剣聖の血を継いだ双子
これ以上攻撃を受けたらかなりやばいと思っているレイダーズは、ひたすら逃げていた。そんな中、目の前に魔力を開放したリオマとソクーリが現れた。
「げげっ! まさかあいつらも、ベーキウの知り合いか?」
「ご名答」
と言って、ソクーリは巨大な雷の矢を放った。レイダーズは巨大な雷の矢をかわしたのだが、目の前には炎の拳を作って殴りかかるリオマの姿があった。
「喰らっとけ!」
「うぼっ!」
レイダーズはソクーリの攻撃を受けてしまい、後ろに吹き飛んだ。
「ナイスだ兄さん」
ソクーリは小さく呟き、大きな雷の矢を動かした。向きを変えた大きな雷の矢は、レイダーズに受かって再び動いた。
「おいおい、追尾機能もあるのかよあの矢は!」
面食らったレイダーズに、大きな雷の矢が命中した。高く響く電撃音の中、レイダーズは悲鳴を上げた。
「うっし! これであのジジイの動きを止めたな!」
悲鳴を上げるレイダーズを見て、リオマは勝利を確信した。だが、ソクーリは次の攻撃の準備をしていた。
「兄さん、相手は剣聖だ。この程度の攻撃を受けて倒れるなんて、甘く考えない方がいい」
「えー? そうかー?」
リオマは倒れただろうと思って前を見た。雷が消えた後、そこには黒焦げになって倒れているレイダーズの姿があった。痛々しい姿だったが、レイダーズは立ち上がり、逃げようとした。
「あ! あのジジイ、逃げようとしていやがる!」
「やはり!」
ソクーリは水の魔力で作られた手を逃げるレイダーズに向かって放った。水の手が迫っていると察したレイダーズは後ろを振り向きつつ、素早く剣を振るった。たった一振りで、ソクーリが作った水の手は跡形もなく消滅した。
「一撃で大量の水の手を消すとは……やはり剣聖、そう簡単に捕まらないか」
「感心している場合かよ! こっちから攻めねーとあのジジイを捕まえられねーぞ!」
リオマは高くジャンプし、レイダーズの前に着地した。
「坊主! しつこい奴はモテないぞ!」
「悪いなエロジジイ! 俺にはもう彼女がいるんだ!」
リオマのその言葉を聞いたモンモの顔は、真っ赤になった。それを見たレイダーズは笑みを浮かべた。
「へぇ……む。あの嬢ちゃん、服で分からないけどそれなりにおっぱいでかいね」
「分かるのかエロジジイ?」
「ああ。かれこれ人生の半分以上は女を抱いて生きていた。そのおかげで見る目が鍛えられたのじゃ。どれだけ服で隠そうが、おっぱいのでかさは分かる。それと、整形したかどうかも見分けがつくようになった」
「すげーな。つーか、人生の半分以上ってあんた、どれだけ女を抱いてんだよ」
「うーん……四桁かなー」
「くだらない話で盛り上がるんじゃない!」
怒りを露わにしたソクーリが、魔力を開放してバカ二人に攻撃を仕掛けた。
「ギャァァァァァァァァァァ!」
「ソクーリ! お前マジで攻撃しやがって!」
「うるさい! 兄さんが悪いんだよ!」
呆れたソクーリはこう言い返したが、話を聞いていたモンモがソクーリの肩を叩いた。
「あとは私がやります」
「やりますって……何を?」
「とどめを」
と言って、モンモは魔力を開放してバカ二人を凍らせた。その時、レイダーズを追っていたベーキウたちが合流した。
「モンモ王女! あのバカは?」
「あそこです」
シアンはモンモの指差す方向を見た。そこで、氷漬けになっているレイダーズの姿を見て笑みを浮かべた。
「ナイスですモンモ王女! これであのジジイに天誅を下すことができます!」
「私も手伝います」
その後、シアンたちはレイダーズに近付き、やりたい放題攻撃を始めた。
このままだと殺される。そう思ったレイダーズは、何が何でも氷の中から脱出しようとした。しかし、自身の周りを囲んでいるシアンたちは鬼のような形相を浮かべている。この状態で脱出したら、確実に十分の九ほど殺される。殺意を丸出しにしているシアンたちをどうにかすると言っても、氷漬けにされて動けない状態では手も足も出ないというか、動かせない。唯一できるのは、魔力の解放のみである。
