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魚が空を飛ぶなんて現実ではありえないって? いいんだよ、空想の世界なんだから


 ベーキウたちがレイダーズと戦っている中、アユは自身の中にある人魚の力を発動していた。


「ねぇ、何をしているの?」


 攻撃の準備をしているベルリアがこう聞くと、アユは笑みを浮かべて答えた。


「海の仲間を呼んでいるのよ」


「海の仲間? 確かあなたは、海の世界の人魚姫って言ってたけど……」


「そうよ。私には人魚の力がある。それを使って、私の仲間や知り合いの魚たちをこの場に呼んだのよ」


「魚を呼んだって……魚でしょ? 泳いでくるとしても海や水場はないし、どうやって?」


「見れば分かるわ」


 アユがこう言うと、空を見たアグレリオが驚きの声を上げた。ベルリアは空を見て、同じように驚きの声を上げた。そこには、空を飛んでいる魚群の姿があったからだ。


「アユ様ー! 今到着しましたでー!」


 サンマはアユに近付いてこう言った。魚たちはアユに近付き、話を始めた。


「で、エロジジイことレイダーズって奴は今どこに?」


「前の方でベーキウさんたちと戦っているわ。ヤイバもいる」


「おっしゃ! 皆で援護しに行くぞ!」


 魚たちは掛け声を上げた後、レイダーズを倒すために動き出した。


 ここで一言。後付け設定じゃね? とか言わないでください。真実は人を傷つける。




 ベーキウたちはレイダーズに猛攻を仕掛けていた。だが、勢いのあるユージロコ一家の攻撃も、ベーキウとジャオウとヤイバの斬撃も、シアンとアルムの魔力の攻撃もレイダーズはかわしていた。


「は……早い」


 アルムは息切れしながら、発情した猿みたいにぴょんぴょん動くレイダーズを見て驚愕していた。デレラやユージロコ一家の攻撃を受けたのだが、そのダメージはすでに回復しており、レイダーズの動きは戦いが始まった時と同じ速度に戻っていた。


「クッ、異常な強さのジジイだな」


「脳とあそこが腐っても剣聖だからな。今までの鍛錬で得た経験が奴を強くしているのだろう」


 疲れで深く呼吸をするヤイバに対し、ジャオウはこう言った。ベーキウは深呼吸してリラックスしようとしていると、空からやってくる魚たちとアユの姿を目にした。


「おーい! 援護するわよー!」


「アユ!」


 アユの声を聞いたシアンは驚きの声を上げ、空を見上げた。アユと魚たちはレイダーズの前に立ち、攻撃を始めた。


「狙撃部隊、狙撃開始!」


「イエッサー!」


 前に立つ魚たちは頬を膨らまし、口内の水を鉄砲のように勢いを付けて発した。


「うおっ!」


 勢いよく飛んでくる水を見て、思わずレイダーズはかわした。水はレイダーズの後ろの木に当たり、大きな風穴を作った。


「うっひゃぁ……あんなん当たったら腹が貫通する」


 水鉄砲の威力を見たレイダーズは、口を開けて驚いた。その時、アユの父であるサシミが三又の槍を手にして攻撃を仕掛けた。


「種族は違えど、同じ男として不貞を繰り返す奴は許せん! ワシが裁いてやる!」


「ハッ! でかい魚が偉そうに!」


 レイダーズは剣を手にし、サシミに攻撃を仕掛けようとした。だが、槍を手にした近衛兵がサシミの前に立ち、手にしている槍でレイダーズの攻撃を防いだ。


「むむっ! お前、やりおるな!」


「今はアユ様の力でパワーアップしているのだ。お前のような奴には負けぬ!」


 近衛兵はそう言って、手にしている槍を振るった。レイダーズは後ろに下がって攻撃をかわしたが、その隙を見計らったベーキウとジャオウとヤイバが攻撃を仕掛けた。


「同時に攻撃をするのは得策ではない! タイミングをずらし、連携しながら攻撃するんだ!」


「了解!」


「任せろ!」


 ジャオウの指示に従ったベーキウとヤイバは、ジャオウの動きに合わせて攻撃を始めた。ジャオウが先に攻撃を仕掛けたが、レイダーズはその攻撃を防御した。防御して動けない隙にベーキウがクレイモアを横に構えて攻撃を仕掛けた。


