モヒカンの雑魚キャラとバイクの相性は抜群だ
いろいろあったけど、何とか魔界に到着したベーキウ一行。だが、バイクに乗ったモヒカンの変な連中がベーキウたちを囲んだ。
「仕方ない。すぐに終わらそう」
と言って、ベーキウはクレイモアを装備し、目の前を見た。目の前からは、右手で釘バットを振り回す二人のモヒカンがいた。
「ヒャッハー! まずはお前だイケメン野郎!」
「ウホッ、俺好みのイケメン。濡れちまうぜ」
「え……お前そっちの趣味かよ」
モヒカンが話しながら、ベーキウに向かって釘バットを振り下ろした。ベーキウは後ろに下がって攻撃をかわし、近くにいたモヒカンに向かってクレイモアを振るった。
「ウオッ! いい攻撃じゃないか……もっと俺を興奮させてくれよ」
攻撃されたモヒカンは、顔を赤く染めながらこう言った。ベーキウと一緒にいたモヒカンの顔は青くなり、後ろに下がった。
「おいどうした? もっと激しくやろうぜ」
「いや……勘弁してくれ」
「お前を見る目が変わった。ちょっと……別のやつを襲うわ、俺」
相方のモヒカンがそう言うと、ちょっとあれな性格のモヒカンは笑みを浮かべながら、相方のモヒカンに近付いた。
「どうしたんだ相棒? 俺たちの太くて大きいこん棒で一緒に暴れようぜぇ?」
「お前がそう言うとこん棒が変な物にイメージされる! ちょっと待って、近付くな! 無理矢理俺の肩を抱き寄せるな! どさくさに紛れて俺の股間を触るな!」
「いいじゃないか。俺たち、一緒の飯を食った仲じゃあないか」
「それは俺以外の奴にも言えるセリフだろうが! おい皆、助けてくれ!」
モヒカンは仲間のモヒカンに助けを求めたが、巻き込まれたくないためか、他のモヒカンはシアンたちと戦いを続けた。
「皆ァァァァァァァァァァ! 助けてェェェェェェェェェェ!」
「俺がいるじゃあないか。助けを求めるなよ。あ、い、ぼ、う」
あれなモヒカンは相方のモヒカンに近付き、ウインクをした。二人のモヒカンが大きな隙を見せたので、ベーキウは容赦なく攻撃を仕掛けた。
「ひ……酷い……」
「おお……いい……一撃だったぜ……」
散ったモヒカンを見て、ベーキウは心の中でこう思った。
アホみたいな光景だった。
シアンとクーアはそれぞれの武器を使い、目の前のモヒカンを倒していた。二人の奮闘を目の当たりにしたモヒカンたちは、たじろいでいた。
「クッ! このガキ、強すぎる!」
「力と武器を使う技術力、そして魔力が俺たちより段違いに強い!」
「まずい、このままだと何もできないで負ける!」
モヒカンたちは繊維を失いかけていた。そんな中、シアンとクーアは同じことを考えて戦っていた。それは、誰よりも活躍してベーキウに褒められたい、惚れてほしいと。
自分勝手なことを考えて戦っている二人だったが、しばらくして同じ敵を攻撃した。それに気付いた二人は、互いの顔を睨んだ。
「おばさん、あいつは私の獲物よ。勝手に手を出さないでよ」
「最初に攻撃を仕掛けたのはわらわじゃ。お前が後から攻撃したんじゃろーが」
「ちーがーいーまーすー! 私が手を出していましたー! おばさんはすっこんでてよ! 激しい戦場だから、おばさんが張り切ったらぎっくり腰になるわよ!」
「尻が青いメスガキは黙っておれ! わらわはここで無双して、ベーキウに褒められるんじゃ! お前はうずくまって砂の数でも数えておれ!」
「私も同じことを考えてたのよ! おばさんは黙って近くの浮浪者を相手ににゃんにゃんしてなさい! 若い者は若い者同士が一番いいカップリングなのよ!」
「愛に歳の差は関係ないのじゃ! なにも経験のないガキがベーキウとちょめろうなんざ億千万年早いのじゃ!」
「このクソババア! 言いたいこと言ってくれるじゃないの! モヒカンをぶっ飛ばすついでにあんたもぶっ飛ばす!」
「何じゃんとー! だったらかかってこい貧乳勇者! お前の未熟さを直接教えてやるわァァァァァァァァァァ!」
