そりゃーねぇ、想い人と結婚できないって言われた負けヒロインは暴力的になるよ
スノウはレイダーズを見て、怒りを覚えていた。大が百個ほど付くほど大好きなベーキウが、実は腹違いの兄であり、その父親が世界一どうしようもないほどのスケベジジイ、レイダーズであると知ったからだ。本人は王女としての権力を使って自分だけ近〇相〇オッケーと言う何ともふざけたことを言っているが、心の中ではこんなことを民衆の前で話したら確実にふざけていると思われるし、SNSやニュースサイトなどで確実に大炎上を引き起こすだろうと考えていた。
「あなたがバカなことをしなければ……あなたがいたから私やベーキウ様が生まれたのはあれですが……」
「ちょま、君は何を言いたいの?」
「とりあえず……死ねェェェェェェェェェェ!」
スノウは腰にあるナイフを手にし、レイダーズに向かって突っ込んだ。この攻撃に対し、レイダーズは悲鳴を上げながら横に体を動かして攻撃をかわした。
「避けましたね」
「そりゃー誰だって避ける! 幼女と言えど、ナイフを持って襲い掛かったら誰だって避ける!」
「うるさァァァァァい!」
慌てふためくレイダーズを見て、スノウは二回目の攻撃を放った。再び突っ込んでくるスノウを見たレイダーズは、態勢を整えてジャンプした。
幼女が相手じゃとまともに戦えない! セクハラしても楽しくないし! ここは逃げよう!
そう心の中で思ったレイダーズは、とにかく走った。しかし、上空にいるヒルヴィルが魔力を使って攻撃を始めた。
「おわァァァァァ!」
「あなたは本当に卑劣な男ね。一度、死ぬレベルの地獄を味わった方がいいわ」
「ちょっと待ってくれ! ワシが一体何をしたんじゃ! ただちょっとだけ、女の子と遊んだだけじゃないか!」
「何がちょっとだけじゃァァァァァァァァァァ!」
「思いっきり世界中に大迷惑をかけるほどの夜遊びをしとるじゃないかァァァァァァァァァァ!」
「腰を振りながら夜を駆けるジジイが反論してんじゃないわよォォォォォォォォォォ!」
叫び声を上げながら、シアン、クーア、レリルがレイダーズに飛び蹴りを放った。思わぬ方向からの攻撃を受けたレイダーズは防御をすることができず、攻撃を受けて吹き飛んだ。
「あだだ……」
腰をさすりながら立ち上がろうとしたレイダーズだったが、その前にはどす黒い殺意を放ったスノウが、右手にナイフを持って立っていた。
「チン〇を斬り落とす前に、私があなたの頭を斬り落としてあげましょう」
「ちょっと! この幼女恐ろしいこと言ってるけど! 誰でもいいから助けて!」
レイダーズの声を聞いたシアンは、光の魔力を使ってレイダーズの両腕と両足を封じた。
「スノウ王女。殺すのは勘弁してください。ただ、痛めつけるレベルでそのナイフでクソジジイの体を切り刻んでください」
「分かりました」
シアンの言葉を聞いたスノウは返事をし、レイダーズに向かってナイフを振り下ろした。
「イギャァァァァァ! シアンちゃん! 幼い子供に向かって飛んでもないことを言わないでェェェェェェェェェェ!」
レイダーズは動ける範囲で体を動かし、スノウの攻撃をかわしながら叫んだ。この動きを見たスノウは、徐々にレイダーズに対して恐怖を感じた。
「何このジジイ? 両腕両足が封じられてるのに、攻撃が当たらない」
この一瞬の隙に、レイダーズは魔力を開放して拘束されている両腕両足の光の魔力を吹き飛ばし、自由の身になった。
「なっ! 光の魔力を!」
「ふぃー、何とか自由になったぞ。シアンちゃん、ワシも怒るときは怒るんじゃよ」
と言って、レイダーズは高く飛び上がってシアンの近くに着地した。
「何をするつもりだ!」
ジャオウは大剣を手にし、シアンに向かって手を伸ばすレイダーズに攻撃をしようとした。だがレイダーズは攻撃を受ける寸前、シアンの胸を揉んだ。
「なっ! いやァァァァァァァァァァ!」
