暴れん坊理事長
一足先にゴガツたちと戦っているシアンたちだったが、ゴガツの部下がキトリを見て発情し、興奮して迫っていた。気持ち悪い変態共を見たキトリは怒りと恐怖のあまり、魔力を使って変態共を攻撃した。
「ぶひィィィィィ!」
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
「あー、養女に攻撃されるのは気持ちええんじゃ!」
などと、気持ち悪い悲鳴を上げながら変態共はぶっ飛んだが、すぐに起き上がってキトリに迫っていた。
「いやァァァァァァァァァァ! こっちこないでェェェェェェェェェェ!」
キトリたちは何度闇の魔力を放っても、立ち上がる変態共に追いかけられ、悲鳴を上げた。その様子を見たゴガツは怒り、大声で叫んだ。
「ちょっとあんたら! 私の部下じゃないの? 私に惚れてるんじゃないの?」
キトリに発情し、追いかける部下はゴガツの言葉を耳にせず、ひたすら悲鳴を上げて逃げるキトリを追いかけた。
「おいゴラァァァァァァァァァァ! お前ら私の話を聞かんかァァァァァァァァァァい!」
「あんたの部下はうちのキトリに夢中なのよ。寝取られたってことで、諦めなさい!」
そう言いながら、シアンがゴガツに接近した。まずいと思ったゴガツは悲鳴を上げながら後ろに下がったが、その時ベルリアの足に当たった。
「運がないわね、あんた!」
ベルリアは唯一自由に動く足を使い、ゴガツの動きを封じた。
「あがっ! ちょっと、酷いことしないで!」
「今よ! こいつの腹をぶん殴って!」
「うおっしゃー!」
シアンは右腕を振り回しながら、ゴガツに近付いた。だがその時、突如扉が何者かによって蹴り飛ばされた。その音を聞いたシアンたちは一斉に扉の方を見た。そこには、白馬に乗ったスケハチがおり、その横にはベーキウとジャオウ一行とアグレリオ、そしてオーガツカと何故か泣いているゴールドエイトがいた。
「追いついたのね……何だか数が増えてない?」
「まぁ、いろいろあってな」
シアンの質問に対し、ベーキウはこう答えた。スケハチは白馬から降り、ゴガツに近付いた。
「一年のゴガツよ。お前は自身を目立たせるために、いろいろと悪事を働いたようだな」
「悪事? 私には何のことか分からないわね。それよりも誰よおっさん! 部外者が偉そうに私に説教するつもり? 私の部下があんたをけちょんけちょんにするわよ!」
キトリに発情していたゴガツの部下は我に戻り、鉄パイプや木材を持ってスケハチを囲んだ。スケハチはため息を吐き、ゴガツとその部下を見回した。
「愚かな欲求のために人を傷つけ、迷惑をかけたこと、後悔しないのか?」
スケハチは静かにこう質問すると、ゴガツの部下は笑い始めた。
「うるせぇ! 自分の欲望のために生きて、動いて何が悪い!」
「生き物は欲のために生きているじゃねーか! 偉そうに説教するなよおっさん!」
「そうか……それよりも、俺の顔を見て何か思い出さないのか?」
スケハチの言葉を聞き、ゴガツたちはスケハチの顔を見た。しばらくして、部下の一人が悲鳴を上げた。
「う……嘘だろ。この人、ケンマツ理事長だ!」
部下の言葉を聞いた他の部下は、一斉に頭を下げた。だが、ゴガツだけは頭を下げなかった。
「へぇ、アマザラシ高等学校の理事長がわざわざこんなところに出向くなんて……丁度いいわ。あんたをぶっ飛ばして、私があの学校を支配してやるわ! あんたら、そこの親父をぶっ飛ばしなさい! これは命令よ!」
ゴガツの言葉を聞いた部下たちは、戦意を取り戻して武器を手にした。その光景を見たケンマツは呆れた表情をし、腰の木刀を手にした。騒動が起きると察したオーガツカとゴールドエイト、そしてベーキウたちがケンマツに駆け寄った。
「俺を倒して学校を支配すると考えるか。反省する気もなし……か。愚か者め、成敗してくれる!」
