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洞窟の中での出会い


 ジャオウたちは一晩中宝石の洞窟で焔のルビーを探していた。だが、宝石の洞窟はジャオウが予想していたよりもかーなーりー広く、探すのに苦労していた。


「はぁ、一体焔のルビーはどこにあんのよー?」


 と、宝石が大量に入った袋を持ち上げながら、レリルがこう言った。袋を見たアルムは、呆れながら言葉を返した。


「レリルさん。それ、全部持って帰るつもりなんですか?」


「当り前よ。これ全部、私のコレクションにすんのよ」


「邪魔なだけなのに」


「うっさいわね。見た目は女だけど、やっぱりあんたは男よ。アクセサリーの重要性をわかっちゃいない」


「そんなことを理解したくはないな」


 別の通路を探していたジャオウが姿を現し、こう言った。その言葉を聞いたレリルはジャオウもアルムと同じ意見なのと心の中で思ってそうな表情をした。


「荷物になる。持っていくとしたら少量にするか、全部諦めろ」


「はぁ? そんなもったいないことするわけないじゃない!」


「俺たちの目的は焔のルビーただ一つ。他の宝石を取りにきたわけではない」


 ジャオウの言葉を聞いたアルムは、その言葉に同調するかのように頷いていた。レリルは深いため息を吐き、袋の中の宝石を周囲にばらまいた。


「これでいーんでしょ? はぁ、全身に宝石を身に付けたら美しくなるのに」


「周りから見たら、ただのバカな成金女だと思われる」


 ジャオウはレリルにこう言った後、次の部屋に向かった。




 ベーキウたちが城下町でスノウを探している同時刻、シアンとクーアはクチヨとセブと一緒に宝石の洞窟を調べていた。


「あーあ、ベーキウと一緒に城下町デート行きたかったなー」


「どうしてまたキトリと一緒に行くのじゃ? まさか、ベーキウは年下好きか!」


「二人が暴走するのを止めたくないだけだと思うが」


 クチヨはバカなことを考えるシアンとクーアに向かってこう言った。そんな中、セブは目の前の壁を見て、驚いた声を上げた。


「ん? どうかしたの?」


「ここの壁を見てくれ。誰かが壁を掘った跡がある」


 セブの言葉を聞き、シアンたちは壁に近付いた。壁は何かで掘られたような形跡があり、下には土や固まった泥が散乱していた。


「確かにそうね。誰がやったのかしら?」


「シアン、ちょっと離れてくれ」


 クーアの真剣な声を聞き、シアンは驚きつつも後ろに下がり、クーアに場所を渡した。クーアは目をつぶり、薄く魔力を開放した。


「何やってるの?」


「わらわには見える。周囲に漂う微小な魔力のカスが。それを調べているのじゃ」


 クーアはそう言うと、目を開けて舌打ちをした。


「まずいの、この魔力はニンニク臭いあのクソッたれサキュバスの魔力じゃ」


 この言葉を聞いたシアンは、レリルの顔を思い出した。


「あのクソサキュバスがここにいるの? どうして?」


「そんなのわらわでも知らん。とにかく、クチヨさんとセブさんの仕事の手伝いが終わって、家に戻った時、ベーキウにこのことを伝えよう」


「そうね」


 レリルがこの宝石の洞窟にいることを察したシアンとクーアは、かなり最悪なことを考えていた。レリルが何らかの拍子でジャオウとアルムと遭遇し、何らかの理由で同行していると。




