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現れる最強の氷の戦士たち


 リオマが一人でモンモの城に向かった可能性がある。そう思ったベーキウたちは、急いで支度をしてモンモの城に向かった。だが、その行く手を阻むように、モンモが質のいい魔力で作った氷の戦士たちがベーキウたちの行く手を阻んだ。




 氷の戦士の一人、フラッペはシアンに狙いを付けて襲い掛かった。


「私とやり合おうっての?」


「その通り。お前は俺が倒す!」


 フラッペは氷の剣を作り出し、シアンに向かって振り下ろした。シアンは剣を振るってフラッペの氷の剣の刃を粉砕し、フラッペの腹に向かって蹴りを放った。だが、フラッペは氷でできている。ただの氷ではなく、モンモの強い魔力で作られている。


「いったぁ……」


 蹴りを放ったシアンだが、あまりの硬さのため、蹴りを放った右足を痛めてしまった。フラッペは右足を抑えるシアンに接近し、新たに氷の剣を作って斬りかかった。


「危ない!」


 シアンの危機を察したアルムは、ナイフを放ってフラッペの気をそらした。


「ふん。そんなものが俺に通用するとでも?」


「攻撃をするためではありませんよ」


 と言って、アルムは魔力で投げたナイフを操り、フラッペの周囲をぐるぐると回した。


「羽の生えた虫か? 目障りだな」


 フラッペは氷の剣を振り回し、周囲を回るナイフを叩き落とそうとした。だが、フラッペの攻撃はナイフに当たらなかった。


「チッ、邪魔だな」


 攻撃を止めたフラッペは、ナイフを放ったアルムを見た。その時、フラッペはアルムの狙いを察した。


「そうか。攻撃ではなく、治療のための時間稼ぎか」


 フラッペは剣を構えるシアンを見て、笑みを浮かべた。シアンはアルムの方を見て、口を開いた。


「援護お願いするわね」


「了解です。僕のナイフのこと、知っていますね」


「ええ。魔力を当てれば、その魔力の威力を倍増にする。私の光の魔力を使えば、あいつを倒せる!」


「その通りです。ですが、あいつも僕のナイフのことを察しています。できる限り、速攻で倒しましょう!」


「もちろんそのつもりよ!」


「会話中すまないが、割り込むよ!」


 フラッペは氷の剣をシアンに投げながらこう言った。シアンは飛んでくる氷の剣を叩き落とし、飛び上がったフラッペを見た。


「こっちの攻撃が本命ってわけね」


「その通り。そして、この技でお前らは倒れることになる!」


 シアンに言葉を返したフラッペは、両手を大きく広げた。その動きに合わせるかのように、フラッペの周りに無数の氷の剣が現れた。


「これが俺の必殺技、アイスソードドリーム。無数の氷の刃に貫かれて、永遠に覚めることのない夢を見るがいい!」


「何カッコつけながら叫んでいるのよ? そんなちっぽけな技が私に通用すると思うなァァァァァ!」


 シアンは魔力を開放し、無数の光の剣を発した。フラッペは飛んでくる光の剣を見て、目を開いて驚いた。


「出足をくじかれたが、勝つのは俺だ!」


 そう言って、フラッペは氷の剣を放出した。光の剣と氷の剣がぶつかり合うのだが、特殊な魔力の光を相手に、氷の剣は太刀打ちすることができなかった。光の剣は迫る氷の剣を粉砕しつつ、フラッペに向かって飛んでいた。


「な……何!」


「あんたバカねー。ただの氷が特殊な光に勝つわけがないでしょうが」


 驚くフラッペを見ながら、シアンはため息を吐いてこう言った。だが、フラッペはすぐに我に戻り、迫る光の剣をかわし始めた。


「当たれば致命傷だが、当たらなければ意味がない!」


 フラッペは素早い身のこなしで、次々と降ってくる光の剣をかわした。シアンはフラッペの動きが予想より早いことを察し、悔しそうに舌打ちをした。


「仕方ないわね。この技、それなりに魔力を使うからあんまりしたくないんだけど」


 と言って、シアンは地面に突き刺さった光の剣を操り、フラッペに向かって動かした。


「ほう。地面に刺さってもまだ使えるのか」


「今度は確実に当てる!」


 シアンは光の剣を横に回転させ、フラッペに向かって飛ばした。フラッペは氷の剣を作り、飛んでくる光の剣を見た。


「氷の剣は光の剣を受け止められないはず。なのにどうして作ったんだ?」


「何か策があるから出したんでしょう。注意して」


 シアンはアルムにこう言った。その直後、フラッペは氷の剣を地面に突き刺し、それを踏み台にして高くジャンプした。この行動で、フラッペは飛んでくる光の剣をかわすことができた。


