怒れる息子と勇者
クーアはアルムによって強化された吹雪に飲まれたレイダーズを見ていた。
まだじゃ。あのエロジジイはまだ動ける!
と、クーアは心の中で思った。今のレイダーズはダメージを受けて、着ている衣服が灰になってパンツ一丁の状態である。すっぽんぽんに近い状態で絶対零度並みに冷たい吹雪に飲まれたのであれば、普通の人はあっという間に凍死してしまう。だが、エロジジイことレイダーズは普通の人ではない。レイダーズは魔力を少し開放して体中の温度を高め、吹雪の温度に耐えていたのだ。吹雪の中には鋭利な氷が風に混じって飛んでいるが、レイダーズはそのことを察し、どう対処すればいいか把握していた。そのせいで、鋭利な氷に当たることはなかった。
しばらくして、吹雪は止んだ。吹雪の中にいたレイダーズは空中で回転しながら地面の上に着地した。
「体操の大会じゃったら、百点満点の着地じゃった」
と言って、レイダーズはクールに決めた。その時、武器を持ったベーキウとジャオウがレイダーズに走って接近し、同時に攻撃を仕掛けた。
「おわっと! ベーキウ、それとジャオウっつったっけ?」
「息子の名前ぐらいちゃんと覚えろ!」
「悪い悪い。二人とも、人がかっこつけているのに攻撃をするのは失礼じゃぞ」
「一番失礼なのはお前だろうがァァァァァァァァァァ!」
叫びながら、シアンが上空から現れ、レイダーズを一閃した。斬撃を受けたレイダーズは後ろに下がったが、すぐに魔力を使って治療をしていた。
「させるか!」
ベーキウはすぐに動き、治療するレイダーズに攻撃を仕掛けた。だが、レイダーズは迫ってきたベーキウのクレイモアを右手で受け止めた。
「な……」
「強くなったの、ベーキウ。クレイモアの攻撃が重く感じたぞ。じゃが、まだワシには届かないようじゃの」
と言って、レイダーズは魔力を開放してベーキウを吹き飛ばそうとした。しかし、ベーキウは足腰に力を込め、吹き飛ばないように踏ん張った。
「届かない? あんたがそんなことを決めんじゃねーぞ!」
「ふぅ。強くなったのは本気のようじゃの」
「なら、今度は俺の斬撃を受けるがいい!」
ジャオウはそう言って、レイダーズに向かって大剣を振り下ろした。レイダーズは左手でジャオウの斬撃を受け止め、ドヤ顔を決めた。
「いい攻撃じゃ。じゃが、まだまだ」
ベーキウとジャオウに向かってドヤ顔をするレイダーズだったが、背後にいたシアンがレイダーズの背中に向かって剣を振るった。
「あがっ……」
「勇者として、背後からの奇襲攻撃は卑怯と言われると思うけど。あんたみたいな卑劣な野郎を斬るためなら、何でもするわ!」
「ひ……卑劣って酷くない?」
「酷いわけがあるか!」
シアンの斬撃を受けたレイダーズは、一瞬だけ力を緩めた。その隙にベーキウとジャオウは動き、レイダーズに向かって同時に攻撃を仕掛けた。
「あぐあ!」
斬撃を受けたレイダーズは、口から血を吐いてその場に倒れた。
レイダーズが倒れた光景を見て、ヤイバたちは歓喜の声を上げた。
「うおっしゃー! ベーキウたちが決めたぞ!」
「悪はやっぱり最後に倒れるもんだ!」
男たちが歓喜の声を上げる中、デレラは一人、ため息を吐いた。
「あーあ、私がとどめを刺したかったなー」
「恐ろしいことを言わないでください」
近くにいたスノウは、冷や汗をかいてこう言った。
ヤイバたちが歓喜の声を上げる中、クーアとキトリ、アルムとレリルだけは喜びの声を上げなかった。
「あのエロジジイがあんな簡単に倒れるはずがない」
「やはりクーアさんもそう思いますか?」
「今、喜んでいない私たち全員が同じことを想っているわ」
「ええ。あのジジイはまだ立ち上がる。皆見て、ジャオウたちも武器を構えているわ。まだ戦いは終わってないって考えているわよ」
