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醜い醜い女の争い


 ベーキウとクーアがアルムのチ〇コのでかさに驚いている同時刻、ジャオウは腹を抑えていた。


 ああ、この状況は一体いつになったら解決するのだろう?


 ジャオウは心の中で、こう呟いた。ジャオウが苦しむのもそのはず。シアン、キトリ、レリルの間から嫌な雰囲気が漂っているからだ。


「何でニンニク女と一緒なのよー」


「臭いから近寄らないで」


「私だってあんたらみたいなちんちくりんと一緒になりたくないわよ。あーあ、ジャオウとあのイケメンと一緒だったらよかったんだけどなー」


 と、レリルはため息を吐いてこう言った。その言葉を聞いたシアンは鬼のような形相になり、レリルに襲い掛かろうとした。だが、ジャオウがシアンの前に立った。


「邪魔よ、そこどきなさい!」


「今はいがみ合う状況ではないだろう。敵同士だが、この状況をどうにかすることを考えろ」


 ジャオウの言葉を聞き、レリルはジャオウの左肩に抱き着いた。


「いやーん。助けてくれたのねー」


「これ以上被害が広がるのを防いだだけだ。それと、あまり口を開かないでくれ……臭いが……」


 ジャオウは鼻を抑えながらこう言った。レリルはすまなそうな表情をし、後ろに下がった。




 しばらく歩いていたシアンたちだったが、一言もしゃべらないシアンたちを見て、ジャオウは逆に不安だった。


 何も起きないことが不安だ。何かがきっかけで、あいつらの感情が爆発する。絶対に。


 ジャオウは心の中でこう思っていた。しばらくして、ジャオウの不安は的中することになる。


 レリルがいきなり大きなくしゃみをした。その音に驚いたシアンたちは、目を大きくして振り返った。


「めんごー。ちょっと鼻がムズムズしちゃってねー」


「今度する時はちゃんと口を抑えろ。そんなに大きなくしゃみだと、驚く」


「今回ばかりはジャオウと同じ意見ね。それと、ニンニクの臭いもするから、口を閉じなさい」


 ジャオウの言葉に続き、シアンがこう言った。レリルは照れながら何度も頭を下げた。ここまではよかった。そう、ここまでは。


「皆、止まって。音がする!」


 キトリがこう言うと、シアンたちは一か所に集まった。ジャオウは背中の大剣を手にし、シアンは剣と盾を手にした。


「またヒャクアーシ? この洞窟、このムカデが多すぎない?」


「そうね。もしかしたら、他のモンスターはヒャクアーシに噛まれてほとんどが死んだかもしれないわ」


 キトリは魔力を開放し、周囲に闇の剣を作ってこう言った。シアンたちが周りを見ると、レリルが近くの岩陰に隠れていた。


「ちょっと、あんたも戦いの準備をしなさいよ!」


「私は戦えないわよ! 援護専門!」


「援護するなら、もう少し近くに……あ、ニンニク臭がするから離れて」


「何をー! このちんちくりん!」


 レリルが怒声を上げながらシアンに近付こうとしたが、天井と地面からヒャクアーシが現れた。


「にぎゃァァァァァァァァァァ!」


 突如現れたヒャクアーシを見て、レリルは後ろにダイブするように下がった。


「もう! 迷惑かけないでよ!」


 シアンは呆れながらそう言って、レリルに近付こうとするヒャクアーシを斬った。斬られたヒャクアーシは悲鳴を上げながら後ろに下がったが、他のヒャクアーシがシアンに襲い掛かった。


「させん」


 ジャオウは大剣を手にし、ヒャクアーシに攻撃を仕掛けた。ジャオウの攻撃により、次々とヒャクアーシは斬り飛ばされた。攻撃から逃れたヒャクアーシはキトリに襲い掛かったが、周囲に浮いている闇の剣が動き、ヒャクアーシに攻撃を仕掛けた。


