表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/300

深夜の大激闘


 ベーキウは昨晩のことを思い出しながら、テントを張っていた。ベーキウはカンベイたちの寝室の隣の客用寝室を使っていたのだが、隣の部屋で眠りカンベイたちのいびきがうるさく、その上シアンとクーアが夜這いを仕掛けるために窓から部屋に乗り込もうとしたのだ。


 あんなことがあったから、眠い。今日は眠かった。


 ベーキウはため息を吐きつつ、テントを張る作業を続けた。その様子を、シアンがこっそりと見ていた。


 ベーキウは確実に寝るため、離れた所でテントを張って眠る。誰にもばれずにテントに侵入すれば、無事にベーキウとニャンニャンできる!


 そう思ったシアンは、深夜のことを考えながらにやにやと笑みを浮かべていた。その一方で、クーアが別のところからテントを張るベーキウを見ていた。


 今日、ベーキウはテントを使って一人で眠るのか。ぐひひひひひ。中に入ればベーキウと(ピーーーーー!)できる!


 と、そんなことを考えていた。


 数時間後、ベーキウは無事にテントを張り終え、中に入って休むことにした。その時、シアンとクーアは同時に走り出した。そして、目が合い、互いに同じことを考えていると察した。


「クソガキがァァァァァァァァァァ! もしや、お前も同じことを考えておったのかァァァァァァァァァァ!」


「クソババアァァァァァァァァァァ! 私と同じことを考えてんじゃないわよ! ババアババアらしく縁側で緑茶でも飲んでなさい!」


 シアンとクーアはいがみ合いながら、ベーキウが眠るテントへ向かった。そんな中、上から闇で作られた檻が降ってきて、シアンとクーアを閉じ込めた。


「これは闇の魔力!」


「もしかしてキトリが!」


 シアンとクーアが上を見上げると、そこには魔力を開放して宙に浮いているキトリの姿があった。


「バカなことを考えると思ってたわ。一晩そこで反省してなさい」


 と言って、キトリはカンベイたちの家に向かった。ベーキウはテントから顔を出し、シアンとクーアに向かってこう言った。


「お前たちは少し反省しろ。もう少し自分の欲を抑えろ。飯は持ってきてやるから」


 そう言うと、ベーキウはテントを出て、カンベイたちの家へ向かった。




 数時間後、食事と風呂を済ませたベーキウは、テントへ戻って寝ることにした。シアンはテントの明かりが消えたことを察し、目を開けた。


 今ならチャンス。


 シアンはこの時を待っていた。キトリが闇の魔力で作った檻は頑丈だが、時間が経つにつれ、魔力は弱くなる。その時に檻をばれないように壊し、脱出してベーキウの元へ行こうと考えていたのだ。


 ぐっふっふ。この隙にベーキウのテントに入って、寝袋の中に入って、そのままチョメチョメしてやるわァァァァァ!


