奇麗なバラには何とやら
周囲の空気が変わったことを察したベーキウたちは、ヒーデブスとの戦いが近いことを覚悟して歩いていた。一方、一応気配は察しているものの、いつものようにセクハラをしまくっているエロジジイ、レイダーズはシアンたちヒロインの手によって半殺しにされ、身動きが取れないでいた。
「むが! むがむがむぐぐ!」
「なんて言ってんのか分からないけど、猿ぐつわを外すことはしないわよー」
「変なことをすると思うから、お前はヒーデブスの元に到着するまでそのままじゃ!」
「反省しなさい。情けない」
シアンたちヒロインは汚物を見下すような目でレイダーズを見ていた。レイダーズはベーキウとツバキに助けを求めるように見つめたが、二人はわざと視線を合わせないようにした。
そんな状況の中で歩き続けた結果、ベーキウたちはバラまみれの小屋に到着した。
「不穏の空気の元はここからじゃ。多分、ここにヒーデブスがいる」
「プファッ。クーアちゃんの言う通り。ここにあのブス野郎がいる」
無理矢理猿ぐつわを外したレイダーズは、何度も深呼吸をしながらこう言った。シアンはレイダーズを持ち上げ、ヒーデブスの小屋を見た。
「とりあえず一発ぶちかましてやるわァァァァァ!」
叫び声を上げながら、シアンは身動きの取れないレイダーズを小屋に向かって投げた。レイダーズはバラまみれのところに投げ込まれ、そこからレイダーズの悲鳴が聞こえた。
「ギャァァァァァァァァァァ! 刺が刺さってるゥゥゥゥゥ! ああ! 服がズタズタ! 肌もズタズタ! 血が出てる……まぁ大丈夫だけど。んぎゃ! まずい、あそこに刺が刺さったァァァァァァァァァァ!」
などと、レイダーズの声が聞こえたが、しばらくして茨の中からボロボロになったレイダーズがやってきた。
「シアンちゃん! ちょっとこれはやりすぎじゃ!」
「チッ、生きてたか」
「どーせならヒーデブスの元へ突っ走って自爆すればよかったのにのー」
シアンとクーアは舌打ちをしてこう言った。レイダーズはベーキウたちに何か言ってほしいと願ったのだが、ベーキウたちは何も言わなかった。ベーキウは無数のバラを見て、シアンたちにこう言った。
「あの中を突っ走るのは結構きついな。これみたいになっちまう」
「これって何じゃ? ベーキウ、実の父親を物扱いするんじゃない!」
「うるさいわよセクハラジジイ。とにかく、あのバラを斬って先に進まないといけないわね」
キトリは闇の魔力を開放し、バラに向かって無数の闇の刃を発した。闇の刃はバラを斬って行ったが、バラはすぐに再生した。
「あれはただのバラじゃないの」
「ヒーデブスが何らかの力で作ったのじゃ」
レイダーズは軽くストレッチをしながらそう言って、大きく息を吐いた。
「再生するようじゃが、完全に再生するには数秒かかる。とにかく斬って斬って斬りまくって先に進むしかないの」
「レイダーズさんの言う通りですね」
ツバキは剣を手にし、バラの前に立った。ベーキウもクレイモアを手にしてツバキの横に立ち、ツバキにこう言った。
「俺も行く。剣士として、道を切り開く」
「ベーキウさん」
「行くぞツバキ。皆、俺たちの後ろを走ってくれ!」
ベーキウの言葉の後、ベーキウとツバキは魔力を開放し、武器を振り回してバラを斬りまくった。
「行くぞ!」
ベーキウとツバキが道を切り開く役となり、シアンたちは先に進んでいった。
ヒーデブスはその様子を水晶玉から見ていた。
「やはりバラを斬って先に進むか。だが……どんなことをしても道を切り開くことは絶対にできない!」
と言って、ヒーデブスは魔力を開放した。水晶玉から、ベーキウたちの悲鳴が聞こえた。
「うわ! バラが急に再生してきた!」
「斬ったらすぐに再生します! もっと早く斬らないと!」
「クソッ! ヒーデブスの奴が何かしたな!」