「セクハラパワー充電完了! もうちっと暴れようかのー」
レイダーズはスノウとジャオウを見て、笑みを浮かべた。
ベーキウはキトリとアルムと一緒にレイダーズの元へ向かっていた。シアンとジャオウが先に向かっていたのは理解していたが、二人ではレイダーズに勝てないと考えていた。
「父さんは隙あらばシアンにセクハラして、興奮してパワーアップする。ジャオウ一人で勝てる相手じゃない」
「そこまで強い人なんですね」
「想像しているより倍以上強いわ。そして、性欲も」
「余計なものも強いんですね。呆れました」
そんなことを話しながら走っていると、ベーキウたちはとんでもないものを目撃した。それは、片膝をつくジャオウと、シアンの右胸を揉みながら強者的なオーラを放つレイダーズの姿だった。
「シアン!」
「助けて……ベーキウ。もう……体が限界」
「酷いことを! 女として、絶対に許せない!」
怒りを露わにしたキトリは、闇の槍を作ってレイダーズに向かって放った。迫ってくる闇の槍を見たレイダーズは、笑みを浮かべて大声を発した。
「なっ!」
レイダーズは声だけで周囲に衝撃波を発した。草木は大きく揺れ、地面の砂利や小石も空高く吹き飛ばしており、上空の雲は散り散りに吹き飛んだ。そして、キトリが作った闇の槍も跡形もなく消滅した。
「な……なんて力なの」
「これがワシの……スーパーセクハラパワーじゃ!」
情けない名前を聞き、ベーキウたちは呆れた。呆れた表情のベーキウたちを見たジャオウは、急いで叫んだ。
「ふざけた名前だが、レイダーズはとんでもないパワーアップをしている! 気を付けろ! 特にキトリ!」
「え?」
キトリが声を上げた瞬間、レイダーズは音も気配もなくキトリの背後に回り、尻を掴んだ。
「ヒッ! キャァァァァァァァァァァ!」
「いい尻だねぇ」
「クッ!」
キトリは怒りの表情を露わにしながら、背後にいるレイダーズに回し蹴りを放った。だが、レイダーズは左手で攻撃を受け止め、キトリの足を掴んだ。
「うーん残念。長ズボンじゃから太ももやパンツも見えぬ」
「父さん……これ以上剣聖の名を汚すのは止めろ!」
ベーキウが叫びながら、レイダーズに向かってクレイモアを振り下ろした。
「ベーキウさん! 今動いてもあの人に攻撃は当たりません!」
アルムは見ていた。ベーキウが叫び始めた直後に、レイダーズは素早くキトリの足から手を放し、ベーキウの前に進んでいたことを。そして、レイダーズの両腕がベーキウの右肩、首の下に向かって伸びていたことを。
「さすがワシの息子。カッコいいことをするが、あまり経験がないうちにそんなことをするのはよくないぞ」
「ガッ!」
レイダーズはベーキウの右肩を掴んでベーキウの攻撃を止めた直後、首の下を掴みつつ、ベーキウの背後に回った。
「さて皆さん。これで攻撃できるかの?」
レイダーズの声を聞き、ジャオウとキトリは怒りを爆発させた。
「実の息子を盾にするのか、この腐れ外道が!」
「あなたは本当に許せない! 去勢しても、あなたと言う存在をこの世から消さないとスカッとしないわ!」
そう言ったのだが、その前にスノウがベーキウに飛びかかった。
「ベーキウ様! 私が今、お助けしますゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
スノウは飛びかかりながらそう言ったのだが、顔はキス顔だった。そのことに気付いたシアンはスノウの体を掴んだ。
「どさくさに紛れてベーキウにチューするんじゃないわよ! 淫乱幼女!」
「誰が淫乱幼女ですか! あなただって乳を揉まれて、感じていたでしょうが!」
「うっさい! それとこれは別よ!」
その後、シアンとスノウの口喧嘩が始まった。ベーキウが呆れる中、後ろから足音が聞こえた。
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