リアルだったら寒い日に冷たい水の中に入ったらマジでやばいから
行方不明のジャオウを何とか見つけたベーキウたち。だが、見つけた場所は凍った川の中。ベーキウたちは急いでジャオウを解凍したのだが、それでも意識を取り戻さなかった。レリルは一か八かで自身の口臭をジャオウに嗅がせ、悶絶させて意識を取り戻した。ここで注意。金〇ムを見た人なら分かると思うけど、寒い日に冷たい水の中に入ったら命のピンチです。金〇ムの不死身の杉〇や愛され脱獄王の白〇がやったように何が何でも火を付け、体を温めましょう!
ジャオウの意識を取り戻した後、ベーキウたちは急いで宿に戻ってジャオウの体を温めた。
「すすすすすまんんんんん。まままままたおまおまおまお前たちのせせせせせ世話にななななななってしまって」
寒さのせいで、口を震わせながらジャオウはこう言った。アルムがホットココアを持ってきて、ジャオウにカップを渡したのだが、ジャオウの体の震えはかなり激しく、手にしただけでカップに入っているホットココアが飛び散った。
「あっぢゃァァァァァ!」
「ココアが服の中に入ったあっつァァァァァ!」
ホットココアが体にかかったレリルとクーアは、悲鳴を上げながら転げまわった。ジャオウはすまないと言って頭を下げ、簡易ストーブに近付いた。その様子を見た宿の主人は、ため息を吐いてこう言った。
「まさかねぇ、季節外れの寒さが襲ってくるなんて思ってもいなかったよ。悪いわねぇ、こんなもんしかなくて」
「用意してくれるだけでででででうれしいですすすすす」
と、ジャオウは口を震わせながらこう言った。アルムはジャオウに近付き、震えで落ちかかった毛布を元に戻し、こう言った。
「とりあえず、一度死にかけたからしばらくは休んで」
「そうする」
アルムの方を見て、ジャオウはこう言った。
一方、別室にいるベーキウとシアンは窓から外を見ていた。
「この国で何かが起きているのは確かだ」
「ええ。だけど、そのことを知っている人はいないのよねー。王族であれば、何か知っていると思うんだけど……」
シアンがこう言った後、ベーキウとシアンは同時にため息を吐いた。季節外れの寒波のせいで、空色の勾玉を探すどころではないからだ。そんな中、突如外がうるさくなった。様子が気になったシアンは外に出て、人だかりができていることを見て、近くにいる人に尋ねた。
「あのー。何かあったんですか? こんなに人が集まっていますし」
「ああ。実はな、王族のヒマワリ王女、その幼なじみの双子の兄弟、リドマーオブラザーズ。そして王族のペットのモンスター、ティンクルがここにきたんだ」
「王族」
話を聞いたシアンはタイミングがいいと心の中で思った。シアンは人だかりを抜け、ヒマワリ王女たちの元へ向かった。
「失礼します!」
シアンの声を聞き、ヒマワリたちは一斉にシアンの方を振り返った。シアンの顔を見た緑色の帽子をかぶった少年は、驚いた表情をした。
「あれは勇者シアン。この宿に泊まっているって情報は入っていたけど、本当だったか」
緑色の帽子の少年がこう言った後、ヒマワリ王女らしき少女がシアンに近付いた。
「ナイスタイミング。私たち、あなたを探していたのよ」
「ああ。あなたたちも私を探していたんですね。よかったー」
シアンはそう言って、安堵の息を吐いた。
その後、ヒマワリたちを宿に入れ、暖かい部屋で話をすることにした。ヒマワリは用意された紅茶を一口飲み、ベーキウたちを見回した。
「話によると、勇者パーティーはシアン、クレイモア使いのイケメン剣士のベーキウ、エルフの賢者であるクーア、そして魔界からやってきた闇の魔力使いのキトリの四人だって聞いているんだけど」
「僕たちはまぁ……勇者パーティーの知り合いみたいなものです」
「話に口出ししないから、ゆっくり話をしてちょーだーい」