「今度は誰も傷付けさせない!」


 宙に浮くヒャクアーシを見ながら、キトリはこう言った。


 シアンたちが真剣に戦っている中、レリルはヒャクアーシに驚いて腰を抜かし、動くことができなかった。


「ふぇ……ふぇぇ……怖いよぉ……」


 レリルは泣きそうな声でこう言った。そんな中、上から気配を感じた。上を見上げると、巨大なクモが姿を現した。


「んぎゃァァァァァァァァァァ! なんでこの洞窟には気持ち悪い虫しかいないのよォォォォォ!」


 そう叫びながら、レリルはシアンに近寄った。


「うげっ! ニンニク臭い! 臭いから近寄んないで!」


「助けてよ! あんた一応勇者なんでしょ!」


「一応も何も勇者だけど、あんたみたいなニンニク臭いサキュバスを助ける義理はないわ!」


「助けなさいよ! 貧乳勇者!」


 この言葉を聞き、シアンの怒りが爆発した。


「このニンニクサキュバス! あんたもそれなりに戦闘能力があるなら、自分で自分の身を守りなさいよ!」


 そう叫びながら、シアンはレリルに向かって蹴りを入れた。蹴られたレリルは転倒し、叫びながら立ち上がった。


「よくもやったわね貧乳! 私を怒らせたらどうなるか教えてやるわ!」


 怒りが爆発したレリルは、シアンを睨んだ。その時、レリルの後ろにいた巨大クモがレリルに襲い掛かった。レリルは後ろを振り返り、巨大クモを見てにやりと笑った。


「いいところに武器があったわ!」


 レリルは巨大クモの足を掴み、シアンに向かって振り下ろした。巨大クモの体はシアンの頭に命中し、周囲に痛そうな音を響かせた。


「ギャーッハッハ! 巨大クモをぶつけられた感想はどう? 意外と痛かったー?」


「このニンニク女!」


 シアンは魔力を開放し、光の魔力を使って周囲のヒャクアーシをまとめ、レリルに向かって投げた。


「にぎゃァァァァァァァァァァ! 気持ち悪いわね! ムカデを投げるな!」


 レリルは高くジャンプをし、ヒャクアーシを避けた。その後、地面に着地したレリルは魔力を開放し、シアンに飛びかかった。


「んがっ! このニンニク女! 飛びかかってくるんじゃないわよ!」


「あんたを倒すには、この手でやった方が手っ取り早いわ! にしても、掴む胸がないから本当に投げにくいわね!」


「このニンニクサキュバス! あんたの乳だっていじってでかくしたんでしょ? だったら、あんたも貧乳じゃないの!」


「悪いわね、私の乳はそこまで改造してないわよ!」


「乳いじったこと告白してるじゃねーかァァァァァァァァァァ!」


 シアンとレリルは大声で叫びつつ、周りのヒャクアーシを巻き添えにしながら喧嘩を始めた。この様子を見たキトリは呆れ、戦意を失っていた。


「あほらし……」


 魔力を抑えたキトリは周囲を見回し、ベーキウたちがいないか確認した。その時、腹を抑えているジャオウの姿を見つけた。


「どうしたの? どこか攻撃を受けたの?」


「胃が……痛い……」


 ジャオウは苦しそうにこう言った。その時だった、近くから足音が聞こえたのだ。


「なんか音がするなー」


「誰かいるんですかね?」


 遠くから聞こえたのは、ベーキウとアルムの声だった。ベーキウの声を聞いたシアンとレリルは、喧嘩を止めた。しばらくして、ベーキウたちの姿が現れた。


「あ、シアンたちだ。無事だったんだな」


 ベーキウがこう言うと、シアンとレリルは猛スピードで走り出し、ベーキウに抱き着こうとした。だがその前に、クーアがベーキウに抱き着いた。


「だーれがベーキウをお前たちのような奴に渡すか! ベーキウはもうわらわの彼氏だもんねー!」


「このクソババアがァァァァァァァァァァ!」


 シアンとレリルは同時に叫びながら、クーアに向かって飛び蹴りを放った。その後、シアンとクーアとレリルが激しい喧嘩を始めた。ベーキウとキトリとアルムがこの様子を見て呆れる中、ジャオウだけが苦しそうに腹を抑えていた。


「誰でもいいから……胃薬を……頼む」


 ジャオウの苦しそうな声を聞いたアルムは、急いで胃薬を手にしてジャオウに近付いた。急いで胃薬を飲むジャオウを見て、ベーキウは肩を叩いてこう言った。


「あんたも大変なんだな」


「だとしたら……お前も……」


「ああ。いつも大騒ぎだよ……」


 ベーキウとジャオウはそう言うと、同時に深いため息を吐いた。


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