その後、ゴガツの部下たちは一斉にケンマツに襲い掛かった。
シアンとクーアは泣いているキトリを慰めながら、ケンマツの言葉を聞いていた。
「あいつら、自分の学校の理事長を半殺しにするつもりね」
「退学どころの騒ぎじゃないぞ。にしても……」
クーアは木刀を振るうケンマツを見て、感心した表情になった。
「あの理事長、結構強いぞ」
ケンマツは迫るゴガツの部下の攻撃に対し、木刀を使って確実に攻撃を対処し、一撃で倒していた。オーガツカも喧嘩慣れしていて、攻撃をさばいてはカウンターを決め、ゴガツの部下を倒していた。その一方で。
「このバカチンがァァァァァァァァァァ!」
ゴールドエイトは泣きながら、ゴガツの部下の頬にビンタを放っていた。泣きながら攻撃をするゴールドエイトを見て、ベーキウたちや敵であるゴガツの部下たちは動揺していた。
「あの人、泣きながらよく戦えるな」
「あんな戦士がいるとは……」
「戦士と言うか、あの人教師よ」
ベーキウとジャオウとレリルはそんな話をしていた。だが、部下が持つ鎖分銅がゴールドエイトの後頭部に命中した。激しい音がしたため、急所になったと考えたベーキウは急いでゴールドエイトに駆け寄った。
「先生! ゴールドエイト先生!」
心配したベーキウは、何度もゴールドエイトの名を叫んだ。しばらくして、ゴールドエイトはすっと立ち上がり、大声で叫んだ。
「僕は死にましェェェェェェェェェェん!」
そう叫んだ後、動揺するゴガツの部下に近付いた。
「あんな痛いことをするなんてあんたは人間ですか? このバカチンがァァァァァァァァァァ!」
と言って、再び愛のビンタ攻撃を始めた。この人は大丈夫だろうと思ったベーキウは、急いで捕まっているベルリアの元へ向かった。
「今助けるからな」
「ごめん……ありがとう」
ベーキウがベルリアの両手を封じている鎖をほどこうとしたのだが、その途中でゴガツの部下が攻撃を仕掛けてきた。
「危ない!」
ベーキウの危機を察したアグレリオはベーキウに攻撃を仕掛ける部下に近付き、頭を掴んだ。
「暴力はいけない!」
「ヒッ! ヒィィィィィ!」
アグレリオの怖い顔を見た部下は、悲鳴を上げながら逃げて行った。その後、鎖をほどくのに悪戦苦闘するベーキウに近付き、アグレリオはこう言った。
「私の爪で鎖を壊す」
「できるのか?」
「ああ。私の爪は鎖より硬いんだ」
会話をした後、アグレリオは手の爪で鎖を破壊した。自由になったベルリアはベーキウとアグレリオに抱えられながら、地面に降りた。
「ありがとう……助かった」
「いいってことだ」
「無事でよかった」
ベーキウとアグレリオの顔を見たベルリアは、安堵の息を吐いた。
一方その頃、ゴガツの部下はアルムを見て、話をしていた。
「あの子、結構かわいいな」
「俺たちより年上だろうけど、それでも構わない」
「カッー! あんな美人の太ももを枕にしたら極楽気分なんだろうなー!」
などと、下種な話をしていた。アルムを男だと知らずに発情した変態たちは、笑みを浮かべてアルムに近付いた。
「え? ちょ……何? その顔?」
「お姉さん! 俺たちとチョメチョメしませんかァァァァァァァァァァ!」
「にゃんにゃんしようぜー!」
変態たちは奇声を上げながら、アルムに近付いた。アルムが悲鳴を上げる中、レリルはセクシーポーズをしながらこう言った。
「へいへーい! 変態共、私を見てそそられないのー?」
レリルの声を聞いた変態たちは、動きを止めてレリルを見た。
「年増はちょっと……」
「変な格好をした人に発情するわけねーだろ」
「そんな恰好で大丈夫か?」
変態たちはそう言って、再びアルムに発情した。そっけない態度、そしてあんまりな感想を聞いたレリルの怒りは爆発した。
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