 ジャオウは何かに気付き、周囲を見回した。


「アルム」


「うん。僕も察知したよ」


「何かあったのー?」


 真剣な声で会話をするジャオウとアルムに対し、レリルは間抜けな声でこう言った。拍子抜けたジャオウは呆れつつ、レリルにこう言った。


「勇者とその仲間がこの洞窟にいる」


「じゃあもしかして、あのイケメンも!」


「俺が感じた魔力は勇者とエルフだ」


「なーんだ。いないのねー」


 と、レリルは興味を失い、そっぽを向いて鼻をほじり始めた。バカなことを始めたレリルに対し、アルムはこう言った。


「何バカなことをやっているんですか。あの人たちと遭遇したら、戦いになるんですよ」


「逃げればいいじゃない」


「どこに?」


 アルムの返事を聞き、レリルは少し考えた。


「逃げ場所がないじゃない! あ、でもこの洞窟は広いし、結構隠れる場所もあるから、身を隠しながら逃げることもできるわねー」


「のんきなことを言っている場合ではない。早く焔のルビーを探さないと」


 ジャオウはそう言って速足で歩きだした。その時、大きな音と女の子の叫び声が聞こえた。


「何だ!」


 音を聞いたジャオウは大剣を手にし、急いで走り始めた。アルムとレリルは急いでその後を追いかけた。




 家出したスノウは、城下町から脱出して外に出て、タクシーを使って宝石の洞窟にきていた。時折、物騒なモンスターに襲われたのだが、スノウは持ち前の剣の腕でモンスターを倒していた。


 しかし、宝石の洞窟に入ってしまい、そこで迷ってしまったのだ。そんな中でヒャクアーシと遭遇したのだが、ヒャクアーシの見た目で戦意を失い、逃げ出した。


「ギャァァァァァァァァァァ! 気持ち悪い! あんなグロテスクなモンスターと戦いたくありませんわァァァァァ!」


 スノウは悲鳴を発しながら、全力で走って逃げていた。だが、下から別のヒャクアーシが現れ、スノウの逃げ場を封じた。


「ウゲェ! 地面からも出てくるんですか? すごく気持ち悪いです!」


 と言って、スノウは高く飛び上がった。何とか逃げることに成功したと思ったのだが、天井からヒャクアーシが現れ、スノウの前に着地した。


 あ、終わった。


 完全に逃げ道を失ったと察知したレリルは、自分の人生がここで終わるのだろうと思った。だが、何者かがヒャクアーシを斬ったのだ。


「ふぅ……う? 女の子だと!」


 ヒャクアーシを斬ったのは、ジャオウだった。ジャオウの姿を見たヒャクアーシは、勝てないと察して急いで逃げ出した。


「女の子がこんな危険な洞窟にいるとは……迷ったのか?」


 ジャオウはスノウに近付き、こう聞いた。スノウは仮面を被っているジャオウを見て、最初は変な人だと思ったのだが、自分を助け、丁寧に接しているため、ジャオウは一応まともな人だと把握した。


「ありがとうございます。実は、想い人を探して家出して、こんな場所に……」


「君の想い人はどんな人なんだ?」


 ジャオウがこう言うと、後ろから走ってきたアルムとレリルが合流した。


「え? 女の子? どうしてここに?」


「想い人を探してたら、迷い込んだようだ」


「そりゃー災難ねー。で、このチビ助どーすんの?」


「外に戻す以外の選択はない。一度、俺たちも外に戻ろう」


 ジャオウはアルムとレリルにそういうと、スノウの手を握った。スノウは一瞬ドキッとしたのだが、ジャオウは気にせずこう言った。


「これで迷わないだろう。この洞窟は広い。迷子になったら大変だ」


「あ……ありがとうございます」


 スノウは頬を赤くしながらこう言った。




 一方その頃、黒塗りの高級車に連れ去られたペデラタンは、どこかの事務所から蹴られるように追い出された。


「兄ちゃん、もうバカなことはせーへんことやで! ギャーッハッハ!」


 入り口の前にいる左目に眼帯を付けた男が、笑いながらこう言った。ペデラタンはふらつきながらも何とか立ち上がり、歩き始めた。


「スノウ王女……どこだ? どこにいるんだ? マイ……スゥィート……リトル……エンジェルよ……」


 ペデラタンがバカなことを呟いた直後、いきなり石を投げつけられた。ペデラタンは怒りながら周囲を見回すと、近くには石を持った鼻たれ小僧たちがいた。


「あいつは隣国のロリコン野郎だ!」


「幼女を見ると興奮する変態野郎は、僕たちがやっつける!」


「さぁ、ゲームを始ようか!」


「じわりじわりとなぶり殺しにしてやる覚悟しろ!」


「あんたの全てを壊して、俺が勝つ」


 と言って、鼻たれ小僧たちはペデラタンに石を投げ始めた。


 なんで私がこんな目に!


 石を投げられるペデラタンは、心の中で嘆いた。


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