闇の脅威がエロジジイに迫る
最初にレイダーズに猛攻を仕掛けたのはキトリとレリルのペアだった。レリルの援護の元、キトリは二本の闇の剣を使っての攻撃をレイダーズに当てることに成功した。斬った際に手ごたえを感じたが、レイダーズはまだぴんぴんしていた。
「よくもやりおったなー。お返しじゃ!」
と言って、レイダーズはレリルの胸に向かって両手を伸ばしたが、セクハラされると察したレリルは、急いで羽を広げて飛び上がった。
「あぶなー。あと少し遅かったら、乳揉まれてたわー」
「レリル。私の後ろに」
「うん」
キトリはレリルがセクハラされないように闇のバリアを張り、レイダーズが接近しないようにした。
「チクショウ! 接近しておっぱい揉もうとしたのに!」
「そんなことさせないわよ」
キトリは泣いて悔しがるレイダーズを見下しながら言った。レリルはキトリの後ろに着地し、小声でこう言った。
「で、これからどうするの?」
「ひたすら攻撃を当てるしかないわ。たとえ回復されても、大きなダメージを与えて隙を作って、ベーキウたちが攻撃をしやすいようにする」
「とにかくやるしかないってことね」
レリルは魔力を開放し、レリルに魔力を与えた。
「できる限りの援護をするわ。どう? もう少し魔力は欲しい?」
「十分すぎるくらいよ。で、まだ魔力に余裕はある?」
「もちろん。有り余っているわ。やっちゃいなさい」
レリルの言葉を聞いたキトリは頷き、魔力を開放してレイダーズに接近した。
レリルのおかげでパワーアップしたキトリを見て、レイダーズは冷や汗をかいていた。
まずいのー。今のキトリちゃんの攻撃を受けたら、ちと回復が遅くなるのー。
レイダーズは心の中でこう思った。ダメージを受ける覚悟で逃げようとしていたのだが、ダメージを回復できぬままだと逃げることが難しいとレイダーズは考え、ある覚悟を決めた。
「キトリちゃん。服がボロボロになっても泣かないでね」
「誰が泣くか!」
キトリは呆れて叫んだ。だがこの時、キトリはレイダーズが反撃を起こすと確信した。攻撃をされる前にキトリは左手の闇の剣を振り下ろしたのだが、レイダーズは素早く闇の剣の刃を斬った。斬り落とされた闇の剣の刃は空中を舞い、消滅した。
「強い魔力じゃが、まぁ所詮はこんなもんじゃ」
「これで上等」
キトリはレイダーズを睨んでこう言った。その直後、斬られたはずの左手の闇の剣が伸び、レイダーズの腹部に命中した。
「ぐう……酷いのー」
「あなたがやった行為より、まともだと思うけど」
ため息を吐きながら、キトリはこう言った。後ろで戦いの様子を見ていたレリルは、キトリの作戦がうまくいったと思って喜んだ。たとえ闇の剣の一部が破壊、斬り落とされても、魔力があれば長さの調節ができるのだ。レイダーズが斬り落として油断した隙に、闇の剣を伸ばして攻撃する作戦をキトリは考えたのだ。
だが、こんな攻撃を受けて立ち止まるレイダーズではない。攻撃を受けてすぐにレイダーズは後ろに下がり、治癒しようとした。
「させない!」
キトリは走り出し、両手の剣を振り回した。
「あ! ちょ! 回復するからちょっと待って!」
「敵に回復の時間を与えると思わないで!」
「えええええ! 一緒に戦った仲じゃない!」
「過去は過去、今は今!」
泣き叫ぶレイダーズを一喝し、キトリは情けない攻撃を続けた。しばらくして、キトリの魔力が徐々に弱くなった。
「まずいわね」
キトリの魔力を感じたレリルはすぐに動いた。すぐに動いたのはレイダーズも同じだった。キトリが弱くなったチャンスを狙い、レイダーズはセクハラをしてキトリをもっと弱くしようと企んだのだ。まったくけしからん。
「クッ……」
両手に装備している闇の剣が弱くなったことを察したキトリは思わず声を漏らした。その時、レイダーズが両手を前に突き出した。
