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でかければいいってもんではない


 モンモは通常の三倍以上の大きさの氷の戦士を作り出し、ベーキウたちに襲わせた。だが、ベーキウとジャオウがすぐに対処法を見抜き、次々と氷の戦士たちを倒していった。


「そんな、攻撃力も防御力も高くしたのに……」


 モンモはショックを受け、思わず呟いた。だが、ベーキウとジャオウはただの戦士だと思い直し、モンモは再び巨大な氷の戦士を作り出した。


「まだ出すってか」


「対処法は分かったのに、無駄なことを」


 床に着地したベーキウとジャオウは、新たに氷の戦士を作り出すモンモを見ながらこう言った。しばらくして、再び巨大な氷の戦士がベーキウとジャオウに襲い掛かった。


「さっきの攻撃、対処される可能性があるな」


「俺も同じ考えだ。ならどうする?」


「あいつらは氷でできた戦士だ。俺たちの武器で簡単に破壊できる」


「ほう。それで?」


「足を狙う」


「狙いを理解した」


 話を終えたベーキウとジャオウは、迫りくる巨大な氷の戦士の足元に向かって武器を振るった。ベーキウのクレイモアの刃が巨大な氷の戦士の足を削り、周囲に氷の粒が散乱した。その後、攻撃を受けた巨大な氷の戦士はバランスを崩し、その場に倒れた。倒れた際、体が崩壊した。


「うし。狙い通り」


「ああ。そのようだな」


 ジャオウもベーキウと同じように巨大な氷の戦士の足を狙って攻撃をし、敵を一体倒した。それから、ベーキウとジャオウは新たに生み出された巨大な氷の戦士を次々と倒していった。その様子を見たモンモはショックを受け、その場で立ち尽くした。


「そんな……どうして、どうして私に近付こうとするの?」


「そりゃー決まってるでしょ? あんたを助けるためよ」


 と、モンモに近付いたシアンがこう言った。その横には、ヒマワリとソクーリがいた。




 リオマはモンモの元へ向かおうとしたのだが、ベーキウとジャオウが次々と巨大な氷の戦士を倒すせいで、なかなか前に進むことができなかった。


「あいつら、あれだけ暴れたら前に進みにくいだろうが!」


 そうぼやきつつ、次々と倒れてくる巨大な氷の戦士をかわしながら徐々に前に進んでいた。そんな中、クーアがリオマに近付いた。


「お前、モンモの元に行きたいのか?」


「当り前だ! おいババア!」


「ババア呼ばわりするなクソガキ! 手を貸してやろうと思ったが、ババアって言われると無視したくなる!」


「悪い。俺をモンモの元へ向かわせろ!」


 態度を改めないリオマを見て、クーアは額に青筋を浮かべた。だが、モンモの元へ行きたいという言葉は嘘ではないと察したため、クーアはため息を吐いた。


「しゃーねーのー。わらわが魔力でお前の周りにバリアを張るから、バリアがあるうちにモンモの元へ行ってこい」


「悪い!」


 その後、クーアはリオマの周りにバリアを張った。バリアが張られたことを確認したリオマは急いでモンモの元へ向かった。キトリはクーアに近付き、口を開いた。


「いいの、あの子のために魔力を使って」


「まーの。もしかしたら、ああいう小童が救うきっかけになるかもしれんぞ」


 クーアは走るリオマの後姿を見て、静かにこう答えた。




 モンモは目の前に現れたシアンたちを見て動揺した。ベーキウとジャオウが戦っている隙に、近付いたのだろうと考えたのだが、ヒマワリはモンモに近付いてモンモの両手を握った。


「ようやくまともに話せるわね。モンモ姉さん」


「触らないで!」


 モンモは勢いを付けて両腕を振るった。ヒマワリの手はモンモの手から離れてしまい、ヒマワリは後ろに下がった。ヒマワリは自身の両手に違和感を覚え、両手を見て少しだけ驚いた。両手は濡れていて、少しだけ凍っていた。


