救いたい気持ちが強さとなる
クソッたれが! あいつら、僕様の最終手段を察しやがった!
心の中で、ヒーデブスはベーキウたちを罵倒した。シアンの猛攻を受けて倒れたヒーデブスは、隙を突いてベーキウたち、あるいは誰か一人を倒そうとした。だが、その考えを見抜かれていた。
エスタクラフトを使って反撃をしようとも、今の状況ではヒーデブスの分が悪い。誰か一人を倒したとしても、ヒーデブスがまだ動いていることを察したほかのメンバーが、一斉に攻撃を仕掛けるだろうとヒーデブスは考えているからだ。
「バカなことを考えるのは止めるんじゃな、ブサイク野郎」
「諦めて謝ることをおススメするわ」
クーアとキトリの言葉を聞き、怒りながらヒーデブスは立ち上がった。
「やっぱりまだ力があったわね」
シアンはため息を吐きながらそう言うと、立ち上がったヒーデブスの顔面を盾で殴った。顔面を殴られたヒーデブスだが、それでも倒れなかった。
「エスタクラフトの力を存分に使う! お前たちが本気なら、僕様もこれ以上の本気を出して、お前たちを殺そう!」
ヒーデブスがこう言うと、無数のブロックが現れ、シアンたちに迫った。
「うわァァァァァ! 新しい攻撃だ!」
「悲鳴を上げるなツバキ。こんなん剣でどーにかできるぞ」」
レイダーズは剣を振り、迫ってくるブロックを斬りまくった。その様子を見たシアンやベーキウも同じように武器を使ってブロックを破壊し、クーアとキトリは魔力でブロックを破壊した。
「難なく破壊できるの」
「あいつが弱っている証拠よ」
キトリがクーアにそう言うと、闇の魔力を足元に発し、足元からヒーデブスに攻撃を仕掛けた。
「足元からの攻撃か。その攻撃は何度も受けた! 僕様には通用しないぞ!」
「知ってるわよ、そのくらい」
笑みを浮かべながら、キトリはそう言った。その表情を見たヒーデブスは一瞬だけ、悪寒を感じた。上を見上げると、そこには闇の渦が浮かんでいた。
「あなたと同じような技になるけど、こうでもしないと追い打ちができないからね」
と言って、キトリは闇の渦を操って槍の形にし、ヒーデブスに突き刺した。
「がっ……はぁ……」
ヒーデブスは血を吐きながら、再びその場に倒れた。
ヒーデブスが倒れて、しばらく時間が経過した。その間にベーキウとレイダーズが眠っているリプラの元へ向かったが、呪いを解くことができなかった。
「やっぱりクレイモアじゃ守りを崩せない」
「こりゃーワシの剣技でもダメじゃ。仕組みが分かればどーにかなるんじゃがのー」
レイダーズはリプラを守っている結界を触りながらこう言った。そんな中、レイダーズは倒れているヒーデブスから強い魔力を感じた。
「あのブス、まーだワシらとやるつもりか」
「マジかよ」
呆れたベーキウはため息を吐き、急いでヒーデブスに向かってジャンプした。飛び上がったベーキウは倒れているヒーデブスに向かってクレイモアを振り下ろそうとしたが、クレイモアは後ろに振り上げたまま、動かなかった。
「んなっ! どうしてだ?」
「ベーキウ! あいつの紋章がクレイモアの周りに!」
シアンの言葉を聞き、ベーキウは気付いた。ヒーデブスは倒れたまま紋章を操り、ベーキウの攻撃を防いでいたのだ。
「ふふ……こんな攻撃でやられる僕様ではない」
苦しそうに笑いながら、ヒーデブスは顔を上げた。だが、シアンがヒーデブスに接近し、顔を強く蹴った。蹴りを受けたヒーデブスだが、それでもひるまずに立ち上がり、シアンを睨んだ。
「僕様の顔を蹴ったこと、後悔させてやる!」
ヒーデブスが叫んだ直後、突如シアンの服の一部が弾け飛んだ。
「キャアッ!」
「失敗。体の一部を斬り飛ばそうとしたんだけどね」
ヒーデブスの言葉を聞いたキトリは、シアンの服がはじけ飛んだ理由をすぐに察した。
