くだらない争いは大詰めである
ベーキウたちは再びレイダーズを追い詰めることができた。殺意を爆発させたシアンたちはベーキウたちより先にレイダーズに襲い掛かった。
「ギャァァァァァァァァァァ! 怖いよォォォォォォォォォォ!」
レイダーズは情けない声を上げながらも、次々と迫るシアンたちの猛攻をかわした。
「くっ! しぶといジジイね!」
「あのジジイが攻撃をかわすことなんて最初からわかってたこと! もっとギアを上げていくわよ!」
シアンはレリルに向かって叫ぶと、魔力を開放させてレイダーズに襲い掛かった。レイダーズはジャンプしながら攻撃をかわしたが、上空からは鋭い牙をむき出しにしたサメが迫っていた。
「私がいるってこと、忘れたんじゃない?」
と、アユはウインクしながらこう言った。
「ヒャッハー! 新鮮な肉だ!」
「ジジイの肉だから少しは肉がないが、このジジイは筋肉がある!」
「その分美味いってことか! こりゃー楽しみだ!」
サメたちは狂ったように笑い声をあげ、レイダーズに噛みついた。だが、レイダーズは何とかサメの噛みつきをかわしながら逃げた。
「サメのエサなんかになってたまるか!」
と言って、レイダーズは剣を手にし、迫るサメを睨んだ。
「ヒャーッハッハ! あのジジイ、剣を持って俺たちを睨んでいるぜ!」
「たかが人間が、そんなもんを使って俺たちを倒せると思うなよ!」
「大人しく食われろ!」
サメたちはレイダーズに襲い掛かったが、レイダーズは素早く剣を振るった。その後、サメたちの動きが止まった。
「あぐ……がぁ……」
「み……見えなかった」
「俺たちは、化け物を相手にしていたのか」
サメたちは小さく呟き、宙に浮いた。その姿を見たアユは驚き、すぐに斬られたサメの治療を行った。ヤイバはアルジームやツバキの方を向き、同時にレイダーズに襲い掛かった。
「覚悟しろ! 手加減しないぞ!」
「これ以上世界中に恥をさらすのは止めてくれよ」
「もう観念してください」
三人は同時に攻撃を仕掛けたが、レイダーズは素早く、大きく剣を振るった。この一閃で、三人は倒された。
「ヤイバ!」
「アルジーム!」
「ツバキ!」
アユとパンジーとリプラは倒されたヤイバたちに近付き、ルーシィは慌てながら三人の治療を行った。
「わ……私が治療します!」
と言って魔力を使ったが、ドジったルーシィは手から火を出した。
「アッギャァァァァァ!」
「ちょっと! 魔力の使い方間違えてるって!」
「はわわわわわ! すみませーん!」
ルーシィは泣きべそをかきながら謝った。
レイダーズは猛ダッシュで逃げていたのだが、ベルリアやリオマとソクーリ、デレラがレイダーズと同等の速度で走って追いかけていた。
「待て!」
「待てと言われて待つ奴はおらん!」
レイダーズは後ろを振り向きつつ、魔力を開放して剣から衝撃波を発した。ソクーリが前に立ち、魔力を使ってレイダーズが放った衝撃波をかき消した。
「クッ! ワシ並みに強い坊主じゃ!」
「あんたの隠し子だからな」
と言って、ソクーリは魔力解放を維持したままレイダーズに接近し、素早く体を回転させてかかと落としを放った。ソクーリの右足のかかとは、見事にレイダーズの頭に命中し、地面にめり込ませることに成功した。
「あっふん!」
「さて、これで身動きが取れなくなりましたね」
「ちょいとお待ちよ。念には念をだ」
空からノレパンが現れ、レイダーズの腕が動かないように紐できつく縛った。
「ちょま! ワシは束縛プレイを好まぬ! むしろ縛った姉ちゃんを見て興奮する側じゃ!」
「なーにこんな時に性癖をばらしてんのよじーさん。いい加減捕まって去勢されなさいよ」
ノレパンはレイダーズの口をテープで塞ごうとしたのだが、レイダーズは口をもごもご動かし、ノレパンの方を見た。
「おいじーさん、無駄なあがきは……」
