攻撃目標イートソウル
意志を持つ呪われた大剣、イートソウルを手にしたゴガツはイートソウルに体を奪われてしまった。イートソウルを倒すため、キトリは魔力を開放して攻撃を仕掛けた。その中で、イートソウルはキトリがどれだけ強いか把握していた。
「キトリ、あんた目立ちすぎじゃない?」
シアンはキトリの肩を軽く叩きながらこう言ったが、キトリはシアンの方を見てこう言った。
「あの大剣を破壊するのはシアンしかできない。私が攻撃をして隙を作るから、その隙にイートソウルを破壊して」
「あいつ、光の魔力に弱いって言ってたからねー。分かったわ。頼むわよ」
「キトリだけじゃない! わらわもいるのじゃ!」
そう言いながら、クーアがキトリの前に立った。いきなりクーアが現れたため、キトリは驚いた。
「ちょっと! 目立ちたいからっていきなり前に出ないでよ! あいつ、攻撃を仕掛けているわ!」
「ははーん! そんなの関係ないのじゃ! わらわのバリアであんな奴の攻撃をちゃーんと防いでやるのじゃ!」
と言って、クーアはバリアを張った。だが、イートソウルの攻撃でクーアが張ったバリアは粉砕された。
「ありゃま」
「フハハハハハ! 俺が苦手なのは光の魔力! 他の魔力に対しては、それなりに強いんだよ! どんなバリアを張っても、無意味だ!」
「うそーん……」
呆然とするクーアの前に、ベーキウが現れてイートソウルの攻撃を受け止めた。
「グッ! 今のうちに下がれ!」
「はーい!」
ベーキウの言うことを聞いたクーアは、急いで後ろに下がった。キトリは近くにきたクーアの頭を軽く叩き、睨むようにしてこう言った。
「おばさん、あんたが余計なちょっかいをしたからグダグダになったじゃないの」
「しまっしぇーん。わらわのバリアは無敵って思ってましてー」
「無敵じゃないわ。早く下がって、私が攻撃をするから」
キトリは再び魔力を開放し、イートソウルの横に移動した。
再びベーキウと鍔競り合いをするイートソウルは、キトリが横に移動したことを察した。
何をするかは分からんが、その時はこいつを盾にすればいい。
そう思いながら、イートソウルは目の前で自身を睨むベーキウを見た。イートソウルの目を見たベーキウは、何かやましいことを考えていると察し、後ろに下がった。
「おっと、俺から逃げるつもりかい?」
「変なことを企んでいる奴から身を守るためだ」
「チッ」
ベーキウの返事を聞いたイートソウルは舌打ちをし、周囲を見回した。魔力を開放したキトリは、イートソウルに向かって闇の弾丸を放った。
「闇で作った弾丸か」
キトリが放った闇の弾丸の大きさはパチンコ玉と同じ大きさだった。だが、勢いがあるため、体のどこかに命中したら大きなダメージになるとイートソウルは考えた。
「面倒だな」
そう言って、イートソウルはキトリの攻撃をかわしたが、その後ろにはアルムが投げたナイフがあった。
「なっ!」
ナイフの攻撃を受けたイートソウルは、そのまま下に落下した。キトリはナイフを持ったアルムを見て、安堵の息を吐いた。
「援護してくれるのね。ありがとう」
「どうも。それより、あいつはまだ立ち上がります。ダメージを負ったとはいえ、すぐに回復しましたよ」
アルムの言う通り、イートソウルは素早くゴガツの体を治療し、立ち上がったのだ。
「クソみたいな戦い方をしやがる。面倒な相手だが……その分戦いが面白くなってきたじゃねぇか」
イートソウルはそう言って、舌を出して笑った。
アグレリオはゴガツの変貌を見て、動揺する変態たちの元へ向かった。
「君たちはすぐにここから逃げるんだ! 戦いに巻き込まれるぞ!」
アグレリオの言葉を聞いた変態たちは、悲鳴を上げて逃げて行った。その中で、一人の変態が足をくじいて転倒した。アグレリオはすぐにそのことを察知し、急いで変態の元へ向かった。
