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弱き者の心の中


 モンモの城から戻ってきたベーキウたちは、傷の手当てや食事をし、今後どうするか話し合いをした。そうするうちに夜中になったため、寝ることにした。


 深夜、リオマはソクーリが起きないようにこっそりと起き上がり、出かける支度をした。


「やっぱり俺がどうにかしないとな」


 小さくそう呟き、リオマは窓から外に出て、モンモの城へ向かった。




 宿の部屋で眠っていたベーキウは、体中に重みを感じて目を覚ました。シアンが横になっているベーキウを上から抱き着いていたのだ。起こそうとしたのだが、両端にはクーアとキトリがベーキウに抱き着くような形で眠っていた。


「俺が寝ている間に……」


 ベーキウは無理矢理起こすのもかわいそうだと思い、三人が目を覚ますまで大人しくしようと考えた。だがその時、ヒマワリの驚く声が宿中に響いた。


「んー、何なのよもう。せっかくベーキウと一緒に寝てたってのに……」


 シアンがあくびをしながら目を覚まし、クーアをベッドの上から蹴り落として目をこすった。キトリはあくびをして目を覚まし、ベッドから落とされたクーアは腰をさすりながら立ち上がった。


「いだだ……おいシアン。貴様、またわらわに何かしたのか?」


「人聞きの悪いことを言わないでよ。それより、さっきヒマワリの悲鳴が聞こえたけど……」


「話を逸らすな」


 クーアがシアンを睨む中、ヒマワリがベーキウたちの部屋に入ってきた。


「大変よ! リオマがどこかに行っちゃったみたい!」


 ヒマワリの言葉を聞き、ベーキウたちは驚いた。


 その後、ヒマワリは急いでベーキウたちを宿のキッチンに移動させた。キッチンには、先にジャオウたちが椅子に座っていた。


「あなたたちもヒマワリさんに起こされたんですね」


 アルムがこう言うと、ベーキウたちは頷いた。ジャオウはまだ眠いのか、何度もあくびをしていて、レリルは半分寝ていて、まぶたが何度もぴくぴくと動いていた。その後、ヒマワリはベーキウたちに話を始めた。