「分かったでしょ? 私は自分の魔力をコントロールできないの! 何度も言ってるでしょ? この魔力をコントロールできなければ、いろんな人を凍らせてしまう!」


「そうね。だけど、一人でこの魔力をどうするか答えを見つけることができた?」


 シアンの問いに対し、モンモは言葉を失った。何も答えないモンモを見て、シアンはため息を吐いた。


「魔力のコントロールは一人でもできるけど、何も知らないど素人が一人でできるもんじゃないわ。私の仲間のクーアやキトリが魔力のコントロール上手だから、教えてもらえば……」


「ほっといてよ!」


 モンモは叫び声をあげ、シアンたちを吹き飛ばした。吹き飛ばされた場所はベーキウとジャオウがいる場所。いきなり飛んできたシアンたちを見て、ベーキウとジャオウは驚いた。


「シアン! 説得は……」


「失敗した。でも、もう一度行く!」


「あの子の態度が折れるまでやるつもりか?」


「そりゃーもちろんよ」


 シアンの答えを聞いたジャオウは、ベーキウの方を向いた。


「なら、俺たちも踏ん張ろう。まだいけるか?」


「当り前だ。こんなところでくたばってたまるかよ」


 ベーキウはクレイモアを構え、巨大な氷の戦士に向かって走り出した。




 ソクーリは吹き飛ばされた際、自分をクッションにして、激突した際の衝撃をヒマワリから守っていた。その後、床の上に着地したソクーリはヒマワリの方を見た。


「大丈夫か?」


「ソクーリが守ってくれたから大丈夫よ。ソクーリ……」


 ヒマワリは表情を変えないソクーリを見て、ため息を吐いた。


「我慢しないで」


「我慢? 何のことだ?」


「背中を見せなさい」


 ヒマワリは無理矢理ソクーリの背後に回り、服をめくり上げた。ソクーリの背中には痛々しい色のあざが浮かんでいた。ヒマワリがあざに触ると、ソクーリは小さく悲鳴を上げた。


「ほら、激突した際に怪我したじゃない。我慢できる痛みじゃないでしょ?」


「だが……」


「カッコつけないで。ティンクルー」


「ベボー」


 ヒマワリの呼びかけに答えたティンクルが姿を現し、ソクーリの服を無理矢理吸い込んだ。


「あ、おい! 服を吸い込むなよ!」


「治療が終わったら返すベボ」


「さ、治療するわよ」


 ヒマワリは魔力を開放し、両手に白い光を発した。それをソクーリの背中に押し当てた。


「おっひょい!」


「変な声を出さないで。面白いけど、今はそんな場合じゃないでしょ」


「もうちょっとゆっくりと、優しく……」


 ソクーリは止めるように言ったのだが、ヒマワリは止まらなかった。レリルはその様子を見て、笑みを浮かべていた。


「へぇ、あの二人結構いい仲ね」


 その言葉を聞いたアルムは首を傾げ、レリルに近付いた。


「どういうことですか?」


「見て分からないの? 王女って立場の少女が、ああやって自分の手で一般人の少年をあれこれしてるのよ? しかも、結構仲良さそうだし」


 笑みを浮かべるレリルを見て、アルムはため息を吐いた。


「女の人って、どうして人の色恋に興味があるんだろう……」


 そう小さく呟くと、ティンクルが横から現れた。


「あの二人、実はこっそり付き合ってるベボ」


 この言葉を聞いたソクーリは悲鳴を上げ、ティンクルの口を塞いだ。その後、急いで周囲を見回し、アルムにこう言った。


「今聞いた言葉は効かなかったことにしてくれ」


「それは無理ねー」


 と言ったのはレリルだった。その時、後ろに下がって体を休めようとしたクーアとキトリが現れ、レリルは笑みを浮かべながらソクーリとヒマワリの関係のことを話してしまった。話を聞いたクーアは笑みを浮かべ、キトリは笑みを浮かべるクーアとレリルを見て、呆れた表情をしていた。


「へぇへぇへぇ。やっぱりそういう仲だったんですねぇ。げえっへっへっ」


「若いっていいよねぇ」


「人の色恋に首を突っ込むのは止めなさい。みっともないわよ」


 キトリはそう言って、クーアとレリルを落ち着かせたが、関係を知らされたソクーリの顔は、真っ赤になっていた。


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