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ついに諸悪の元へ


 テイシイテとホアダアホとの戦いの後、休んでいたベーキウたちは立ち上がって軽くストレッチをしていた。


「それにしても、シアンたち戻ってくるの遅いわね」


「あいつが足を引っ張っているんだろう……はぁ、あんなのが俺の実の父親とは……」


 ベーキウはかなり大きなため息を吐きながらキトリに返事をした。ツバキはベーキウを慰めようとしたのだが、ベーキウは目でツバキに慰めはいいとアイコンタクトした。しばらくして、息切れしたシアンとクーアが崖から登ってきた。


「戻ったわよ」


「あのクソジジイは本当にしょうがないのじゃ」


「すまん。本当にすまん」


 ベーキウは怒りと疲れで息を荒げるシアンとクーアを見て、頭を下げた。その後に続く形で、ボロボロでズタボロになったレイダーズが姿を現した。その姿を見たキトリはあまりの恐怖で声を上げ、ベーキウの後ろに下がった。


「何なのあの化け物! ヒーデブスより酷い顔!」


「キトリちゃん……そこまで言わなくてもいいんじゃない? ワシじゃよワシ」


「何だ、エロジジイなのね。チッ、死んでなかったのか」


「ちょっと、最後の一言いらないんだけど!」


 自身から目線をそらし、何度も舌打ちをするキトリを見て、レイダーズは泣きながら叫んだ。ベーキウとキトリは疲れて倒れているシアンとクーアに近付き、スポーツドリンクを飲ませていた。


「とりあえず、シアンとクーアの体力が回復したら急ごう。ヒーデブスが強い敵を送ってきたってのは、そろそろあいつのアジトが近いってことかもしれない」


「じゃからあいつはちょっと焦っておるんじゃ。それよりも、ワシにもなんか飲み物なーいー?」


「ない」


 ベーキウはレイダーズの顔を見ないでこう言ったが、レイダーズはちょこまかとベーキウの周りを動きながら話を続けた。


「ねーえー? 実のお父さんじゃよ、ワシは? それなのになーんか態度がよそよそ、もとい冷たすぎなーい? ワシ、泣いちゃうよー?」


「実の父親がこんなにも情けない奴だったとは、俺は知らなかったし、知りたくもなかった」


「あーん! 酷いー! シアンたそー、ワシを慰めてー!」


 そう言いながら、レイダーズはシアンの両足の太ももの間に頭を突っ込んだ。シアンは大きな声で悲鳴を上げながら、太ももに頭を突っ込んできたレイダーズを力強く蹴り飛ばした。蹴り飛ばされたレイダーズは悲鳴を上げながら、再び崖へ落ちて行った。


「ああもう、また時間の無駄になっちゃったよ」


 キトリは落ちていくレイダーズを見ながら、ため息を吐いてこう言った。




 その頃、ヒーデブスは考えながら部屋中を歩いていた。


「どうする? あいつらはそろそろこっちにくる。僕様の魔力を使っても、あいつらに勝てる確率は半々。いや、僕様が勝つのは間違いない……そう思いたいが、奴らは僕様の戦士人形を次々と撃破した。そう簡単に倒せるはずがない。どうやって戦う? 罠を仕掛け、新たな戦士人形でも作るか? 今の僕様なら……できるな。自分を信じろヒーデブス!」


 独り言をした後、ヒーデブスは魔力を開放した。


「今の力なら何でもできると思え! あいつらを倒すことなど、僕様ならできる! できるのだァァァァァァァァァァ!」


 ヒーデブスは強すぎる魔力を開放したまま、両手を床に押し当てた。その直後、ツタのようなものが両手から現れ、床を突き抜けて地面に潜った。その後、ヒーデブスの小屋の周りには無数のバラが生えた。だが、普通のバラとは違って茎の色は毒々しく、花の色は血のような色をしていた。そして刺は鋭く、バラ自体も生きているかのようにうねうねと動いていた。現れた気色悪いバラを見たヒーデブスは、大きな声で笑い始めた。