うーむ、仕方ない。やるっきゃないの。
レイダーズはある考えを導き出し、行動に移した。レイダーズは魔力を開放し、中から氷を破裂させた。
「クソジジイ! 卑劣なことをするじゃないの!」
「こんなもんでわらわたちを止められると思うなよ!」
シアンとクーアは氷の破片をかわしながら、レイダーズに攻撃を仕掛けた。
「うがっ! ちょま! 俺はレイダーズじゃないって!」
突如、リオマの声が聞こえた。ここで、シアンとクーアは攻撃しているのがリオマだと察し、手を止めた。
「リオマ! そうだ、あんたも氷漬けになっていたのね」
「あのジジイ、俺を身代わりにしやがって! いてて……」
「じゃあエロクソジジイはどこに行ったんじゃ!」
クーアは叫び声をあげ、周囲を見回した。
「ここじゃよー」
と、近くの木の上からレイダーズの声が聞こえた。声を聞いたアルジームは、空を飛ぶじゅうたんに乗ってレイダーズに近付いた。
「覚悟しろよジジイ! あんたのせいで、酷い目にあった女性たちがたくさんいるんだよ!」
「その女性たちも、ワシの魅力に負けて身をゆだねたのじゃ。どっこいどっこいって感じじゃ!」
レイダーズは木から飛び降りつつ、アルジームに攻撃を仕掛けた。攻撃を受け止めたアルジームだったが、レイダーズに押されてじゅうたんから足を踏み外してしまった。
「アルジームさん!」
心配したルーシィが叫んだが、空を飛ぶじゅうたんが間一髪アルジームを助けた。
地面に着地したレイダーズは、近くにシアンとクーア、そしてジャオウがいることを察した。
「ここに降りたのが運の尽きだったな」
大剣を構えたジャオウは、魔力を開放し、レイダーズに斬りかかった。
「そんなでかい剣でワシを斬れると思うなよ」
「やってみなければ分からない」
ジャオウはこう言い返し、攻撃を仕掛けた。しかし、ジャオウの攻撃はレイダーズに当たることはなかった。
「ぐっ……」
「ほーれ、言わんこっちゃない」
レイダーズはジャオウの動きの隙を見て、蹴りを放った。
「ぐわァァァァァァァァァァ!」
ジャオウは悲鳴を上げながら、吹き飛ばされた。シアンは剣を手にし、レイダーズに接近した。
「よくもジャオウを! あんた、息子を蹴り飛ばしたのよ!」
「ワシはその息子に攻撃を仕掛けられたんじゃ。反撃するのは仕方ないことじゃ」
「あんたがバカなことをしなければ、こんなことにはならなかったのよ!」
シアンは剣を振り下ろしたが、レイダーズは左手でシアンの斬撃を受け止めた。
「す……素手で攻撃を受け止めた!」
「ワシは剣聖じゃからの」
と言って、レイダーズは右手でシアンの胸を触った。
「キャァァァァァァァァァァ!」
「シアンちゃん、巨乳になりたいのなら、ワシがこのままおっぱいを揉み続けてあげるよー。そうすれば、ベーキウも振り向くかもしれんのー」
「あんたに揉まれて巨乳になんかなりたくない!」
シアンは魔力を開放し、レイダーズの股間に向かって蹴りを放った。だが、レイダーズは急所に向かって蹴りが放たれるであろうと確信しており、魔力を使って急所の防御力を上げていた。固くなった急所を蹴ったシアンは、足の痛みを感じていた。
「いっつ……あそこ、そんなに固かったの?」
「魔力を使ったから固いのじゃ。ま、ワシ並みのスケベ野郎なら、魔力など使わなくても立派に! カッチンチンにできるがの!」
レイダーズは股間を前後に動かしながら、偉そうに言った。
「さーて、ワシもただやられるわけじゃないぞ。反撃の一つや二つ、してやるのじゃい」
そう言って、レイダーズは下種な笑みを浮かべた。
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