「見えない刃。あいつ、エスタクラフトで見えない刃を作ったわね!」
「その通り! さぁ、今度はお前たちの体をズタズタにしてやるよ!」
見えない刃を使って攻撃を仕掛けようとしたヒーデブスだったが、レイダーズがヒーデブスの前に現れ、剣を振るった。
「女の子をセクハラしまくるワシが言うのはあれじゃが、無理矢理服を吹き飛ばすのはやりすぎじゃとワシは思うぞ」
と言って、レイダーズはヒーデブスの体を斬った。攻撃を受けたヒーデブスは後ろに下がったが、すぐに魔力を使って傷を治した。
「剣聖、レイダーズ・シュバルティーグ! お前にも言っておく! ズタズタにされたくなければ、大人しくした方が身のためだ!」
「格下の言うことを聞くと思うか。自分の力量、人としての器を察してから口を動かせ」
と言って、レイダーズは再び剣を振るい、ヒーデブスを傷付けた。だが、ヒーデブスはレイダーズの肩を掴み、魔力を開放した。
「そんなに死にたいのなら、お前から殺してやる!」
「お前みたいな格下が、ワシを殺せると思うなよォォォォォ!」
レイダーズは叫んだ後、魔力を開放した。その直後、周囲の床や壁、天井が吹き飛んだ。
「うわァァァァァ! 何じゃ、この魔力は!」
「この人……こんなに強かったんだ」
クーアとツバキはレイダーズの魔力を感じ、驚きの声を上げた。間近で魔力を感じているヒーデブスは、怒りから恐れに感情が変わっていた。
「どうした格下? ワシが怖いか? さっきの勇ましさはどこに行ったのじゃ?」
「グッ! くっそォォォォォ!」
レイダーズにバカにされ、怒ったヒーデブスは魔力を開放しようとした。だが、自身の体内に開放するほどの魔力はなかった。
「そんな……」
「力を使いすぎじゃ。先のことしか考えていないから、こうなるんじゃァァァァァァァァァァ!」
レイダーズは叫び声を上げながら、剣を振り下ろした。斬撃は再びヒーデブスに命中し、後ろに吹き飛ばした。その瞬間、ベーキウのクレイモアを止めていた紋章が消えた。
「おわっと!」
落下したベーキウは尻もちをついた。レイダーズの圧倒的な力を目の当たりにしたツバキはまだ動揺していたが、そんなツバキを見てレイダーズは叫んだ。
「ツバキ! お前が決めんか!」
「ぼ……僕が?」
「そうじゃ! ワシが魔力を開放してあいつの動きを止めている間、お前があいつを斬るんじゃ! 早く斬らんと、リプラ王女のいろいろな初めてをワシが手にしちゃうぞ!」
「は……はい!」
ツバキは剣を構え、起き上がろうとしているヒーデブスに近付いた。ツバキが接近して剣を振ることを察したヒーデブスは、慌てて叫んだ。
「ちょっと待て! 分かった、分かったから! リプラ王女の呪いは僕様が解いてやろう! その後は、王女を開放する! それから僕様はあの国は近付かない、悪いこともしない! 本当だ!」
「あいつの言うことを聞くんじゃない! あいつがどれだけ非道で外道なことをしたか思い出せ!」
「あいつはリプラ王女を開放することはできないわ! あんな奴の言うことを聞いちゃダメ!」
「ツバキ! カッコいいところをわらわたちに見せるのじゃ! お前ならできるぞ、絶対にできる!」
「あなたは弱くない。あなたは強くなった。だから自信を持って。今のあなたなら、ヒーデブスを倒すことができる!」
ベーキウたちの言葉を聞き、ツバキは自信を持った。そして、悲鳴を上げるヒーデブスに向かって剣を振り下ろした。
「ヒーデブス、これで倒れてくれ」
攻撃を終えたツバキはそう言って、剣を鞘に納めた。ヒーデブスは小さく血を吐き、小さく呟いた。
「そんな……バカな……僕様が……負けるなん……て……」
悔しそうにそう呟き、ヒーデブスはその場に倒れた。
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