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ペデラタンのある作戦


 何とか宝石の洞窟の外に出たベーキウ一行とジャオウ一行は、互いの顔を見ていた。


「決着をつけたいところだけど、今回は見なかったことにしてあげるわ」


「俺も同じ気持ちだ。ありがたい。アルム、すぐに薬局に行って胃薬を買いに行こう」


「うん……胃、大丈夫?」


「大丈夫じゃない。多分……穴が開いたかもしれん」


「病院行った方がいいよ」


「保険証がないからな……」


 ベーキウとアルムは話しながら、どこかへ去って行った。レリルは待ってと言いながら、ベーキウとアルムの後を追いかけた。去って行くベーキウたちを見て、シアンはこう言った。


「さて、こっちもカンベイさんたちの小屋に戻って、今日は休みますか」


「ああ。いろいろあったからな」


 ベーキウは背伸びをしてこう言うと、キトリは大きなあくびをした。


「今日は疲れた……早く寝たい」


「わらわもじゃ。早くカンベイさんたちの元へ行って、話をしよう」


 キトリもクーアも戻ることに賛成であったため、シアンたちはすぐに行動を始めた。




 翌朝。ユイーマの城では、ペデラタンが部屋の中で難しい顔をして椅子に座っていた。その様子を見ていた兵士たちは、苦笑しながら話をした。


「あのロリコン野郎、また幼女とエロいことをする妄想でもしてるんか?」


「そうかもしれんな。でもま、給料はいいから悪くはない人なんだよねー」


「そうそう。褒められる点はそこだけだよ」


「おいそこ、うるさいぞ!」


 ペデラタンの怒声を聞き、兵士たちは去って行った。ペデラタンはため息を吐き、再び椅子に座った。


「はぁ、私の国の兵士は私に対して、忠誠心がないのか!」


 そう言うと、再びあることを考えた。


 あることと言うのは、どうやってスノウを手に入れるかである。あらゆる手を考え、行動を起こしたロリコン王ことペデラタンだが、どの作戦も最後には必ず、絶対にヒルヴィルの邪魔が入るのだ。


 クソッ! どうやってあのババアを攻略するかだ! あのババアをどうにかすれば、楽に私のエンジェルをゲットできると言うのに!