ノレパンがレイダーズの方を向いた瞬間、レイダーズは口から魔力の弾を発した。ノレパンは防御したのだが、魔力の弾が爆発した際の衝撃で後ろに飛ばされた。
「ノレパン!」
「あのジジイ!」
リオマはレイダーズに攻撃を仕掛けようとしたのだが、すでにレイダーズは魔力で紐をずたずたにし、自由になっていた。それに気付いたリオマだったが、すでにレイダーズは攻撃を始めていた。
「ちょいと痛いぞ!」
迫るリオマに、レイダーズは左の手を突き出した。そこから強風に似た衝撃波が発せられ、リオマは遠くに吹き飛んだ。
「兄さん!」
「二人で止められるかしら……」
ベルリアは自由になったレイダーズを見て呟いたが、後ろから強い魔力を感じた。その直後、シアンの飛び蹴りがレイダーズの顔に命中した。
「うぐお……」
「いい加減ぶっ倒れなさい!」
シアンはレイダーズに向かってこう言うと、地面に着地した。後ろに倒れたレイダーズは鼻をさすりながら、仁王立ちして睨んでいるシアンを見上げた。
レイダーズを見下ろしているシアンたちは獲物を見つけた凶悪なモンスターのような笑みをしていた。それを見たレイダーズは、背中から悪寒を感じ、滝のように冷や汗を流した。
「さぁて。見つけたわよ」
「さぁ? 覚悟はいいか、クソジジイ」
シアンとクーアはそう言うと、同時にレイダーズに向かって魔力の光線を放った。
「アッギャァァァァァ!」
光線を察したレイダーズはジャンプしてかわしたが、さっきまで座っていた場所は光線のせいで大きな穴が開いていた。
「は……はひぁ……当たったら穴が開いてた」
大きな穴を見たレイダーズは、当たらなくてよかったと思った。だが、上空にいたキトリがレイダーズに向かって蹴りを放った。蹴り飛ばされたレイダーズは情けない声を上げながら地面に激突した。顔から地面に激突したレイダーズは、鼻血を拭きながら立ち上がった。
「ここで終わりにする!」
「いい加減じっとしていろ!」
ベーキウとジャオウは倒れているレイダーズに向かって、同時に攻撃を仕掛けた。レイダーズはしゃがんで攻撃をかわしたが、ベーキウとジャオウは二度目の攻撃を放っていた。
「しつこいのー。そんなんでワシを倒せると思うんじゃない!」
レイダーズは素早く剣を手にし、迫る攻撃を受け止めた。ベーキウとジャオウは何度も同時に攻撃を仕掛け、その度にレイダーズは防御を成功しているため、今度の攻撃も余裕で防御できるだろうと思っていた。だが、攻撃を受け止めたと思ったレイダーズは衝撃に負け、吹き飛ばされた。
「うわァァァァァァァァァァ!」
吹き飛んだレイダーズは、尻もちをついた。その隙にキトリが闇の魔力を開放して鎌を作り、レイダーズに迫った。
「てあっ!」
「うわぁお!」
攻撃を受ける寸前、レイダーズは後ろに下がった。そのおかげで鎌の攻撃を受けることを避けたのだが、レイダーズの後ろにはレリルが立っていた。
「さぁエロジジイ。年貢の納め時ね」
「エロいサキュバスの姉ちゃんか。見逃して」
「嫌よ」
と言って、レリルはレイダーズの頬を掴んで体ごと持ち上げ、レイダーズの鼻に向かって口臭攻撃を仕掛けた。
「うっげェェェェェェェェェェ! 勘弁してくれ!」
「今よキトリ! エロジジイを弱らせたからやっちゃって!」
「分かったわ!」
キトリは闇の鎌を分解させ、二本の剣に形を形成させてレイダーズを切り刻んだ。
「ギャァァァァァァァァァァ!」
キトリの攻撃は命中した。だが、キトリは察していた。どれだけ強い攻撃を何度も当てても、レイダーズはすぐに回復してしまうと。
「痛いなーキトリちゃん。ワシじゃなかったら、半分死んでるよ」
「やっぱり!」
キトリは二つの闇の剣を手にし、レイダーズを睨んだ。
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