呪いの大剣
勇者パーティとジャオウ一行、そしてアマザラシ高等学校の教師たちはゴガツ率いる変態軍団との戦いを始めた。圧倒的な力でベーキウたちは変態たちを次々と蹴散らす一方、変態たちはアルムに発情する。自分よりも男であるアルムに発情する変態たちを見たレリルはイラっとし、アルムの背後に回った。
「あんたらに見せてあげるわ。真実と現実って奴をね!」
そう言いながら、レリルはアルムのズボンをパンツごとおろした。その結果、アルムのあれが丸出しになってしまった。
「うわァァァァァァァァァァ!」
下半身が丸出しになったことを瞬時に察知したアルムは急いでズボンを上げ、背後にいるレリルに近付いた。
「レリルさん! 何度も僕のズボンを下ろさないでくださいよ!」
「だーってイラっとしたんだもん! なんであいつら、私じゃなくて男であるあんたに発情するのよ? 理解できないわ!」
「だからと言ってズボンを下ろす行為こそ理解できませんよ! あーもう見てくださいよあの人たちを。皆目が点になってますよ」
アルムの言う通り、現実を目の当たりにした変態たちは、皆目が点になっていた。だがしばらくして、変態たちはアルムに近付いた。
「それでも好きだ!」
「一本あるなんてお得じゃないか!」
「かわいいから仕方ないよね」
などと言いながら、変態たちはアルムに飛びかかった。
「うわァァァァァァァァァァ! この人たち、本物の変態だァァァァァァァァァァ!」
アルムは悲鳴を上げながら後ろに下がった。変態たちの異常さを目の当たりにしたレリルは、気持ち悪さよりも女としてのプライドがズタズタに傷付けられたことに腹が立った。
「この異常性癖所持者がァァァァァァァァァァ! テメーらみたいな変態は、一度ぶっ飛ばされて星になれェェェェェ!」
レリルは怒りに任せて魔力を開放し、アルムに飛びかかる変態たちを一掃した。
ゴガツは茫然としていた。多数いた変態たちが、あっという間に半分以上倒されたからだ。
うそーん。まさかこんな展開になるなんて思ってもなかったわー。一人ぐらい実は戦闘力が結構高めだったんですーって言う奴、いないのー?
部下を頼っていたゴガツだったが、仕方ないと思いつつ後ろに隠してある大きな箱を開けた。その中には、禍々しいオーラを放つ大剣があった。その時、大剣のオーラを感じたキトリは顔を上げて叫んだ。
「気持ち悪い感じがする。あの子、何か持っているわ!」
キトリの声を聞いたベーキウたちは、一斉にゴガツの方を見た。ゴガツは笑いながら大剣を手にし、こう言った。
「ばれちゃーしょうがないわね。近くのリサイクルショップで買った変な剣で、あんたらをズタズタにしてやるわ!」
ゴガツが持つ大剣を見て、アルムは驚いて叫んだ。
「あれはかつて、魔界に存在した呪いの大剣、イートソウル! 魂を喰らう大剣と言われて、使えば寿命を縮むらしいよ!」
「そんな物騒な剣があるのか。じゃあぶっ壊すしかあるまいの!」
クーアは魔力を開放し、大きな火の玉を放った。イートソウルを手にしたゴガツは笑みを浮かべ、力を込めてイートソウルを振り上げた。イートソウルによる一閃は、大きな火の玉を真っ二つにしてしまった。
「んな……結構な力を込めて放ったのに……」
「どれだけ力を込めて魔力を放っても、この大剣の前では無意味ってこと……あぐ!」
突如、ゴガツの様子が変わった。小さく悲鳴を上げた後、ゴガツは動かなくなったのだ。
「動きが止まったけど……」
「様子がおかしい」
シアンとジャオウが話をする中、泣きながらゴールドエイトがゴガツに向かって走り出した。
「話している途中で寝るんじゃありませんよ! このバカチンがァァァァァァァァァァ!」
「あ、ちょっと! 何が起こるか分からないってのに動かないで!」
いきなり動いたゴールドエイトを見て、キトリは叫んだ。だがその前に、ゴガツは近付いてきたゴールドエイトに対し、素早くイートソウルを振るった。