「おお! おおおおお! 僕様が望んだバラが生えた! この力なら、勇者一行を全滅することができる!」


 ヒーデブスはそう言って、再び高笑いを始めた。




 ベーキウたちはウエカラナダレを抜け、歩き続けていた。ボロボロになったレイダーズは、周囲を見回していた。


「エロジジイ、こんなところにエロい女性はいないぞ」


「女性を探していないわい! 気配が変わったから、用心しとるだけじゃ」


 クーアの声を聞いたレイダーズは、慌ててこう言った。信頼していないベーキウだったが、周囲の気配を感じて言葉通りだとすぐに察した。


「確かに気配が変わった。何かあるのか?」


「ヒーデブスの奴が何かやったのじゃ。あいつ、変な力を手にしたとか言ってなかったっけ? まぁ、理由はどうであれ、何かやったのは間違いない」


「じゃあ、どうして私たちを襲ってこないのよ?」


 シアンがこう聞くと、あることに気付いたツバキが声を上げた。


「もしかして、僕たちが近くにいるから戦士人形を出す意味がないんじゃ……」


「ツバキ君正解。ある文章を付け加えれば、満点じゃったのになー」


「ある文章って?」


「戦士人形を作って送り出しても、結局ワシらに倒される。戦士人形の元は魔力じゃ。無駄に戦士人形を作るのは魔力の無駄じゃ。じゃから、わざとワシらを本拠地に近付かせ、そこで一気に叩く」


 レイダーズの話を聞いたキトリは、目つきを変えた。


「あいつが待ち受けるのなら、こっちから仕掛けるだけね」


「そのつもりじゃ。それと、無駄にこそこそ動く作戦を練るのはなしじゃ。あいつはワシらがここにいるってことを察しておる。そんな状態でステルスゲームみたいに動いても、居場所はばれているから意味がない」


「ド派手にぶちかましてもええってことか。腕が鳴るのう」


 クーアは笑みを浮かべてこう言った。だが、ツバキは何かを察してクーアにこう言った。


「リプラがいるんです。少しは抑えてくださいね」


「わーっとるわい。多少力は抑えるつもりじゃ」


「いざとなったら。ダンディなおじさんが君を止めるからね。こんな風に」


 と言って、レイダーズはクーアの尻を掴んだ。クーアは悲鳴を上げながら後ろにいるレイダーズに向かって回し蹴りを放った。蹴り飛ばされたレイダーズは地面に倒れたが、鼻血を垂らしながらこう言った。


「相変わらずいいお尻だね」


「うるせー! ヒーデブスを倒す前に貴様を始末してやろうかァァァァァァァァァァ!」


「決戦が近いんです! こんな時に無駄な魔力と体力を使わすのは止めてください!」


 ツバキが慌ててこう言ったが、レイダーズの暴走は止まらなかった。レイダーズはキトリの背後に回り、尻と同時に胸を触った。


「ひィィィィィィィィィィ!」


「固くなってるよキトリちゃん。もうちょっとこのお尻みたいに柔らかくしないと」


「くたばれェェェェェェェェェェ!」


 キトリは魔力を開放してレイダーズに攻撃したが、レイダーズはちょこまか動いて攻撃をかわし、シアンに近付いた。


「そう何度もセクハラを受けてたまるか!」


 シアンは剣と盾を構えたが、レイダーズはシアンの両足を潜り抜けて背後に回り、太ももの内側、そして胸を触った。


「シアンちゃんも柔らかくなろうよー。このままおじさんのテクで柔らかくなってもいいんだよ?」


「こぉんの! クソジジイがァァァァァ!」


 シアンは叫び声を上げながら、レイダーズの首向かって剣を振るった。レイダーズは攻撃をかわし、シアンたちにセクハラを続けた。こんな光景を見ていたベーキウとツバキは、呆れ果てて冷や汗を流し、その場に座った。


「こんな状況でセクハラをしないでくださいよもう……」


「今回の長編、ジジイのセクハラネタが多いな。何かあっても俺は知らんぞ」


 ベーキウとキトリはそう呟くと、とんでもなく大きなため息を吐いた。


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