「踏み台にした!」


「結構考えるわね。でも、そんなんでかわしたつもりなのかしらね」


 シアンはそう言って、アルムの方を見た。シアンの考えを見抜いたアルムは頷き、動かしているナイフをフラッペに近付けた。フラッペは近付いてくるナイフを見て、嫌そうな顔をした。


「あのナイフ、まだ存在するのか」


 邪魔なナイフだと思いつつ、フラッペは氷の剣を作ってアルムのナイフを叩き落とそうとした。だがその時、地面に突き刺さっていたシアンの光の剣が、アルムのナイフに向かって動いた。


「光の剣が……だが、俺はここだ! 狙いを外しているぞ!」


「勘違いしないでよ。これであんたに致命傷を与えてやるわ!」


 シアンは勝ち誇ったかのように叫んだ。何をバカなとフラッペは思ったが、光の剣がアルムのナイフに命中した直後、アルムのナイフから巨大な光の刃が現れ、フラッペを貫いた。


「なぁ……がぁっ……」


 攻撃を受けたフラッペは衝撃を受けた表情をしつつ、周囲を見回した。フラッペの周りには、攻撃を受けて粉々に吹き飛んだ自身の下半身や、大小さまざまな氷の破片が舞っていた。巨大な光の刃の一撃で、自身の体が粉砕されたことを把握したのだ。


「そ……そんな……」


 フラッペは小さく呟き、白目をむいた。その直後、フラッペの体は粉々に粉砕した。フラッペが消滅したことを知り、シアンとアルムは安堵の息を吐いた。


「何とかなりましたね」


「ええ。一人で戦ってたら、結構面倒な相手だったわ」


 シアンは剣を鞘に納め、アルムは自身のナイフを手元に動かしてこう言った。その後、周りを見たシアンとアルムは再び会話を始めた。


「ジャオウたちはまだ戦っていますね」


「援護に入る?」


「いや、ベーキウたちも一対多数の状況で戦ってる。私たちの援護がなくても、楽に勝てるわ」


「そうですね。では、少し体を休めましょう」


「ええ」


 会話を終え、シアンとアルムはその場に座り、体を休めることにした。




 クーアは周囲を飛び回る氷の戦士を見て、呆れていた。


「おーい、猿のように周囲を飛び回るな。落ち着きのない子供かお前は?」


「んなわけねーだろ、これは俺の作戦だ」


 氷の戦士は激しく飛び回った後、隙を突いてクーアに飛び蹴りを仕掛けた。だが、クーアはどのタイミングで攻撃をされてもいいように、風の刃を利用したバリアを周囲に発していた。それに気付いていない氷の戦士は風の刃によって切り刻まれた。


「ぐわァァァァァ!」


「はぁ、バリアの存在に気付かないとは……お前はバカじゃのー」


 呆れたクーアは倒れた氷の戦士を見たが、氷の戦士はすぐに立ち上がり、魔力を使って削れた自身の体を再生した。


「バカで悪かったなー。俺はバカかもしれねーが、仕事はちゃんとやる」


「バカが仕事をちゃんとやると言っても、あまり信用できんぞ。バカが言うしっかりやったは、信頼できんからの」


「俺をバカにするな!」


 氷の戦士は怒り叫びながら、クーアに向かって突進を仕掛けた。クーアは魔力を開放しようとしたが、目の前にジャオウが現れたので魔力を抑えた。ジャオウは大剣で氷の戦士の攻撃を受け止め、続けて大剣を振るって氷の戦士を吹き飛ばした。


「すまんの。助かった」


「礼はいい。やばかったから助けただけだ。それよりも、あいつを倒すのに協力してくれ」


「もちのろんじゃ」


 クーアはジャオウの後ろに立ち、吹き飛んだ氷の戦士を睨んだ。


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