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呪われた王女(なんだか呪いの話が多いって思うけど、元ネタがそんなん多いから気にしないで)



 自然のエメラルドを手に入れたベーキウ一行は、次の目的地へ向かっていた。クーアはスマホを操作し、次の目的地の情報を目にしていた。


「へぇ、また呪いの話か」


 クーアの独り言を聞き、筋トレをしていたベーキウは筋トレを止め、クーアに近付いた。


「また呪いの話かって、どういうことだ?」


 上半身裸のベーキウを見て、クーアはすぐに発情してベーキウに抱き着こうとした。だが、クーアの暴走を察したシアンがクーアに飛び蹴りをした。飛ばされたクーアはテラスに落ちる寸前で態勢を整えた。


「おわァァァァァ! 海に落ちるゥゥゥゥゥ!」


「そのまま落ちてサメのエサにでもなりなさい。でも、加齢臭が酷いから喜んで食べにくるサメはいなさそうね」


 シアンの言葉を聞き、怒りが爆発したクーアはシアンに殴りかかった。


「クソ勇者、貴様かーなーりー失礼なことを言うなぁ。いっぺん貴様を海に突き落としてやろうかあぁん?」


「やれるもんならやってみなさいよクソババア!」


 バカ二人は魔力を開放したが、キトリが闇の手を発し、バカ二人の動きを封じた。


「狭い部屋で暴れないで。で、呪いの話って何?」


「ああそうじゃった。ちょっと待っとれ」


 クーアはスマホを手にし、声に出して読んだ。


「バラローズ国の王女、リプラ・ネリーラが顔も性格も超酷い呪術師、ヒーデブスに呪われてしまいました。この呪いは呪いをかけた相手に一目惚れするという催眠アプリが出てくるエロ漫画のような呪いですが、リプラ王女が前から持っていたお守りによって一目惚れすることはありませんでした。しかし、その力は強く、呪いの影響で王女は永い眠りについてしまいました。城の呪術師によると、この呪いはヒーデブス以外の異性のキスで目覚めると言われていますが、ヒーデブスは王女をさらい、自宅で監禁していると噂です。とのことじゃ」


「へぇ。どんな王女か写真はあるの?」


「あるぞ。ヒーデブスとか言う呪術師の気持ち悪い写真もある」


「勝手に気持ち悪いとか言うのは失礼だと思うが……」


 シアンとベーキウはクーアが持つスマホを見て、リプラとヒーデブスの写真を見た。リプラは超がいくつ付いてもいいレベルの美人であったが、ヒーデブスはこの世のものとは思えないほどの醜い顔をしていた。


「おげぇ! 酷い顔! こいつ、本当に人間なの?」


「前言撤回。これで性格が酷いとか、本当に最悪だな……」


 ベーキウとシアンは嗚咽しながらスマホから離れた。その様子を見ていたキトリは写真を見なくてよかったと心の中で安堵していた。


「待つのじゃ。話は終わっていないぞ。バラローズ国王は娘、リプラ王女を取り戻すために国中の強者を集め、ヒーデブス討伐に動くと書いておる。わらわたちがヒーデブスを倒したら、バラのダイアをお礼でもらえるかもしれんの」


