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スケベ心は常にしまっておけ


 リオマは一人でモンモに説得をしていた。途中でリオマが過去にちょっとしたエッチなトラブルを起こしたことを口走ってしまったものの、地道にモンモの心の氷が溶けかかっていた。そんな中、ベーキウたちが合流した。


 クーアはモンモの魔力を感じ、笑みを浮かべた。


「説得が効いているようじゃの。さっきと比べて、モンモの魔力が弱くなっておる」


「え? それじゃああともうちょいで騒動も終わるってこと?」


 レリルが嬉々とした表情でこう言ったが、ジャオウは首を横に振った。


「今はそうだが、これからの動きで今後どうなるか変わるだろう。油断するな」


「ジャオウの言う通りじゃの。とにかく、このまま説得を続けるのじゃ。リオマー、バトル回の時はお前の出番が全然なかったんじゃから、こういう時に頑張れよー!」


「うるせーババア! 一言余計なんじゃ!」


 リオマはクーアの方を振り向いて、大声で叫んだ。その時、強風のせいでシアンやキトリ、レリルのスカートが激しく動いているのを目にし、それをじっと見始めた。


「リオマ?」


 モンモはリオマが何を見たいか察し、リオマの頭を掴み、無理矢理自身の目を合わせた。


「痛い。首が痛い」


「何を見ようとしたの?」


「それはその……」


 口ごもるリオマの姿を見て、シアンとキトリはリオマが何を期待していたか察し、手でスカートを抑えた。


「ちょっと、あんたこの状況でパンチラを期待してたの? 最低!」


「この前、とあるエロジジイのせいで酷い目を見たから、今はそういうのに敏感なの!」


 シアンとキトリがリオマに罵倒を始める中、クーアは笑いながらリオマに近付いた。


「おい、わらわの方を見ないのはどうしてじゃ? 確かにわらわは長ズボンを履いていてスカートじゃないが、あの小娘より長く生きているから、それなりに色気があるはずじゃ」


「ババアに色気があるわけねーだろ。テメーのパンチラを見たら、寿命が縮まるわ」


「何じゃとクソガキがァァァァァァァァァァ!」


 とんでもない言葉を聞いたクーアは怒りを爆発し、リオマの首を絞めようとした。それに合わせるかのように、モンモもリオマの両頬を強くひねった。


「あががががが! 首が閉まる! ほっぺが物理的に落ちる! 止めてくれェェェェェ!」


「リオマ、本当にあなたのスケベは治らないわね」


「このエロガキ! わらわの色気をたっぷりと教えてやろうか?」


「はいはいそこまで」


 そう言いながら、レリルが手を叩きながらモンモとクーアをリオマからどかした。リオマは助かったと思ったのだが、レリルはジャンバーのジッパーを下げ、自身が身に着けている下着をリオマに見せつけた。


