」


「問題大ありですよロリコン野郎」


 呆れ果てた兵士は、あくびをしながらこう言った。出かける準備を終えたペデラタンは、兵士の方を振り向いてこう言った。


「今すぐ車か馬車の用意をしろ!」


「馬車は今整備中なんで、車にしますねー」


「早くしろ。早くしなければ、催眠の効果がなくなってしまう!」


「へーへー……あんなあほみたいな作戦がうまくいくと思ってんのか、この人は?」


「何か言ったか? 変なことを言ったら、貴様の給料を半分減らすぞ!」


「それはマジ勘弁。そいじゃ、準備しまーすっと」


 兵士は走って去って行った。忠誠心のかけらもない兵士を見て、ペデラタンはため息を吐いた。


「どうして私の兵士たちは、私に対して忠誠心がないのだ!」




 一方その頃、催眠リンゴのせいで暴走しているシアンとクーアは、場内を走っていた。シアンとクーアを止めるため、キトリは兵士たちを引き連れて走っていた。


「ダメです……足が……速すぎる!」


「我々ではとても……はぁ……はぁ……もう、ダメだ……」


 兵士の一人が、力尽きてその場に倒れた。それに続き、他の兵士たちも倒れて行った。


「走り続けて力が……参ったわね、一人で止められるかな?」


 キトリが不安そうにこう言うと、横から魔力を開放したヒルヴィルが駆け付けた。


「ヒルヴィル王妃!」


「話はキッチンにいるあなた方の仲間と、スノウから聞きました! 私も手伝うわ!」


「ありがとうございます。ですが、私の闇の魔力でも、あの二人を止めることはできませんでした」


「まだあなたの力が足りないってことかもしれないわね。ここは私に任せて!」


 ヒルヴィルは開放した魔力を手から出し、無数の小さな鎖を発した。小さな鎖はシアンとクーアの体に食い込み、動きを止めた。


「あ……がっ……」


「身動きが……」


 小さな鎖によって動きを封じられたシアンとクーアは、苦しそうな声を出した。その光景を見たキトリは声を上げて驚き、ヒルヴィルに向かって頭を下げた。


「ありがとうございます。助かりました」


「まだ終わってないわ。あの二人をこっちに引き寄せるわ!」


 ヒルヴィルは小さな鎖を操り、シアンとクーアを引き寄せた。キトリは無理矢理シアンとクーアの口を開き、魔力を流した。


「滅茶苦茶なやり方だけど、何が何でもあのリンゴを吐き出させる!」


「効果があるかどうか分からないけど、やってみる価値はあるわね。私も手を貸すわ」


 その後、キトリとヒルヴィルは開放した魔力をシアンとクーアの口の中に突っ込み、無理矢理な形で胃の中のリンゴを取り出そうとした。そんな中、シアンが苦しそうにキトリの肩を叩いた。


「え? 止めてほしいの?」


「あが! あががががが! がががーが!」


 シアンが我に戻ったと思い、キトリは魔力を抑えた。ヒルヴィルはキトリが魔力を抑えたことを知り、同じように魔力を抑えた。その直後、シアンとクーアは口を押えながら近くのトイレへ向かった。


「何とかなったわね」


「やり方が少し、荒かったけど」


 キトリとヒルヴィルが会話をしていると、トイレから水が流れる音がした。




 キッチンにて。我に戻ったシアンとクーアは仁王立ちし、正座をしているスノウを睨んでいた。


「王女様? 今回ばかりはいくら王女様でも、ガツンと言わしてもらうわ! 私のベーキウを寝取るため、怪しい奴から変なリンゴを買わないで! そしてそれでお菓子なんて作らないで!」