「クッ!」


 レイダーズは飛び上がってジャオウから離れ、ベーキウの攻撃をかわしたが、ヤイバは高く飛び上がってレイダーズに接近した。


「おりゃァァァァァ!」


 ヤイバは大声を上げながら剣を振り下ろし、レイダーズに一撃を与えた。レイダーズは魔力を開放して両腕を固くし、ヤイバの斬撃を防御した。ヤイバの剣はレイダーズの両腕に命中したのだが、あまりの硬さに刃は少し欠けてしまった。


「ウグッ! 剣が!」


 攻撃がふさがれたと察したヤイバは後ろに下がり、替えの剣に装備した。レイダーズは笑みを浮かべながら着地した。


「いいチームプレイじゃが、まだまだ若いし、尻が青いのー」


「クソッ! 偉そうに!」


「むかつく!」


 ベーキウとジャオウはイラっとしたのだが、レイダーズの背後を見て表情を変えた。その後ろには、マグロの大群がレイダーズに向かって突っ込んでいたのだ。


「マグロ軍団、突っ込みます!」


「ふしだらジジイを跳ね飛ばすぞ!」


 マグロたちの声を聞いたレイダーズは、驚きながら振り向いた。


「のわァァァァァァァァァァ! マグロが突っ込んでくるゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


 マグロが突っ込んでくるという異常な光景を見たレイダーズは、驚きのあまり体を動かすことができなかった。マグロの軍団は、レイダーズに激突した。


「アッギャァァァァァ!」


 マグロに激突したレイダーズは勢いよく上に吹き飛んだ。追撃のチャンスだと思ったデレラとユージロコは、当時に飛び上がった。


「行くわよデレラ! 同時に攻撃すれば、あの男の半分くらいの骨は逝くはずよ!」


「はい! 全力全開で攻撃します!」


「同時に放つわよ! 私たちの全力全開をッ!」


 デレラとユージロコは自分の右手に力を込め、宙に浮いているレイダーズの腹に向かってパンチを放った。爆発のような音が響いた後、レイダーズは勢いよく吹き飛び、地面にめり込んだ。


「が……がぺぺ……」


 地面にめり込んだレイダーズは、情けない声を上げていた。だが、すぐに地面から這い上がり、魔力を開放してダメージを治した。


「はぁ……はぁ……こりゃーやばいの」


 レイダーズは宙に浮かぶ魚たちを見て、予想外の援軍がきたと思った。そんな中、目の前に誘惑するかのように動く人魚たちが現れた。


「ムッヒョォォォォォォォォォォ! エロい人魚ちゃん!」


 あまりにエロい光景を見て、レイダーズは戦いを忘れて発情した。


「下半身は尾びれだけど、おっぱいはちゃんとある! うひひひひひ……」


 レイダーズは鼻の下を伸ばして人魚に触ろうとしたのだが、人魚たちは豹変し、レイダーズに噛みついた。


「イッダァァァァァァァァァァ!」


「今よ皆!」


「このエロジジイを滅多打ちにして!」


「こんな安っぽい誘惑に引っかかるなんて、バカじゃないの?」


 人魚たちの援護を受け、ベーキウたちはレイダーズに近付いて追い打ちを仕掛けた。




 ノレパンはレイダーズの悲鳴を聞きながら、攻撃の支度をしていた。


「おいノレパン、俺たちの出番はあるのか?」


「確かにそうだな。あの攻撃で剣聖は倒れると思うが」


 イジゲンとカネガタはこう言ったが、ノレパンは作業を続けていた。


「俺はそうは思わない。ユージロコっておっかない家族がおっかない攻撃をエロジジイに当てたが、そのあとすぐにあのジジイは動いた。魔力でダメージを回復したってのもあるし、あの程度の攻撃を受けても動けるってことが分かった。この戦い、長引く」


「そうか。俺たちが援護して、すぐに終わるか?」


「終わらねーさ。ま、根気よく叩けば、いずれ終わる。ほれ、イジゲン、とっつあん。装備を整えたから受け取ってくれ」


 ノレパンは整備した武器をイジゲンとカネガタに渡した。そんな中、ミーネが笑みを浮かべた。


「それじゃあ行ってくるわ」


「気を付けてください、ミーネさん」


 ツエルの言葉を聞き、ミーネは大丈夫よと答えてレイダーズの元へ向かった。


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