「あんた、結構なスケベなんだね。それじゃあこれを見てどう思うの?」


「一緒に寝てもらいませんか?」


 と、リオマは鼻の下を伸ばしながらこう言った。クーアはリオマの鼻をレリルの口元に近付けた。


「うっぎゃァァァァァァァァァァ! すっげーニンニク臭! おっげェェェェェェェェェェ!」


 レリルの口臭が鼻に入ったリオマは、その場に倒れ、嗚咽しながら転げまわった。レリルはクーアの首を掴み、鬼のような形相で睨んだ。


「あんた、何やってんのよ?」


「エロガキに現実ってのを教えようと思ってな。男を誘惑したいのなら、口臭ケアせんか」


「余計なお世話よ!」


「あんたらずーっと余計なことしてんじゃないわよ!」


 ブチ切れたシアンが、クーアとレリルの頭にげんこつを落とした。




 バカバカしい光景が繰り広げられたため、モンモの魔力で発生していた風は完全に消滅した。ベーキウは呆れながらも、喧嘩をしているクーアとレリルに近付いた。


「とりあえず……二人のおかげで風は消えたよ」


 ベーキウの言葉を聞き、モンモははっとした表情をした。リオマのスケベ心のせいで、魔力を無意識に弱めてしまったのだと察した。


「魔力が……」


「おっと、これ以上魔力を使わないで」


「そのままでいろ。そうすれば、魔力を使うことはない」


 そう言いながら、シアンとジャオウがモンモの前に現れた。いきなり現れたシアンとジャオウを見たモンモは動揺したが、横から伸びた手が、モンモの腕を掴んだ。


「分かった? そのままでいて」


 そう言ったのはヒマワリだった。モンモは動揺する表情を浮かべながらも、ヒマワリの顔を見た。


「でも……変に動いたらまた魔力が解放するわ」


「だから、俺が何とかするって言ってんだろーが」


 と言って、リオマが立ち上がった。リオマはモンモの顔を見つつ、言葉を続けた。


「魔力のコントロールは確かにムズイ。俺も昔は苦戦した。だけど、慣れたらどんな強い魔力も押させることができる。それでいいんだ」


「でも私……自信がない。こんだけ強い魔力を抑える自信がないの」


「そん時は俺が乳でも揉んでモンモをリラックスさせるよ」


「テメェ、本性を現したな!」


 シアンは叫び声を上げながら、リオマの後頭部に向かってジャンプしながら回転蹴りを放った。リオマは体を回転させながらその場に倒れ、シアンを睨んだ。


「ぺったんこ勇者! 邪魔をするんじゃねぇ!」


「だァァァァァれが貧乳じゃァァァァァァァァァァ!」


 ぺったんこと言われ、さらに怒りが爆発したシアンは倒れているリオマに対し、キャラメルクラッチを仕掛けた。


「いぎゃァァァァァァァァァァ! ない胸が後頭部に当たる! 嬉しくない!」


「何だと? もういっぺんふざけたことを言ってみろォォォォォォォォォォ!」


「ギャァァァァァァァァァァ!」


 怒りを爆発させたシアンが、リオマにキャラメルクラッチを仕掛ける光景を見ながら、ジャオウは咳払いをした。


「とにかく、君は魔力のコントロールをする自信がないんだな」


 ジャオウはモンモにこう聞くと、モンモは小さく頷いた。


「そうです。使わなければいいんですが、ちょっとでも魔力を使えばとんでもなく強い魔力を出してしまうんです」


「じゃが、誰かがいればそれを止められると」


 話を聞いていたクーアが、頷きながらモンモに近付いた。


「今回のケースじゃと、リオマがいたから魔力をコントロールできた。エルフの賢者のわらわ目線から言うと、お主は魔力のコントロールはできる」


「え……」


 クーアの言葉を聞き、モンモは驚いた。モンモ自身は、異常なほど強い魔力を自分一人では抑えられないと思っていたからだ。


「無意識のうちに魔力をコントロールしているのじゃ。今じゃってそうじゃろ? リオマやわらわたちがいるから、魔力を出していない」


「確かにそうですが……」


「意識を持つのじゃ。魔力は体の一部。手足のように自由自在に動かせる。お主は考えすぎじゃ。強かろうが弱かろうが、魔力は魔力。自信を持って動かせばいいのじゃ」


「そんな簡単なことでいいんですか?」


「そうじゃ。難しいより簡単な方がましじゃろ? お主はいろいろなことを難しく考える。じゃから頭が過熱して変なことをしてしまうのじゃ。考えることは大事じゃが、深すぎると頭がパンクする。ほどほどにな」


 クーアの言葉を聞き、モンモは目をつぶった。話を聞いていたシアンはリオマの首を絞めている両手の力を弱め、感心した様子でクーアに近付いた。


「あんたもたまにはいいことを言うもんね」


「最年長じゃからのー。たまには迷う若者を導くこともせんとな」


 クーアはやれやれと言って、モンモの方を見た。


「とりあえずもう一度魔力を開放してみろ。何かあったら、わらわと恋人のベーキウとそのゆかいな仲間たちがどーにかするから」


「最後の一言は余計よ」


 シアンはクーアを蹴り倒し、キャラメルクラッチを決めた。


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