「さっき、ソクーリから連絡があったの。リオマの姿がないって!」


「あのガキか? あの年代なら夜遊びしてもおかしくないじゃろう」


「この町で夜遊びするような場所がある?」


 クーアの言葉に対し、レリルはあくびをしながらこう言った。ヒマワリは咳ばらいをし、ソクーリを呼んだ。


「兄さんがあんなことをするなんて思ってもいなかった。多分、モンモの城に向かったんだろう」


「どうして分かるんだ?」


「兄さんもモンモを助けるために、必死なんだ」


 その言葉を聞いたクーアとレリルは、気味の悪い笑みを浮かべた。


「おいおい、それじゃああの小僧は心のどこかであのおっかない王女のことを……」


「好きなんでしょうねぇ。まぁ、エロい体をしているから、きっと心ひかれたんでしょう」


「おいそこ、下種な話は止めろ。今は大事な話をしているんだ」


 ソクーリはバカな話をするクーアとレリルを睨み、こう言った。話は再開し、ソクーリはベーキウたちにこう言った。


「僕は出かける支度ができています。その様子だと、起きたばっかり見たいなので、準備ができたら後を追いかけてください」


「お前に言われなくてもそうするのじゃ。強いとはいえ、一人で敵に立ち向かおうとするな。やばくなったら逃げろよー」


「そうする」


 クーアにそう言って、ソクーリは急いで外に出て行った。シアンはあくびをし、机の上にあるホットコーヒーを飲み始めた。その様子を見たアルムは少し動揺した。


「こんなにゆっくりとコーヒーを飲んでていいんですか?」


「目を覚ましたばかりだからね。起きてすぐだと体が動かないわ」


「勇者の言う通りだ。あの少年は俺たちと同等の強さを持っている。今俺たちがするのは、体の調子を整え、ベストコンディションにさせることだ」


 と、ジャオウもホットコーヒーを飲んでこう言った。




 氷の城で眠っていたモンモは、近付いてくる魔力を感じ、目を覚ました。


「この魔力は……リオマ」


 リオマがくることを察したモンモは、少しだけうれしそうな顔をした。だが、その表情はすぐに戻り、モンモは首を振って魔力を開放した。


 リオマが近付いてくるということは、あの人たちもあとからここにくる。そんなことは……させない。


 そう思いながら、モンモは開放した魔力で新たな氷の戦士を作った。昨日の戦いで、どれだけ大きくて強い氷の戦士を作っても、ベーキウたちの前では無意味だと察したモンモは、質のいい魔力を使い、質のいい氷の戦士を作ろうと考えた。しばらくして、四体の氷の戦士が作り出された。そのうちの一体がゆっくりと動き、モンモの前に近付いて座った。


「あなたが私のご主人様ですね」


 その戦士がこう言うと、他の戦士もモンモに近付き、片膝をついた。モンモは四人の戦士を見て、こう言った。


「今から、強い戦士が私の城にやってきます。あなたたちがするのは、その戦士たちの行く手を阻むことです」


「了解しました」


 戦士たちはそう言うと、立ち上がった。だが、その前にモンモは四人の戦士を呼び止めた。


「あなたたちは私が今まで作った戦士とは違い、特別な力を授けました。なので、名前を付けようと思います」


「名前ですか……ありがたいです」


 戦士の一人はそう言って、笑みを浮かべた。その後、モンモはすぐに名前を思い浮かび、口を開いた。


「剣を持っているあなた。あなたの名前はフラッペ」


「フラッペですか。いい名前です」


「素手のあなたはヒョウ。格闘技を使いそうな名前だから」


「へへっ、カッコいい名前だ。センスありますね!」


「槍を持っているあなたはシャーベット」


「シャーベット。私にふさわしい名前です」


「あなたは私の魔力を与えました。あなたの名前は……フロスト」


「いい名前です。ありがとうございます」


 名前を与えられたフラッペたちはモンモに礼を言った後、外に飛び出していった。モンモは飛びだったフラッペたちを見送り、自分が作った氷の玉座の上に座った。


 彼らがいれば、何とか足止めができるはず。


 そう思いながら、モンモは目をつぶって眠った。




 支度を終えたベーキウたちは、すぐにモンモの城に向かって移動を始めた。


「早くソクーリかリオマと合流できればいいんだけど」


「できれば、早く到着してモンモを説得しとればいいんじゃがのー」


 シアンとクーアがこう言う中、あることを想ったレリルは体を震わせながらこう言った。


「リオマの奴、どこかで凍ってないわよね? ジャオウみたいに」


 この言葉を聞いたジャオウはそんなわけがないと思ったが、キトリはあることを考えてこう言った。


「かもしれないけど……その前に、何かが近付いてきてる」


 この言葉を聞いたベーキウたちは、すぐに武器を手にした。しばらくして、フラッペたちがベーキウたちの前に降り立った。すぐに氷の戦士だと察したベーキウは、フラッペに向かってクレイモアを振り下ろした。だが、フラッペはベーキウの攻撃を受け止めた。


「やっぱりそれなりに強いな」


「お褒めの言葉と頂きます」


 フラッペはそう言って、魔力を開放した。攻撃がくると察したベーキウはすぐに後ろに下がったが、フラッペは攻撃をしても無意味だと悟り、魔力を抑えた。フラッペの魔力を感じたシアンは、ベーキウたちにこう言った。


「あいつら、昨日戦った氷の戦士とは比べ物にならないほどの強さよ。気を付けて!」


「モンモが本気で戦士を作ったのね。こりゃーやばいわ」


 ヒマワリはティンクルを抱え、安全な場所に隠れた。ヒマワリたちが隠れたことを察したジャオウは、大剣を手にして戦う支度をした。


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