「怪しい人から物をもらったり、付いて行ったらいけないと学校で習わなかったのか! わらわでもその辺は幼い頃に学んだぞ!」


「うう……すみません」


「すみませんの言葉一つですべてが解決したと思ってんじゃないわよ!」


 シアンの怒りが沸騰しそうになる中、ベーキウがシアンを止めた。


「とりあえずこの辺でいいだろう。操られたとはいえ、シアンとクーアも無事だったんだし」


「ベーキウがそう言うならそうね。ここでいいにしてあげるわ」


「右に同じじゃ」


 シアンとクーアはその場に座り、そう言った。そんな中、キトリはヒルヴィルにあることを伝えていた。


「今回の騒動の黒幕は、あのロリコン野郎です」


「ロリコン野郎? ペデラタンの奴、スノウを手にするために悪事に手を染めたわね! でも、どうして奴がやったって言えるの?」


「シアンとクーアがアップルパイを食べた直後、ペデラタン様の元へと言ったから」


「分かったわ」


 ヒルヴィルがキトリにそう答えると、チャイムが鳴り響いた。




 おしゃれで高級なスーツに着替えたペデラタンは、カッコつけながら門の前に立っていた。その様子を見ていた兵士は、笑いをこらえていた。


「だっせ。あんな服でスノウ王女の心を奪えるわけがねーだろ」


 兵士は笑いながらこう呟いたが、ペデラタンにはその言葉が届かなかった。しばらくして、門が音を立てながらゆっくりと動いた。


「待っていたぞ、マイエンジェル! さぁ、遠慮せずに私の胸に飛び込むがいい!」


 と言って、ペデラタンは両手を広げた。城の入り口から飛んできたのはスノウではなく、シアンとクーアの飛び蹴りだった。


「ブッフォォォォォ!」


 シアンとクーアの強烈な飛び蹴りを受けたペデラタンは、奇声を上げながら木の中に突っ込んだ。


「あだだだ……誰だ、こんな無礼なことをするバカは!」


「バカはお前じゃァァァァァ!」


「よくも催眠リンゴで王女を操ろうとしたわね! この変態で異常で犯罪者のロリコン野郎がァァァァァ!」


 シアンとクーアは倒れているペデラタンに追い打ちを仕掛け、そのまま殴り始めた。


「ウボッ! ゲボッ! ガホアァッ! な……何のことだ? 一国の王にリンチを仕掛けるとは、死罪にするぞババア!」


「だーれがババアじゃクソロリコン野郎!」


「あんたがやったことはぜーんぶ知ってんのよ! 催眠リンゴを使ってスノウ王女を催眠状態にさせて、自分のところにこさせようと考えてたってね!」


 シアンとクーアの怒声を聞き、ペデラタンは目をそらした。


「な……何のことだ? 想い人を催眠術で操ってエロいことをするって? そんなエロマンガみたいなことが現実でできるわけがないだろうが」


「しらばっくれんじゃないわよ! あんたのせいで、私とこのおばさんが催眠状態になったのよ!」


 シアンの言葉を聞いたペデラタンは、思わず驚いた。


「何! お前たちがあのリンゴを食っちゃったの! 勘弁してくれ! あのリンゴを作るのに結構時間がかかったんだぞ!」


「聞きました、聞きました! 今のことは自白ってことでいいでしょうかー?」


「やっべ! 言っちゃった!」


 思わず罪の告白をしてしまったペデラタンは、兵士の方を見て助けを求めた。ペデラタンの視線に気付いた兵士は、車を発車させて逃げてしまった。


「あのクソ野郎がァァァァァ! ロリコンでも一国の王を置き去りにして逃げるなァァァァァァァァァァ!」


「ギャーッハッハ! お前、兵士に信頼されてないのう!」


「ロリコンで身勝手だから、兵士たちもこんな奴に忠誠を誓ってないのよ! さーて、覚悟しなさいロリコン野郎。いまから徹底的にあんたを半殺しにするからね」


 そう言いながら、シアンとクーアは鬼のような笑みでペデラタンに近付いた。逃げようとしたペデラタンだったが、腰を抜かしてしまい、足が動かなかった。


「あ……ああ……勘弁……本当に勘弁してくだちゃい……」


 ペデラタンの声を聞いたシアンとクーアは、一瞬だけ笑みを見せた。


「答えは……いいえじゃァァァァァァァァァァ!」


「ヘルオアヘル! 地獄のどん底のどん底に突き落としてやるわァァァァァァァァァァ!」


 その後、シアンとクーアの怒声と同時に、ペデラタンの情けない悲鳴が周囲に響いた。


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