「魔力の管理は大事だよキトリちゃーん!」
そう言いながら、レイダーズはキトリの胸を触ろうとした。やられると思ったキトリだったが、その前にレリルの飛び蹴りがレイダーズの顔面に命中した。
「未成年に手を出すジジイがいるかボケェ!」
「ほげぇ……」
蹴りを受けたレイダーズは、情けない声を上げながらその場に倒れた。レリルは追い打ちのつもりで、倒れたレイダーズの鼻に向かって口臭を放った。
「オゲェェェェェ! オップェェェェェ!」
「これでしばらく動けないでしょ。今よ皆!」
レリルの声を聞いたベーキウたちは、悶え苦しんでいるレイダーズに接近して攻撃を始めた。その隙に、レリルはキトリに魔力を与えた。
「お疲れ。魔力補充するわ」
「ありがとう。でも、もう次のスタンバイができているみたい」
と、キトリはレリルにこう返した。
ベーキウたちはレイダーズに追い打ちを仕掛けているが、レイダーズは魔力を開放してベーキウたちを吹き飛ばした。
「酷い奴らじゃ! 倒れた老いぼれに向かって猛攻撃を仕掛けるとは……お前らにはプライドがないのか!」
「常識のかけらを持っていないお前だけには言われたくねーよ!」
レイダーズの言葉に対し、ベーキウたちは同時に大声で叫んだ。そんな中、巨大な氷の拳がレイダーズの上から降ってきた。
「もげっぷ!」
攻撃を受けたレイダーズだったが、その反動で胸のあたりまで地面に潜ってしまった。
「あら。足と腕が動かない」
抜け出そうとしたレイダーズだったが、両足両腕が動かないことを察し、冷や汗をかいた。目の前には、怒りと殺意が入り混じったオーラを放つクーアが立っていたからだ。
「覚悟しろよエロジジイ。今日が貴様の年貢の納め時じゃ」
「ちょっと待ってクーアちゃん。こんな状況で攻撃をするのは、プライド的にどうかと」
「貴様を倒すためなら、プライドの一つや二つ、簡単に捨てることができるわァァァァァァァァァァ!」
クーアは怒声を上げながら風の刃を放った。無数の風の刃が、レイダーズを襲った。
「ギャァァァァァァァァァァ!」
魔力を開放して防御力を上げたレイダーズだったが、風の刃の切れ味は強く、魔力を開放してもレイダーズの肌を傷付けた。
「クッ! このままじゃあまずい!」
レイダーズは防御に魔力を使うことを止め、治療に回すことを考えた。だがその時、レイダーズの後ろからナイフが飛んできて、背中に命中した。
「アダッ! 誰じゃ、ナイフを投げた危ない奴は!」
「僕ですよ!」
アルムは姿を現し、レイダーズに向かってナイフを投げた。レイダーズは頭を動かしてナイフをかわしたが、それを見たクーアは笑みを浮かべた。
「ナイスじゃアルム! お主、わらわがやろうとしていることを理解しておるの!」
「もちろんです。クーアさん、やっちゃってください!」
「任せんしゃい!」
クーアは強い魔力を開放し、巨大な炎の塊を作り上げた。それを、アルムが投げたナイフに向かって投げた。
「な……何をするつもりじゃ?」
「よーく見るがいい、味わうがいい! 今からお前がどうなるか、すぐに理解できる!」
訳が分からず困惑しているレイダーズを見て、クーアは笑みを浮かべて答えた。しばらくして、クーアが放った炎の塊はアルムが投げたナイフに命中し、大きさも炎の熱さも倍以上に膨れ上がった。
「皆さん、離れてください!」
アルムの声を聞いたベーキウたちは、急いでその場から離れた。
「え? 嘘。こんなに炎が大きくなるなんて、ワシ聞いてないよ」
ただ一人、残されたレイダーズは目の前に迫る炎の塊を見て悲鳴の声を上げていた。しばらくして、炎の塊はレイダーズに命中してとんでもない大爆発を起こした。
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