緊張した顔つきのアルムとは違って、緊張感がないレリルはクッキーを食べながらこう言った。
「ははは、あいつらはいないって思いながら話をしましょう」
シアンは笑いながらこう言った。クーアは飲んでいる紅茶を飲み干し、空のカップをお盆に戻し、ヒマワリを見た。
「直球に聞く。誰のせいでこうなった?」
クーアの言葉を聞き、ヒマワリたちは言葉を失った。シアンとキトリ、ベーキウは飲んでいた紅茶を鼻から吹き出し、クーアに近付いた。
「ちょっと! いきなりなんてことを聞くのよあんたは!」
「順序ってもんがあるでしょう?」
「この質問はさすがにストレートすぎるって!」
ベーキウたちが文句を言ったが、クーアはあくびをして言葉を返した。
「回りくどいやり方をしたら、話が長くなる。ベーキウたちも、うすうす察しておるんじゃろう? 暖かい地域で雪が降るなんてことは天変地異が起こらない限り、ありえない。わらわたちが生きている間に天変地異なんてもんはまず発生しない。じゃあ、誰かの手でこんな状況になっちまったって推理できるじゃろう」
クーアの言葉を聞き、ヒマワリは少し考えた表情をし、ため息を吐いた。
「そうね。話は分かりやすい方がいいわね」
この言葉を聞いた赤い帽子をかぶった少年が、少し動揺した。
「おいおい、ヒマワリ。この事件は俺たちで解決するって……」
「あなたたちだけじゃ難しいのよ。勇者パーティーの手も借りないと」
ヒマワリは赤い帽子の少年に言葉を返した後、咳払いをした。
「失礼。直球に聞いてきたんだから、こっちも直球に質問に返さないと無礼ね。まずクーアさん。あなたの言う通り、この寒さは私の姉、モンモのせいです」
この言葉を聞いていた宿のおかみさんは、驚いた声を上げた。
「あのモンモ姫がこんなことを! でも、あんな大人しい王女がどうして?」
「力の暴走です」
「力?」
クーアがこう聞くと、ヒマワリは外を見ながらこう言った。
「姉はかなり強い魔力を持っています。多分、この世界で一、二を争うほどの力です。私たちは姉がとんでもないモンスターだと知られるのを防ぐため、事態を知っているリドマーオブラザーズ、そしてそれなりの知性を持つモンスターのペット、ティンクルと協力して姉の力を抑えていました」
「じゃが、何かしらの騒動があって、こんなことになったんじゃな」
クーアの言葉を聞き、ヒマワリは頷いた。
話を聞いていたベーキウは、この事件を解決するため、立ち上がってヒマワリに近付いた。
「この事件をすぐに解決したい。君のお姉さんの元に案内してくれ」
立ち上がったベーキウを見て、ヒマワリはちょっとだけ顔が赤くなった。だが、すぐに緑色の帽子の少年がヒマワリの前に立った。
「すみませんが、あなたの力ではモンモを止めることはできません」
「君は止めたのか?」
「止めようとしました。ですが、失敗しました」
と言って、緑色の帽子の少年はベーキウを睨んだ。その時、赤い帽子の少年がベーキウに近付き、素早く拳を振るった。
「この程度の攻撃をかわせなければ、モンモを助けるのは諦めて、俺に任せろ」
「この程度の攻撃しか仕掛けられないのなら、君に任せることは難しいな」
ベーキウは赤い帽子の少年の拳を受け止めてこう言った。この様子を見たヒマワリはベーキウの力を察し、咳払いをした。
「それなりに力があるようね。でもあなた、全力ではないでしょう?」
「まぁ。狭い部屋なので、暴れたら大変なことになります」
ベーキウの返事を聞き、ヒマワリは笑みを浮かべた。
「あなたたちの力が知りたいです。一度外に出て、リドマーオブラザーズと軽く戦ってください」
この言葉を聞いたベーキウたちは、驚きの声を上げた。
この作品が面白いと思ったら、高評価とブクマをお願いします! 感想と質問も待ってます!