とまぁ、口喧嘩の末に二人のマジ喧嘩が始まってしまった。バカコンビの喧嘩に巻き込まれる形で、周囲にいたモヒカンはぶっ飛んだ。
キトリはバカコンビの喧嘩を見て、呆れてため息を吐いていた。その後、周囲にいるモヒカンを見つめた。
「で、私と戦うつもり?」
キトリがこう言うと、モヒカンたちは小さな悲鳴を上げて後ろに下がった。だが、一人のモヒカンが巨大なこん棒を持って前に出た。
「だったら俺様が相手になってやるぜ! へっへっへ、魔王の娘がどれだけ強いのか、興味があるんだ!」
「興味を持つのはいいことだけど、危険なことに興味を持つのはあまりよくないわ。あなたと私、力の差は明白よ」
キトリは巨大なこん棒を持つモヒカンにこう言って、興味がないような素振りを見せた。その態度に苛立ったモヒカンは、キトリに襲い掛かった。
「魔王の娘だからって調子に乗るなよ! この一撃であの世へ送ってやる!」
そう言って、キトリに向かって巨大なこん棒を振り下ろした。キトリは振り下ろされる巨大なこん棒に向かって右手のひらを向け、魔力を開放した。そこから闇の波動が放たれた。
「うおっ!」
波動が放たれた衝撃で、モヒカンは後ろに倒れた。持っていた巨大なこん棒を見ると、先端が消滅していた。
「お……おお……俺のこん棒が……」
「これでも加減したのよ。次は、あなたがそのこん棒みたいに消える番ね」
と言って、キトリは座り込んでいるモヒカンに向かって、右手を向けた。次は自分が消されると思ったモヒカンは、叫び声を上げながら立ち上がり、逃げて行った。
「はぁ……勝てないなら、最初から戦わなければよかったのに」
悲鳴を上げながら逃げるモヒカンを見ながら、キトリは呆れたようにため息を吐いていた。
モヒカンとの戦いが始まって十分未満。やる気があったモヒカンたちは、あっという間に戦意を失い、その場で倒れていた。
「これでもう終わったか?」
ベーキウはクレイモアをしまいながらこう言った。周囲を見回すと、ベーキウの攻撃を受けて倒れているモヒカンたちの姿があったが、ベーキウを攻撃しようとするモヒカンの姿はなかった。
「終わったな。シアンたちは……」
ベーキウはシアンたちが気になり、様子を見ようとしたのだが、遠くからシアンとクーアの怒声が響いた。
「あの二人、また喧嘩かよ……」
「本当に仕方のない勇者と賢者ね」
と、戦いを終えたキトリがベーキウの横に立ってこう言った。
「キトリ。そっちも戦いが終わったのか」
「すごくあっさりとね。ベーキウが無事でよかった」
「そんなに強い敵じゃなかったから、楽に倒せたよ。さて、問題は……」
「あの二人ね」
キトリは絶賛喧嘩中のシアンとクーアを見て、ため息を吐いた。バカコンビの喧嘩を止めるため、キトリはあることを思いついた。
「ベーキウ、しゃがんでくれない?」
「ああ。どうしたんだ?」
「あのバカ二人の喧嘩を止めるの」
「止める方法があるのか?」
「これしかない」
と言って、キトリはベーキウのほっぺにチューをした。その光景を見たシアンとクーアは、声にならない悲鳴を上げながら、キトリに近付いた。
「なァァァァァァァァァァにやってんのあんたはァァァァァァァァァァ!」
「抜け駆けは許さんぞ! 絶対に! 絶対に許さんぞォォォォォォォォォォ!」
血の涙を流しながらキトリに問い詰めるバカコンビだったが、呆れたキトリはバカコンビにこう言った。
「こうでもしないと、二人は喧嘩を止めないでしょ?」
「だからと言って、ベーキウのほっぺにチューはないじゃろうがァァァァァァァァァァ!」
「私が先にしようとしたのにィィィィィ! 悔しいィィィィィィィィィィ!」
悔しさのあまり、バカコンビは子供のようにその場で地団太を始めた。呆れたベーキウはバカコンビを起こそうとしたのだが、大きなバイクの音を聞き、クレイモアを手にした。
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