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焔のルビー争奪戦の幕が開けちゃうんだなぁこれが!


 ヒャクアーシの毒に侵されていたベーキウたちだったが、カンベイたちドワーフによって何とか一命をとりとめた。だが、次の難関がベーキウたちを待ち構えていた。


「いやァァァァァァァァァァ! ここで尻丸出しにされたくないィィィィィィィィィィ!」


「ベーキウがわらわの尻を見るのは構わないが、いくら命の恩人とはいえ尻を見せるのはいやじゃァァァァァァァァァァ!」


 シアンとクーアはそう言いながら泣き叫んでいた。完全に毒を消すためには、もう一回薬を使わないといけないのだが、それが座薬だったのだ。セブは暴れまわるシアンとクーアの体を抑え、座薬を持つロウベにこう言った。


「今のうちだ! この二人の尻に座薬をぶち込むんだ!」


「あいよー。痛いのは一瞬。これですぐ毒は消える。恥を捨てないと死んじゃうかもねぇ。イーヒッヒッヒ!」


 ロウベはシアンとクーアのズボンを握り、引き下ろそうとした。下半身が丸出しにされると思ったシアンとクーアは、さらに泣き叫んだ。そんな中、キトリとカンベイが声を出した。


「一応、この二人は女の子だから、私が薬を与えるわ」


「女の子だから、あまり恥ずかしいことをさせちゃいけないよ」


 キトリとカンベイの言葉を聞き、ロウベとセブはそうだなと言いながら後ろに下がった。セブの拘束から解き放たれた瞬間、シアンとクーアは急いで玄関に向かった。


「ここにいたら乙女の純情を失う!」


「恥をかくんだったら、死んだ方がましじゃ! わらわはどこかに行く!」


「死んだら元も子もないでござる!」


 逃げようとしたシアンとクーアに追いついたクーゾは、急いで二人の動きを止めた。その後、クチヨとツーシロを呼び、シアンとクーアを二階へ運んだ。その様子を見ながら、カンベイはキトリにこう言った。


「それじゃあ、あの二人のことは君に任せるよ」


「はい」


 そう言って、キトリは部屋に戻って行った。




 一方その頃、ジャオウたちは小さな船に乗り、焔のルビーがある大陸に移動していた。


「ウッブェェェェェ……」


 船酔いしたレリルは、海に向かって盛大にリバースしていた。それを見ていた総舵手は、笑いながらこう言った。


「ギャーッハッハ! おい、サキュバスのねーちゃん! 海の中にニンニク臭を漂わせるゲロを流すのは止めてくれ! 魚が死んじまうじゃねーか!」


「大きなお世話よ……ウゲッップ」


 レリルは総舵手に向かって言い返したが、次の瞬間に再び酔いがレリルを襲った。リバースするレリルを見ながら、ジャオウとアルムは話をしていた。


「あのサキュバス……勝手に付いてきて、勝手に騒動を起こすから……かなり面倒だな」


「そうだね。追い返そうとしても、無駄かもしれないね」


「仕方ない。途中ではぐれることを祈るしかないな。それより、次に向かう大陸には、二つ国があると言われるが、俺たちはどの国に向かっているんだ?」


 ジャオウにこう聞かれ、アルムは地図を開いた。


「えーっと、僕たちが向かっているのは、ユイーマって国だよ。焔のルビーがある国とは離れているけど、僕たちは指名手配犯になっているかもしれないから、そこから地道に行動しよう」


「ユイーマと言う国に向かっても、大丈夫なのか?」


「あそこは治安がそこそこ悪いって聞くから、ごまかしが効くかもしれない」


「そうか……確かにそうだな」


 ジャオウがこう言うと、総舵手が笑いながら話しかけてきた。


「そうだ。ユイーマには救いようのないレベルのロリコンの若い王様がいるんだ」


「な……何だそいつは?」


「その名もペデラタン。まだ二十歳の若造だが、そこそこ強いし、政治に関しても知識がある。だけど、さっき言った通り幼女好きなんだ。隣の国、ヘルグリームで有名な超美少女に求婚しているって聞いたことがあるけど、ありゃー絶対に断られるなー」