「ゴールドエイト先生!」
オーガツカは斬られたゴールドエイトに駆け寄った。だが、斬られても相変わらずゴールドエイトは泣いていた。
「僕は死にましェェェェェェェェェェん!」
「斬られているのにいつものテンションでいつもの言葉を放った。じゃあ大丈夫だ」
ケンマツはそう言うと、イートソウルを構えるゴガツを睨んだ。
「あの様子、いつものゴガツではない。まるで、体を乗っ取られたかのようだ」
「そこのおっさんの言う通り。この体は俺が奪った」
声音が変わったゴガツの言葉を聞き、ベーキウたちは察した。今、イートソウルによってゴガツは操られていると。
「ヒッヒッヒ。体力と魔力はないが、若々しい体を手に入れたぜ。早速外に出て、人間たちを斬りまくって、その血肉を俺の養分として吸い取りたいが……外に出る前に、お前たちを食事してから行こうかなァ!」
ゴガツの体を乗っ取ったイートソウルはそう叫ぶと、ベルリアに向かって走り出した。
「危ない!」
ベルリアの危機を察したベーキウはベルリアの前に立ち、イートソウルの攻撃を受け止めた。動揺して座り込んだベルリアを後ろに下がらすため、アグレリオがベルリアを抱っこしながら後ろに下がった。
「大丈夫か、ベルリア?」
「うん。でも、ベーキウが大変なことに……」
ベルリアの声を聞いたベーキウは、イートソウルの攻撃を受け止めながら振り向いて叫んだ。
「俺のことは大丈夫だ! とにかくベルリアはアグレリオと逃げてくれ!」
「でも、皆を置いて逃げるわけには……」
「大丈夫よ! ああいう連中と何度も戦ったからね!」
「まー、対処法はいろいろあるから何とかなる」
「あいつのことは私たちに任せて」
走ってベーキウの援護に向かう際、シアンたちはベルリアにこう言った。シアンたちの言葉を聞いたアグレリオはベルリアの方を向いてこう言った。
「彼らなら大丈夫だ。信じよう」
「うん」
その後、ベルリアはアグレリオと一緒に後ろに下がった。
ベーキウと鍔競り合いをしているイートソウルは、ベーキウの顔を見て笑みを浮かべた。
「おい、俺の顔を見て笑って、何を考えているんだ?」
「へっ、企んでいるのが分かるのか兄ちゃんよォ?」
「そんな悪い顔をしてたら、誰だってそう思う」
「そうかい。それじゃあ特別に教えてやるよ。どうやってお前の魂を食ってやろうか考えてんだよ!」
叫びながら、イートソウルはベーキウの額に向かって頭突きを放った。ベーキウは小声で済まんと言ってイートソウルの腹を蹴り、その反動で後ろに下がった。後ろに転倒したイートソウルはすぐに立ち上がり、笑いながらクレイモアを構えるベーキウを見た。
「ヒャハハハハハ! あんたも結構な外道だねぇ! 女子の腹を蹴るなんてなぁ!」
「緊急事態だ。今はそんなことを考えている場合じゃない」
「そりゃーそうかい!」
「あんたの軽口もそこまでよ!」
ベーキウとイートソウルの間に入るように、魔力を開放したシアンが現れた。シアンはイートソウルに接近したと同時に光の魔力を注いだ剣を振り下ろしていた。イートソウルは舌打ちをしながら攻撃を受け止めようとしたのだが、危機を察して後ろに下がった。
「危ないねぇ。光の魔力を受けたら俺の体が吹き飛んでしまう」
「いいこと聞いた」
キトリは闇で作った剣を手にし、イートソウル本体に攻撃を仕掛けた。キトリの接近を察したイートソウルは急いで後ろに下がり、攻撃してきたキトリを睨んだ。
「テメェ、魔界の住人か! どうしてここにいるかはどうでもいいが……とにかくお前は頭が回るようだな。厄介な奴だ」
「私に目を付けるなんて、あんた……運がないわね」
キトリは魔力を開放しながら、イートソウルを睨んだ。
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