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女たちの醜い争い


 結局、ベーキウたちは宝石の洞窟でジャオウたちと会うことはなかった。ベーキウたちは大きなため息を吐きながら宝石の洞窟を出て、カンベイたちの小屋へ戻った。


「明日は何が何でも探し出さないとな」


「そうね、確実に決着を付けないと。そして、旅を終わらせてさっさとベーキウとゴールイン……」


「するのはわらわじゃ。お前はさっさと田舎に帰れ」


 ベーキウの横にいたシアンを蹴り飛ばし、クーアがベーキウの腕を抱いた。


「戦いが終わったら、わらわはすぐにでもベーキウのところに嫁に行くぞー。毎晩ベッドインしてやるからそのつもりでなー」


「ババアのベッドインなんて気持ち悪いこと言うんじゃないわよ!」


 シアンはクーアを羽交い絞めにし、そのまま華麗にバックドロップを決めた。頭から地面に落ちたクーアは短い悲鳴を上げ、その場に倒れた。


「あんたはそこでおねんねしてなさい! さーてベーキウ。私と一緒に……」


 クーアを倒したシアンは、もう一度ベーキウの横に並ぼうとしたのだが、すでにベーキウとキトリの姿はなかった。


「はぁ……あいつらはまだ元気があるなぁ」


「そうね。恋は人を狂わせるとか聞いたけど、あれは狂いすぎよ。もう少し、気持ちを抑えないといけないのに」


 と言いながら、キトリはベーキウの手を握った。いきなり握られたため、ベーキウはドキッとしたのだが、キトリは表情を変えずに言葉を続けた。


「私はこれ以上のことをするつもりはないから。あの二人と違って」


「ああ。そうだな」


 ベーキウはため息を吐き、言葉を返した。その後、手をつないでいるベーキウとキトリの邪魔をするかのように、シアンが走ってやってきた。


「そうはさせるかァァァァァァァァァァ! 手をつなぐなんて行為、私が断じて許せん!」


「無理矢理夜這いするような人の言うセリフじゃないわよ」


 キトリは呆れた目でシアンを見て、こう言った。シアンは育ちの悪いバカな犬のように声を発し、キトリを威嚇した。そんな様子を見たベーキウは、再び深いため息を吐いた。


 数分後、カンベイたちの小屋に戻ってきたベーキウたちは、扉を開けた。


「今戻りましたー」


「おかえりなさい! ベーキウ様ァァァァァァァァァァ!」


 と、満面の笑みを浮かべたスノウが、猛ダッシュでベーキウの元に駆け寄り、飛びついて抱きしめようとした。だが、驚いたベーキウは反射的にスノウを避けてしまい、スノウは後ろにいたシアンに体当たりしてしまった。


「いたた……痛いわね! 何すんのよ!」


「それはこっちのセリフですわ! ベーキウ様を抱きしめてお出迎えしようとしたのに!」


「そんなことするんじゃないわよ! 猛スピードで飛んできたら、誰だって避けるわよ!」


 シアンとスノウが騒ぐ中、ベーキウとキトリは小屋に戻って手洗いうがいを始めた。


 その日の夜、ベーキウは外のテントで眠っていた。


 明日こそ、ジャオウたちを見つけて戦いを挑む!


 と、心の中で張り切っていた。そんな中、シアンとクーアは外に出ていた。


「おばさん、あんたはさっさと眠りなさいよ」


「その言葉、そのままそっくり返してやるのじゃ。小娘はとっとと寝ろ。わらわはベーキウに夜這いを仕掛けてから眠るから」


「そう。じゃああんたは土の上で眠ってなさいなァァァァァァァァァァ!」


 シアンはクーアの後ろに回り、首を絞めようとした。だが、クーアはしゃがんでシアンの両腕を避けた。


「んなっ!」


「お前から何度も後ろから攻撃されたのじゃ! 警戒されるにきまっとるじゃろうが! 土の上で眠るのはお前の方じゃァァァァァァァァァァ!」


 クーアは魔力を開放し、シアンの周囲の地面を盛り上げた。しばらくして、シアンがいた地面は崖のように盛り上がってしまった。


「ダーッハッハ! そこからの景色はどうじゃ? そこでぐっすり眠るがよい! 寝相に注意しろよー」


 クーアは上を見上げながら、勝ち誇ったかのようにこう言った。上にいるシアンは文句を言っていたのだが、その言葉はクーアに届かなかった。


 シアンを追いやり、クーアはルンルン気分でベーキウのテントへ向かった。だが、テントの入り口が開いていた。まさかと思ったクーアは、気配を消してテントの中を見た。そこには、ベーキウの寝袋に潜り込もうとするスノウの姿があった。