「大丈夫か、立てるか?」
「いやー! 襲われる! エロ同人みたいに襲われる!」
「君みたいな変態を襲うことはしない! バカなことを言う暇はない! 手を貸すから、早く立ち上がって逃げるんだ!」
「はい!」
変態はアグレリオの手を借り、立ち上がって急いで逃げた。その様子を見たベルリアは、アグレリオにこう言った。
「あいつらを逃がすのはいいけど、近くに警察がいたらあいつら、逮捕されるわよ」
「あ。た……確かに」
アグレリオは、外に出た変態たちが逆に騒動を察した警察に捕まるかもしれないと思った。だが、こうなったのはある意味自業自得だと思い、気にすることを止めた。
キトリはアルムと協力し、イートソウルの隙を作ろうとしていた。アルムは魔力を使ってナイフを投げ、イートソウルの気を引いていた。
「小娘が! あまり調子に乗るんじゃないぞ!」
イートソウルは本体から魔力を発し、飛んでくるナイフを吹き飛ばした。吹き飛ばされたナイフを操って手元に戻したアルムは、ため息を吐いて呟いた。
「僕は男なのに……」
そんな中、レリルはこっそりとアルムの背後に忍び寄り、こう言った。
「見てなさい、変な大剣野郎! あんたにも真実って奴を教えてやるわ!」
アルムはまたやられると思い、後ろを振り向こうとした。だがその前に、レリルは素早くアルムのズボンとパンツを下ろした。真実と現実を目の当たりにしたイートソウルは、驚きのあまり目を丸くした。
「嘘……だろ。どうしてそんなもんが……」
「うわァァァァァ! 僕は男です! 元から男です!」
アルムは急いでズボンとパンツを上に上げた。レリルはシアンに向かって、大声で叫んだ。
「勇者! 今のうちに光の魔力であいつを粉々にしちゃいなさい!」
「分かったわ!」
シアンはそう言って、開放した魔力を一つにまとめ始めた。動揺していたイートソウルは我に戻り、本体を振るってシアンに向かって衝撃波を放った。
「そうはさせるか!」
イートソウルが放った衝撃波は、かなり素早かった。ベーキウやキトリが魔力や武器を使って衝撃波を破壊しようとしたのだが、その前に衝撃波は通り過ぎてしまった。
「シアン!」
ベーキウは魔力を束ねるシアンを見て叫んだ。だが、クーアがシアンを蹴り飛ばし、魔力の衝撃波を放ってイートソウルの衝撃波を相殺した。
「バリアが通じなくても、同じ衝撃波なら通じるのじゃな! シアン! わらわが守ってやったから感謝ぐらい……」
クーアはシアンの方を見て、絶句した。蹴り飛ばした先に、大きな鉄板があったのだ。シアンは蹴り飛ばされた際にそこに頭をぶつけ、気を失ってしまったのだ。
「あ……ああ……」
クーアはやっちまったと言うような声を上げたが、怖い顔をしたキトリとレリルがクーアに近付いた。
「何やってんのよおばさん!」
「手っ取り早く戦いを終わらせたいのに、これじゃあ長引いちゃうじゃない!」
「サキュバス、あなたの口臭でこのババアを半殺しにしなさい!」
「分かったわ! 覚悟しなさいロリババア!」
レリルの口臭攻撃を受けたクーアは、情けない悲鳴を上げた。アルムはイートソウルに襲われるベーキウを援護しながら、キトリたちに向かって叫んだ。
「バカなことをやっていないで、早く助けてください! こっちが限界です!」
「ハーッハッハッハ! 内輪揉めとは情けないなぁ! まるでテレビ局の用だ!」
「そんなこと言うんじゃねぇ!」
ベーキウはそう言ってイートソウルを蹴り飛ばし、立ち上がった。ジャオウは気を失ったシアンに駆け付け、治療をした。
「勇者の治療は俺に任せてくれ。終わり次第、合流する」
「ああ、頼むぜ」
ベーキウはジャオウにそう言って、イートソウルを睨んだ。
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