レリルの言葉を聞き、クーアたちは倒れているレイダーズを注目した。
攻撃を受けたレイダーズは、目をつぶって動きを止めていた。やられたふりをしているのだ。
うーん。どうすっかのー。この状況、どうやって抜け出そうか。
と、レイダーズは心の中で考えていた。ベーキウとジャオウの斬撃を受けてダメージを負ったレイダーズだが、まだ思考を巡らせるほどの体力を持っているのだ。
すぐに立ち上がったら、またベーキウたちに攻撃される。魔力を開放したら、すぐにばれるしのー。うーん……。
そう思っていると、武器を手にしたベーキウとジャオウが近付いた。
「やられたふりはするんじゃねーぞ」
「まだお前に戦う力があること、見抜いているぞ」
「げ」
ベーキウとジャオウの言葉を聞いたレイダーズは、思わず声を上げた。逃げるしかないと思ったレイダーズは、素早く立ち上がって逃げようとしたのだが、シアンが光の魔力を発した。光の魔力は刺のような形になり、レイダーズの両足に突き刺さった。
「いったァァァァァァァァァァ!」
攻撃を受けたレイダーズはその場で転倒し、痛さのあまり転げまわった。
「いだだだだだ! シアンちゃん! やりすぎ、やりすぎだって!」
「あんた相手にやりすぎもクソもないわよ」
シアンは剣を手にし、転げまわっているレイダーズに剣先を向けた。
「覚悟しなさい。あんたに未来はない」
「ヒィィィィィ!」
情けない声を上げたレイダーズだったが、声を聞いて呆れたシアンの隙を突き、レイダーズはシアンに飛びかかった。
「え! きゃあ!」
「隙ありじゃシアンちゃん! 酷いことをしたお仕置きじゃ! シアンちゃんの初めて、マジで貰っちゃおうかなー」
この言葉を聞いたシアンの顔面は、一気に青く染まった。レイダーズは魔力を開放しているせいで、手足に力が入っていた。たとえ勇者のシアンでも、上乗りになったレイダーズを振りほどくことができなかった。
「ちょ! 止めて、止めろやクソジジイ!」
「止めてと言われて止めるおバカさんはいないのじゃーい!」
レイダーズは慣れた手つきでシアンの服を脱がそうとしたのだが、この光景を見ていたベーキウたちが一斉にレイダーズに襲い掛かった。
「このクソジジイ!」
「これ以上剣聖の名に泥を塗りだくるんじゃねェェェェェェェェェェ!」
「一度死ね! マジでお前はいっぺん死ね!」
「自分より年の離れた少女に性犯罪をしようとするのはマジで止めんか! 最終回前にこの小説が消える!」
「チ〇コ斬り落とす前に、お前の首を斬り落としてやろうかァァァァァァァァァァ!」
などと、ベーキウたちはレイダーズに向かって罵倒を仕掛けた。文章で表してはいけない罵倒が飛び交う中、レイダーズはそれらを聞き流しながらその場から脱出した。
あっぶねー。下手したら殺されてたー。女の子を抱くときは、やはり場所を考えねば。外で一発やるのも快感なんだけどなー。
そう思いながら、レイダーズはこっそりと逃げた。
レイダーズが逃げたのをベーキウたちが知ったのは、総攻撃を始めて数秒後のことであった。
「あのジジイ、どこに逃げやがった!」
「もう遠くに逃げたかもしれない!」
「すぐに探すんだ!」
ベーキウたちはすぐにレイダーズを探した。その中で、キトリとレリルは精神的にショックを受けているシアンを慰めていた。
「大丈夫よシアン。あのジジイはどこかに逃げたから」
「本当に最悪なジジイね。あんたを無理矢理やろうとしてたのを見て、マジでやばいジジイだと思ったわ」
「ひィィィィィ……もう本当に……アノジジイヲユルセナイ」
泣き顔だったシアンだが、徐々にその顔は般若のような顔になった。シアンは立ち上がり、空を見上げた。
「アノジジイハ! ゼッタイニブチコロス!」
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