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バカな奴は何度も何度も同じ過ちを繰り返す


 宿屋でバカ騒ぎを起こしたため、シアンとクーアとレリルとスノウは正座をして反省していた。バカ女たちの前に立っているキトリは、腕を組んでバカ女を見下ろしていた。


「本当にバカなことをしたわね、あんたたち。私たちの他にも宿屋を使っている人たちがいるのよ。そこんとこ、理解しなさいバカ共」


 キトリの言葉を聞いたバカ女たちは歯を食いしばった。言い返せなかったのだ。そんな中、ミーネが宿屋に入ってきた。


「おはよう。朝から何やってるの?」


「反省中」


「何かバカなことをやったのね。それよりも、レイダーズの居場所が分かったわよ」


 この言葉を聞いたシアンたちは、顔を上げた。




 その後、ミーネはベーキウたちにレイダーズの居場所を伝えた。


「今現在、レイダーズは隣の大陸のファイナルサイゴにいるわ」


「すごい名前の大陸ですね」


 大陸の名前を聞いたアルムは、思わず呟いた。


「名前はすごいけど、普通の大陸よ。あのジジイ、この大陸の風俗街で遊んでいるわ」


「巷で結構騒がれているのに、よく風俗街で遊べるな」


「あのジジイ、金を持っているみたい。金をガンガン使ってくれるから、店としてはいい客として扱っているみたいよ」


 ジャオウの問いに対し、ミーネは簡単に答えた。シアンは息を吐き、こう言った。

「さて、それじゃあファイナルサイゴに向かいましょう。ここで、あのジジイを捕まえるわよ!」


 シアンの声を聞いたベーキウたちは、いい声で返事をした。




 ファイナルサイゴに向かうため、ベーキウたちはスノウが用意したジェット機に乗っていた。


「うう……また、これに乗るのか」


 ジェット機に乗った直後、ジャオウは急いでいくつも酔い止めを用意した。


「ジャオウ、一回一錠だから。一度にそんな飲むものじゃないから」


「薬の過剰摂取は止めなさい」


 大量の酔い止めを飲もうとしたジャオウに対し、ベーキウとシアンが止めた。アルムはベーキウとシアンがいるからジャオウは大丈夫だと思い、ミーネの方を見た。


「ミーネさん。レイダーズさんはまだファイナルサイゴにいますか?」


「ええ。あのジジイ、ずっと逃げていたせいかいろいろと溜まっていたのね。それで、あの大陸に留まって溜まったものを出してるみたい」


「逃げる中でも、スケベなことをやるんだなぁ……呆れた」


 アルムはため息を吐き、こう言った。


 数時間後、ベーキウたちはファイナルサイゴに到着した。ベーキウとシアンが顔色の悪いジャオウに肩を貸してジェット機から降りる中、先に降りたキトリがミーネの持つタブレットを見ていた。


「あのジジイの近くに到着したのね」


「ええ。でも気を付けて。あのジジイ、私たちを見たらすぐに逃げると思うわ」


「その前に決着を付けないとね。さて、あのジジイを見つけないと」


「大丈夫よ。もう手は打ってあるから」


 と言って、ミーネはキトリに向かってウインクをし、携帯電話を手にした。




 レイダーズは変装しながらも、ファイナルサイゴの風俗街で遊んでいた。


「うっひーい! 楽しかったー!」


 満足した声を出しながら、レイダーズは千鳥足で店から出て行った。レイダーズは女を抱くのと同時に、酒も楽しんでいた。思う存分に女と酒を楽しんだレイダーズだが、まだ物足りないと思っていた。そんな中、ピンク色の際どいドレスを着た美女たちがレイダーズに近付いた。


「ねぇお兄さん? 私たちのお店でもっと遊ばない?」


「サービスするわよ」


「うっひょひょーい! 姉ちゃんたちと遊べちゃうの? 兄ちゃん行っちゃう!」


 レイダーズは鼻の下を伸ばし、腰を激しく前後に動かしながら美女の後に付いて行った。この美女、実はミーネが用意した美女たちである。レイダーズをおびき寄せ、ベーキウたちに身柄を引き渡すように頼まれたのだ。