 クーアの言葉を聞き、キトリは頷いた。


「確かにそうね。それに、捕まった王女様も助けたいわ」


「じゃあ今回も難なく素材をゲットできるってわけね。ジャオウたちは別の大陸に行くって言ってたし、楽勝ね」


 シアンは笑いながらそう言った。だが、ベーキウはため息を吐いてこう言った。


「ヒーデブスが弱いって決まったわけじゃないだろ。性格のねじ曲がった奴だ、きっととんでもない罠とか設置するはずだ」


「そうじゃの。だがま、わらわの魔力で罠の一つや二つ、粉々にしてやるのじゃ! まぁ期待しておれ! あっはっは!」


 クーアは笑いながらこう言った。その笑い声を聞いたシアンは、小声でこう言った。


「あんたが言う言葉じゃないってのに。本来、主役の私が言う言葉なのに」




 数日後、ベーキウたちはバラローズ国へ到着した。門番のチェックを抜けて城下町に入り、すぐに戦士たちの行列を見つけた。


「うわー、強そうな戦士がいっぱい」


 キトリは驚きのあまりこう言ったが、シアンとクーアは興味なさそうに行列を見ていた。


「どいつもこいつもあまり強くなさそうね」


「相手は呪術師。物理だけで勝てる相手ではなかろうに」


 シアンとクーアの声を聞いた屈強な戦士たちは、イラっとしながら振り向いた。そして、声の主がシアンとクーアだと分かり、驚きの表情となった。


「おい見ろよ。あれは勇者シアン!」


「今話題の勇者パーティーがここにいるのか。と言うことは、王女救出に出向くつもりか」


「参ったな。王女助けて王女の心と金も貰うつもりだったのに」


 シアンたちを見た戦士たちは、怯えながらこう言った。そんな中、ベーキウは何かの気配を察して周囲を見回した。屈強な戦士の中に混じり、七十代くらいの老人がいたのだ。クーアはその老人を見て、呆れた表情になった。


「あーんなおいぼれも参加するのか? 腰の剣は店で売っている安物。そんな武器で大丈夫かのー? そもそも、きつい戦いに耐えられるか?」


 クーアはこう言ったが、ベーキウは首を振った。


「俺が剣を使って戦っているせいかもしれないが、あの老人からすごいオーラを感じる。魔力ではない、威圧感のような何かを」


「ふーん。ベーキウがそこまで言うのは珍しいのー」


 ベーキウの言葉を聞いたクーアは、もう一度老人を見直した。だが、ベーキウが言う威圧感のような何かを感じることはなかった。そんな中、誰かがベーキウの背中に激突した。


「あだだっ! すみません、慌ててました!」


「ちょっと、気を付けなさいよ! 大丈夫、ベーキウ?」


「ああ」


 シアンの手を借り、ベーキウは立ち上がった。ベーキウに激突したのは、十七歳くらいの少年だった。その腰には剣が携えており、ベーキウは少年がすぐに剣士であると見抜いた。


「君もリプラ王女の救出に向かうのか?」


「はい。申し遅れました。僕はツバキ・オウギガタと言います。リプラ王女とは、幼なじみなんです」


リプラの幼なじみであると言うツバキの声を聞き、戦士たちは一斉にツバキの方を振り向いた。


「オイツバキ、おまえも行くのか」


「確かにお前とリプラ王女は付き合い長いが、今回ばかりはお前一人だけじゃ手に負えないぞ」


「俺たちに任せておきな」


 戦士たちは笑いながらこう言った。その言葉を聞いたベーキウは、リプラと幼なじみ関係であることは真実であると察した。その時、大きなベルの音が響いた。城の兵士が現れ、メガホンを手にしてこう言った。


「今から、国王が参られる! 討伐に向かう戦士たちに向けて、メッセージがあるようだ!」


 兵士の言葉を聞き、戦士たちは緊張した表情になった。しばらくして、国王が姿を見せ、兵士からメガホンを借りて台の上に立った。


「皆の物、我が娘リプラを助けに行ってくれるようで、本当にありがたい。敵は醜き呪術師、ヒーデブス。この国に住んでいる者は理解していると思うが、ヒーデブスは酷い顔で、酷い性格。おまけに年下好きのロリコン野郎ときたもんだ! 呪術師の腕はそれなりにあるが、性格のせいでまともな評価を貰えない! 自業自得だっつーのに、他人のせいにして酷いことをする酷い奴だ! そんな奴が我が娘に惚れた! リプラは十七歳、ヒーデブスは四十七歳! 三十も歳の差が離れているんだ! こんな結婚認めるわけないだろ! そもそもリプラもヒーデブスのことかーなーりー嫌ってたし! なのにあの野郎は逆切れして、リプラを呪ったが失敗した。だけどリプラを拉致りやがった! 我が兵士だけで討伐に向かったが、全員やられた! だから、兵士たちより強いと自称する皆の者に、ヒーデブスを半殺しにすることを頼みたい! 皆、返事は?」


 国王の長いセリフの後、戦士たちはもちオッケーと大声で答えた。


「よし! それじゃあ討伐氏に向かってチョーだい!」


 国王の言葉の後、戦士たちは勢いよく外に出て行った。変なノリの国王を見て、ベーキウたちはぽかんとしていた。


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