 シアンは下種な見えを浮かべながら、テントへ向かって走り出した。だが、その途中でシアンは転倒した。


「いたた……どうして? 足を取られるようなものはないのに」


「お前は愚かじゃなぁ。わらわも同じことを考えていたのじゃァァァァァ!」


 後ろにいたのは、這いつくばるような姿勢をしているクーアだった。クーアは走るシアンの足を掴み、わざと転倒させたのだ。


「このクソババ……」


 シアンはクーアに殴りかかろうとしたのだが、クーアは水の魔力を発し、シアンの口を封じた。


「ギャーハッハ! 愉快じゃのう! 忘れたかー? わらわは闇と光以外の魔力を使えるのじゃ!」


 クーアは高笑いしながら、苦しそうな表情をするシアンを見ていたが、シアンは魔力を開放し、口元の水を吹き飛ばした。


「知っているわよ! この作者がたまにあんたの年齢以外の設定を忘れるけど、私はちゃんと覚えているわよ!」


 と言って、シアンは光の刃を発した。クーアはジャンプして光の刃をかわし、地面にいるシアンに向かって落下しながら蹴りを放った。


「この蹴りを受けてぶっ飛べェェェェェ!」


 シアンはクーアの蹴りに対し、腕を使って防御した。そして、シアンはすぐにクーアの足を掴み、勢いを付けて地面に叩きつけた。


「ブエッヘ!」


「はっはっは! そのかわいい顔が無様になっちゃったわねェェェェェ! あ、ババアだからかわいいもクソもないわね!」


「このクソガキがァァァァァ!」


 地面に倒れていたクーアは、体をダンスするように回転させ、シアンの足を蹴った。バランスを崩したシアンは悲鳴を上げながらその場に倒れた。


「いったぁ……」


「ギャーッハッハ! 攻守逆転じゃのう!」


 倒れたシアンに対し、クーアは魔力を開放して水を発した。その後、シアンの両手足を濡らして凍らし、動きを封じた。


「あああああ! このババア! 動きを封じやがったわねェェェェェ!」


「おーほっほ! 尻の青いクソガキはそこで地面でもぺろぺろしてなさーい。わらわはベーキウの腕の中で夢の世界に入ってくるからのー」


「クソッたれがァァァァァ!」


 スキップをしながらベーキウが眠るテントへ向かうクーアだったが、シアンは気合と魔力を込めて、両手足の氷を吹き飛ばした。


「な……何!」


「無駄だったわね、クソババア!」


 シアンは叫びながら、ベーキウのテントへ向かって走り出した。戦いよりもベーキウとの熱い夜を優先したとクーアは思い、急いで走り出した。


「待てゴラァァァァァ! わらわがベーキウと熱い夜を楽しむんじゃァァァァァ!」


「クソババア! あんたが熱い夜を楽しんだら、干からびて死ぬわよ! 歳を考えなさい!」


「歳を考えるのはお前の方じゃ! まだお前は未成年じゃろうが! エッチなことをするのはまだ早いのじゃ!」


「あんたは遅すぎたのよ!」


「このクソガキがァァァァァ!」


 そんな感じの口喧嘩をしながら、シアンとクーアはベーキウのテントへ向かった。あと一歩のところで、上から闇の檻が降ってきた。シアンとクーアが上を見上げると、そこにはパジャマ姿のキトリが宙に浮いていた。


「うるさいわよ……眠れないじゃない」


 キトリはあくびをしながらそう言うと、指を鳴らした。その直後、闇の雷がシアンとクーアを襲い、気絶させた。


「ようやく静かになった……」


 キトリはそう言うと、再びあくびをして、寝室へ戻った。




 スノウは自室のベランダで、満月を見ていた。何かを思っては、何度もため息を吐いていた。その様子を、ヒルヴィルと王様が見ていた。


「スノウ、何かあった?」


 王様がヒルヴィルにこう聞くと、昼間のことを思い出しながら、ヒルヴィルは答えた。


「実は昼、あの子が城下町に出た時の話なんだけど、ベーキウって名前のイケメン剣士に助けてもらったの」


「イケメン剣士? ほぉ。それじゃあスノウは、そのベーキウって剣士に一目惚れしたわけか」


 王様は納得した表情でこう言った。ヒルヴィルはスノウの様子を見て、不安な表情になった。


「私は不安だわ。あの子、結構行動力があるから、また城下町に飛び出す可能性があるわね」


「そうじゃのう。何か、策を練らんとこりゃーまずいな」


 王様とヒルヴィルはそう言うと、ため息を吐いた。そんな中、スノウは満月を見て、小さくこう言った。


「ベーキウ様……また、あなたに会いたいですわ」


 その直後、満月の近くに流れ星が通った。それを見たスノウは、大声を発した。


「あ! 流れ星! お願いですから、私とベーキウ様を夫婦にしてください! 私とベーキウ様を夫婦にしてください! 私とベーキウ様を夫婦にしてください! はい! これで三回唱えました! さっさと私の願いをかなえてください! 今、すぐに! あのお邪魔虫が邪魔をする前に願いをかなえてください! 早く願いをかなえなさいよ! 恋のライバルが多いから、早くかなえてほしいのにィィィィィ!」


 美しい満月の夜の中、スノウの叫び声が何度も響き渡った。


 この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