 あらゆる考えを生み出しても、結局ヒルヴィルに邪魔されるオチが見えている。そう思ったペデラタンは、ため息を吐いた。そんな中、兵士たちが戻ってきた。


「ペデラタン様、何かネットで買いました?」


「とんでもなくでっけー段ボール箱が届いたんですけど」


 兵士たちは台車を使い、大きな段ボールを持ってきた。兵士の一人は段ボールに張り付いてあった用紙を見た。


「この荷物は……うっげぇ! ペデラタン様、ネットで幼女系のエロマンガを買ったんですか! うーわ、正直マジ引いたわ!」


「もしかしてこれ、税金で買ってますか? 正直に言ってください!」


 兵士たちの気持ち悪そうな声を聞き、ペデラタンは犬のような声を上げて兵士たちを追い払った。


「クソが! 人の性癖にいちゃもん付けるな! あいつらだって、一つや二つは異常な性癖を持ってるくせに!」


 ペデラタンは逃げる兵士を見て、小さく呟いた。その後、段ボール箱の中身を開き、マンガを取り出して読み始めた。


「はぁ……やはり二次元の幼女も素晴らしい……」


 と、危険な言葉を発しながら、ペデラタンはマンガを見ていた。しばらくすると、催眠術を使う人物が現れる話になった。


「催眠術か。本当にあるらしいし、使われて操られたら大変なものだな……催眠? はっ!」


 ある作戦を思いついたペデラタンは、マンガをしまい、変装用のローブを羽織って外に出かけた。




 数時間後、兵士の一人がペデラタンの部屋を見た。


「あり? あのロリコンどこ行ったんだ? 有給の話をしたいのに」


 そう言うと、兵士は周囲を見回した。だが、部屋を見回してもペデラタンの姿はなかった。


「便所か?」


「便所ではない。少し出かけていたのだ」


 と、後ろからペデラタンの声が聞こえた。兵士はそれに驚きつつ、ペデラタンの方を振り返った。


「お帰りなさい! と言うか、出かけてたのですね。あなたはロリコンでも、一応王様」


「無礼な奴だな」


「一応王様でも、お出かけの際は一言お願いします。で、どこに行ってたんですか?」


「果物屋だ。これでスノウ王女を私の嫁にできる」


 ペデラタンは笑みを浮かべながら、買い物袋に入ったリンゴを見た。この様子を見ていた兵士は、ため息を吐いてこう思った。


 あーあ、ついにこの人の頭のねじがぶっ飛んじゃったか。仕事、変えようかな。


 そう思う中、ペデラタンはもう一つの買い物袋を机の上に置いた。


「話があるならすぐに聞こう」


「そうだ。明日、有給取りますので」


「そうか。ちゃんと届け出は出すのだぞ」


「あーい」


 兵士が質素な返事をする中、ペデラタンは薬のようなものを作っていた。それを見た兵士はダメだこりゃと思い、急いでペデラタンの部屋から去って行った。




 数時間後、仕事をさぼっていた兵士たちは、門の前でタバコを吸っていた。


「あのロリコン野郎、まーた変なことを考えているって」


「スノウ王女と結婚するつもりだろ? 結婚しても、あの性癖じゃあすぐに離婚するって」


「そもそも年齢の問題で結婚できねーよ」


「あの人のことだ、無理矢理にでも法律を変えそうだぜ」


「ありそうありそう。気持ち悪いよなぁ、本当」


「気持ち悪くて済まなかった」


 と、ペデラタンの声が聞こえた。その声を聞いた兵士たちは急いで口にくわえていたタバコを地面に投げ捨て、踏んで煙を消した。


「これはこれはロリコン……じゃーなかった。ペデラタン様! このことは、どうか上司たちには内密に!」


「こんなことを告げ口しても、私に得がない。それより、私は少しヘルグリームへ行ってくる」


 兵士たちはペデラタンの言葉を聞き、目を丸くして口を開けた。


「どうしてですか?」


「このリンゴを売りに行くのだ。薬の力で催眠の力がたーっぷりと入った、このリンゴをなぁ……」


 ペデラタンはそう言うと、高笑いしながら去って行った。その様子を見ていた兵士たちは、顔を見合わせた。


「あの作戦、上手くいくと思うか?」


「俺は失敗すると思う」


「だけどよぉ、意外と成功するんじゃないのか?」


「ま、何かあってもあのロリコン野郎に全責任を擦り付ければいいだけの話だ。俺たちには関係ない」


 兵士たちはそう言って、再びタバコを吸い始めた。




 ペデラタンはヘルグリームの城の前に立ち、チャイムを鳴らした。ヘルグリームの兵士がすぐに駆け付け、変装したペデラタンの様子を見た。


「誰だ?」


「私は旅のリンゴ売りでございます。このお城の美しいお姫様にこのリンゴをあげたくて、参りました」


 この言葉を聞いた兵士は、胡散臭そうな目で変装したペデラタンを睨んだ。


「どうする? 怪しいし、中に入れて話を聞くか?」


「そうだな。ただのリンゴ売りが城にセールスにくるわけねーからな」


 兵士たちは話を終えると、ペデラタンの両腕を掴もうとした。そんな中、騒動を察したスノウが走ってやってきた。


「ベーキウ様がきた……わけじゃないですね。誰ですかその怪しさマックスなおっさんは?」


「リンゴ売りと言っていました」


「ただのリンゴ売りがどうしてこの城に? 本当に怪しいわね。拷問を許可するから、徹底的に調べて」


「了解です」


 このままだと拷問され、身元がばれ、もっと酷い目に合うと考えたペデラタンは、急いでスノウに近付き、小声でこう言った。


「私のリンゴには、特別な力があります。あなたの想い人にこれを渡せば、ムラムラしてフラグがビンビンに立つことでしょう」


 この言葉を聞き、スノウはにやりと笑った。


「あなたのリンゴ全部買いましょう!」


 この言葉を聞いた兵士は驚いた声を上げたが、スノウは無視してペデラタンから催眠リンゴを買ってしまった。


「ありがとうございます! さーて、これでベーキウ様の心と体は私の……ウッヒッヒ……」


 スノウはリンゴを見て、悪人のようなことを呟いた。その様子を見たペデラタンは、心の中でこう思っていた。


 何はともあれ、あのリンゴを私のエンジェルに渡すことができた。あれを食べれば、私の元へくる。きっとくる。その時はウッヒッヒ……。


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