「げ!」


 クーアの視線に気付いたスノウは、急いで寝袋から出て、クーアに近付いて丁寧にお辞儀をした。


「こんばんは。今日は美しい夜ですね。夜空の星々が町の街灯のように輝いています」


「ごまかすなマセガキ。お前、ベーキウに夜這いを仕掛けようとしたじゃろ?」


「それはあなた様の誤解ですわー。それでは、今晩は寒いので……これにて失礼!」


 と言って、スノウは再びベーキウのテントの中に入り、入り口を閉めようとした。だが、その途中でクーアが邪魔をした。


「ああ! 何するんですか!」


「それはこっちのセリフじゃ! 考えてみろ、幼女が夜這いするなんて展開、あってはいけないことじゃろうが! 教えてやる! 最近のエロゲーは、どう見ても見た目が幼女でも、実年齢は二十じゃ! じゃから、あれなことやあんなことができるのじゃ! それに対して、お前は本物の幼女! エロゲーみたいなことがあったらいろいろとやばいのじゃ!」


「そんなのわたくしの知ったことではありません! この作者のアカウントが消えようが消えまいが、そんなのどうでもいいことなのです!」


「いいわけあるかァァァァァァァァァァ!」


 クーアとスノウが口喧嘩をしていると、ベーキウが起き上がり、クーアとスノウにこう言った。


「うるさいから静かにしてくれ……」


 その言葉を聞き、クーアとスノウは反省し、カンベイたちの小屋に戻った。




 翌朝、スノウはあくびをするベーキウの腰あたりに抱き着き、じっとしていた。その様子を見ていたキトリはため息を吐き、スノウにこう言った。


「王女様、私たちはやるべきことがあります。だから、ベーキウから離れてお城に戻ってください」


「嫌です! 私好みのイケメン、ここで手放したら一生会えないかもしれません!」


 駄々をこねるスノウを見て、ベーキウとキトリは困り果てた顔をしていた。そんな中、バイクの音が聞こえた。


「バイク? 迎えがきたのか?」


 音を聞いたベーキウはこう言ったが、スノウは首を振った。


「いえ、私たちの兵士はバイクを使いません」


「じゃあ、誰がきたんだ?」


 ベーキウたちが様子を見ていると、一台のバイクが近づいてきた。そこには、ペデラタンがいた。


「やっと見つけたぞ! マイスイートエンジェル!」


 ペデラタンはスノウを見つけ、感激のあまりハンドルレバーを手から放し、手を振るった。そんな中、バイクは大きく右に動き、木に激突した。


「あだだ……」


 ペデラタンが起き上がろうとした瞬間、頭の上に大きな木の枝が落ちてきて、激突した。その様子を見たベーキウは、呆れながらスノウに質問した。


「誰だ、あの運のない人は?」


「隣の国のロリコン野郎。気持ち悪いから大っ嫌いです。死んでほしい」


「うわ……そこまで言う?」


 キトリが冷や汗をかいてこう言うと、ペデラタンはスノウに近付いた。


「家出したと聞いたから、一日中探し回りましたよ。さ、私のバイクに乗りなさい」


「嫌です。私に近付くなロリコン野郎。私には心に決めたあなたよりイケメンで強く、素晴らしい人がいるんです。分かったらさっさと諦めて帰りなさいクソ野郎」


 スノウはそう言いながら、ベーキウに抱き着いた。その光景を見たペデラタンは、鬼のような形相でベーキウを睨んだ。


「貴様……私のエンジェルに何をした?」


「何もしてないけど……」


「とぼけるな! 私のエンジェルを惑わした罪、ここで償ってもらうぞ!」


 ペデラタンはそう言うと、腰のレイピアを手にし、ベーキウに突き付けた。


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