「こんな安っぽい罠に引っかかるなんて……」


 美女の一人がぽつりとこう言ったが、別の美女が静かにするように言った。その後、美女たちは派手なピンクの看板が掲げられた店の前に到着した。


「ここが私たちのお店よ」


「小さいけど、しっかりやっているのよ」


「そうかいそうかい! それじゃあ一緒に遊びましょー!」


 嬉しそうな声を上げ、レイダーズは店の中に入って行った。レイダーズ一人だけが店の中に入ったことを確認した美女の一人は、トランシーバーを手にした。


「目標、店内に入りました。お願いします」


 しばらくして、トランシーバーから了解と返事が入った。その直後、店の扉が閉まった。


「へ? お姉ちゃんたちがまだ外にいるのに、扉が閉まっちゃったよ」


 レイダーズは扉に近付いてこう言った。すると、激しい揺れが起きた。


「おわわわわわ! 何が起きとるんじゃ!」


 レイダーズは慌てて窓を探した。外の様子を見ようとしたのだが、窓はなかった。天井にぶら下がっている簡易なランプの明かりが消え、レイダーズの周囲は暗くなった。


「な! これじゃあ周りが分からん!」


 暗くなった部屋の中で、レイダーズは困惑の声を上げた。


 レイダーズが入った建物は、少しだけ宙に浮いていた。下に簡易的なジェットが付いてあり、そこから炎が噴射して上に上がっているのだ。次に、建物の下からタイヤが現れて地面に着いた。店の右側の窓から男の顔が現れ、美女の方を向いて笑みを浮かべた。


「それじゃあ行ってくるぜ!」


「お願いします!」


 その後、車になった建物は猛スピードで走り去った。




 ベーキウたちはミーネに言われ、ジェット機の近くで待機していた。


「何が起きるんですかね?」


 スノウはベーキウの膝の上に座ってこう言った。シアンやクーアの殺意に似た眼差しがスノウに突き刺さったが。スノウは気にすることはなく、むしろベーキウの膝の上に座っていることをシアンとクーアに見せびらかせていた。


「あのガキ、羨ましい!」


「子供じゃからって、ベーキウの膝の上に座れるなんて! ちくしょォォォォォォォォォォ!」


 シアンとクーアは歯ぎしりしながらこの様子を見ていたが、呆れたキトリがシアンとクーアの頭を叩いた。


「ねたんでいる場合じゃないわよ。すぐにエロジジイと戦えるように、準備をしてなさい」


「はーい」


「どさくさに紛れてベーキウと風呂に入ったお前が何を偉そうに」


「何か言った?」


 キトリは鬼のような形相でクーアを睨んだ。殺気を感じたクーアは急いで戦う支度をした。そんな中、レリルは何かを見つけた。


「ねぇ、変な車がこっちに向かって走ってくるけど」


「変な車?」


 顔色が元に戻ったジャオウは、周囲を見回して驚いた声を上げた。そこには、エロジジイことレイダーズを乗せた車が猛スピードで迫っていたからだ。


「何だあの車は!」


「皆準備して! あの車の中にエロジジイがいるわ!」


 ミーネの言葉を聞き、ベーキウたちはすぐに戦う支度を終わらせた。車はベーキウたちの前で停まり、運転手が中から出てきて後ろの店の扉を開けて中に入った。


「え? 何? 嫌! ちょ、誰じゃ! いきなり人の腕を引っ張るな! お前の荒々しい運転のせいでこっちはちょっとくらくらしとるんじゃ!」


「うるせぇジジイだ! さっさと外に出ろ!」


「あっひぃ!」


 情けない声とともに、レイダーズが車から現れた。その姿を見たベーキウたちは、一斉にレイダーズに襲い掛かった。


「年貢の納め時じゃァァァァァァァァァァ!」


「覚悟しろエロジジイ!」


「ここであなたを捕まえる!」


「ヒャッハー! 贖罪の時がきたようねェェェェェェェェェェ!」


「あなたを殺す!」


 先にレイダーズに襲い掛かったのは、女子たちだった。レイダーズは殺意丸出しのシアンたちを見て、悲鳴を上げた。


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