ベーキウたちの悲鳴を聞いたヒーデブスは、高笑いを始めた。
「ヒャハハハハハ! ざまーみろ! 僕様がこの力を使う限り、君たちは先に進むことはできない。君たちはここで死ぬんだよ!」
と、ヒーデブスは大声で笑った。
斬ってもすぐに生えてくるバラを見て、レイダーズは大きなため息を吐いた。
「あのブサイクが厄介なことをやりおったのー」
「のんびりしてないで、あんたも何かしなさい!」
「魔力で焼き切ってもすぐに再生する!」
シアンとクーアが騒ぐ中、レイダーズは腰に携えてある剣を手にし、キトリの方を向いてこう言った。
「キトリちゃーん。闇で剣を一本作ってほしいんじゃが」
「え? いいけど」
「ありがと」
キトリは闇の剣を作り、レイダーズに渡した。レイダーズは両手で剣を持ち、ベーキウとツバキの前に立った。
「こっからはワシが道を切り開く。少し休んどきなさい」
「はぁ? あんたがどうやって……」
「同じやり方じゃよ」
不審な目をするベーキウを見て、レイダーズはウインクをした。その後、レイダーズは目で追えないほどの速度で両手の剣を振るった。
「なっ……」
「は……早い」
あまりの速さで斬り落とされるバラを見て、ベーキウたちは驚いた。驚いて立ち尽くすベーキウたちを見て、レイダーズは剣を振りながらこう言った。
「おーい、先に進むぞー。ぼさーっとしてるとまたバラが再生するぞー」
「なっ……ああ」
ベーキウたちは我に戻り、急いで先に向かった。
しばらくして、レイダーズのおかげでベーキウたちはバラの道を突破することに成功した。
「ふぅ。ウォーミングアップにもならんのー。もーちょい何かイベントがあれば面白かったんだけど」
と言って、レイダーズはあくびをした。その様子を見たベーキウとツバキは口を開けて驚いていた。
「おいおい、あれだけ暴れて息が乱れてないぞ」
「あれだけの攻撃をしたはずなのに……」
呆然とするベーキウとツバキを見て、レイダーズはブイサインを作ってこう言った。
「ま、剣を極めればこんなの朝飯前じゃ。さて、あのブサイクがワシの活躍であそこを突破したことを察したじゃろう。何かが起きてもいいように、構えておけ」
レイダーズの言葉を聞き、ベーキウたちは身構えた。
ヒーデブスは魔力を開放していたが、レイダーズの言葉を聞いて動きを止めた。
「僕様の動きを読んでいるのか。察しているんだったら、驚くくらいの化け物を召喚してやる。お前たちはここで死ぬ運命! その運命を変えることは、絶対に不可能なのだ!」
叫び声を上げながら、ヒーデブスは魔力を開放し直し、両手を床に付けた。
ベーキウはヒーデブスの小屋が近いことを確認し、シアンたちにこう言った。
「早くあいつの元へ行こう。とっととこの戦いを終わらせるぞ」
「うん」
キトリは頷いて、ヒーデブスがいる小屋を睨んだ。キトリは笑みを浮かべて握り拳を作り、シアンは剣を手にし、ツバキは目をつぶった。
「必ず助けるよ、リプラ!」
そう呟いたツバキは、前を向いた。その一方、レイダーズは耳をほじっていた。緊迫感がないレイダーズを見たシアンは、呆れてため息を吐いた。
「おっさん。強いのは分かったけど、ちったー緊迫感を持ちなさい」
「大丈夫じゃよシアンちゃん。ワシにも緊迫感はある。じゃから、こうして突っ立っておる」
「は? どういうこと?」
「聞こえぬのか? 感じぬのか? 何かが迫っておる」
レイダーズの言葉を聞き、ベーキウたちの視線は地面に向いた。その直後、地面から巨大なバラが現れた。
「なっ! 何だあれは!」
「あれはバラのモンスター、ロズオニオ! 確か大昔に絶滅したって聞いたけど……」
太古のモンスター、ロズオニオを見たキトリは驚き、こう言った。
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