「とんでもない王様もいるもんだな……」


 話を聞いたジャオウは呆れてため息を吐き、アルムは心配そうな顔になった。それから少しして、ジャオウたちが乗る船はペデラタンから少し離れた港に到着した。


「それじゃあな! 旅の幸運を祈ってるぜ!」


「ああ、俺たちのような輩にそこまでしてくれて、本当にありがとう」


 ジャオウは手を振る総舵手に向かって、丁寧に頭を下げた。アルムもその後に続いて頭を下げたが、レリルは再びリバースをしていた。


 その後、ジャオウたちは変装用の黒いローブを購入し、人目が付かないように行動を始めた。


「ここから数日歩けば、焔のルビーがあると言われる国、ヘルグリームだ」


 ジャオウがこう言うと、少しだけ気分がよくなったレリルが嫌そうな声を上げた。


「えー? 数日歩くの?」


「ひたすら歩くわけではない。もちろん、夜になったら休む」


「野宿ねぇ。たまにはベッドの上で横になりたいわぁ」


 レリルはため息を吐きながらこう言った。その言葉を聞いたアルムは、この人は旅を甘く見ているのだろうと思っていた。そんな中、人々がざわつく声が聞こえた。


「何かが起きたのか?」


 ジャオウは人々の視線が集まる場所を見て、驚く声を上げた。そこには、白くて美しい装飾品が埋め込まれた馬車に乗っているペデラタンがいた。


「あれがペデラタンですか……見た目はかっこいいのに」


 アルムは馬車に乗るペデラタンを見て、小さく呟いた。イケメンがいると聞いてテンションが上がったレリルは、高く飛び上がってペデラタンの姿を見た。


「きゃー! すっごいイケメンじゃないの! あれでロリコンなの? 私のテクでふざけた性癖を正してやろうかしら?」


 と、レリルは大声で叫んでしまった。この言葉を聞いたジャオウとアルムは、急いでレリルを大人しくした。だが、遅かった。レリルの言葉をペデラタンは聞いてしまったのだ。


「何だ今のふざけた言葉は! ふざけたことを言った女を今すぐ処罰しろ!」


「はいはい」


「はいは一回!」


「はーい」


 ペデラタンの命令を受けたやる気のない兵士たちが、適当な手つきで槍を持ちながら、ジャオウたちに近付いた。


「すんません。うげっ! ニンニク臭い!」


「誰がニンニクを……違った。さっき、誰が正論を言ったんですか?」


 兵士たちを見ながら、ジャオウは周囲を見回した。その様子を見た兵士は、怪しいと察した。


「お前何者だ? フードを外せ」


「チッ、仕方ない」


 ジャオウは兵士たちに言われた通りに、フードを外した。ジャオウの姿を見た兵士は、驚きの声を上げた。


「うわ! こいつは魔族だ!」


「何か怪しいな。絶対に捕まえろ!」


 その後、兵士たちは一斉にジャオウたちに襲い掛かった。ジャオウは背中の大剣を持ち、迫りくる兵士に攻撃を仕掛けた。


「うわっ! 強い!」


「俺たちじゃあ勝てない!」


「どうする? 何もしないで突っ立ってる二人がいるけど、人質にする?」


「うーん……仕方ないね」


 兵士たちは相談をした後、レリルの背後に回ってこう言った。


「おい、そこの魔族! 仲間が傷付けられたくなかったら、我々の言うことを聞け!」


 兵士はそう言ったが、レリルの口から漂うニンニク臭を嗅いでしまい、嗚咽しながらその場でうずくまった。


「ウオッ! 強烈!」


「クソッ! このニンニク女の周りには近づくな! 臭いでやられる!」


「人質にするなら、そっちの女の方だ!」


 兵士たちはそう言うと、一斉にアルムの方へ移動した。そのことを察したレリルは、苛立ちながらこう言った。


「ちょっとー! あんたらバカァ? そいつは女々しい顔だけど、下には立派なモンが生えてんのよ!」


 レリルの言葉を聞いた兵士たちは、鼻をつまみながらこう言った。


「口を開くな、ニンニク女!」


「バカはお前だ、ニンニク女! こんなにかわいい子が男なわけがないだろう!」


「ニンニク臭をまき散らす女より、こっちの方がいいに決まってる!」


 兵士たちの言葉を聞いたレリルはプッツンし、アルムに近付いてパンツとズボンを下におろした。


「ほら見なさい! これが真実よ!」


 レリルがこう言った後、少しの間が空き、人々の悲鳴が轟いた。この様子を見ていたジャオウは、腹を抑えながら呟いた。


「ああ……胃が痛い」


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