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手加減って意外と難しい


 レリルから変装用の衣装を借りたアグレリオは、それを着て町の中を走っていた。


「あの人でかいなー」


「何かイベントでもあるのか?」


「あんなに大きいと、下もでかいんだろうなぁ」


 などと、アグレリオを見た町の人たちは呟いていた。その言葉を聞いたアグレリオは目立っていると思ったが、ベーキウが小声でささやいた。


「あんたがモンスターみたいだってことはばれてない。このままシアンたちと合流しよう」


「ああ。何もなければいいが……」


 アグレリオは何もないことを祈り、ベーキウたちとベルリアが捕まっている廃工場へ向かった。




 一方その頃、シアンとクーアと合流したキトリは状況を伝えていた。話を聞いたシアンはため息を吐き、キトリにこう言った。


「キトリの実力なら、一人でちょちょーいって決着がつくでしょうが。どうして何もしないのよー」


「あいつらの存在がトラウマなのよ。あいつら、私を見て発情したから気持ち悪くて……」


 顔を青く染めて言葉を返すキトリを見て、シアンとクーアは確かにと呟いた。


「しゃーなしじゃのー。そいじゃ、わらわが一発ぶちかましたるか」


 と言って、クーアは見張りがいる入り口に向かおうとした。だが、シアンがクーアを止めた。


「待ちなさい。ここはこっそり建物の中に潜入して……」


「そんなことしてもいずれあいつらにわらわたちの存在がばれるじゃろうが。ささっと終わらせたいなら、手っ取り早く攻めるだけじゃ」


 呆れる表情のシアンに大丈夫と言いながら手を振り、クーアは見張りの近くへ向かった。クーアの接近を察した見張りは、手にしていた鉄パイプをクーアに向けた。


「ここに何か用か?」


「ああ。ベルリアを助けにの」


 クーアの返事を聞いた見張りは、はっとした表情をしてクーアに襲い掛かった。


「お前は勇者パーティーのロリババア!」


「中に誰も絶対に入れるなとゴガツ様に言われたんだ! 約束を守れば一発してくれるって約束したんだ!」


「あんな性格が悪い女とニャンニャンして、お前らは嬉しいのか? わらわが男だとしても、あーんなぶりっ子女は抱きたくないがの!」


 そう言いながら、クーアは少量の魔力を開放し、見張りを吹き飛ばした。飛んでいく見張りを見て、シアンは呆れてこう言った。


「あんなに派手に打ち上げちゃって……あいつらが落下した時のことを考えてるのー?」


「ギャグ小説の登場人物が、高所から落下して死ぬものか。さっさと行くぞー」


 クーアはシアンとキトリを呼び寄せ、廃工場の中に入った。




 ベルリアを攻撃していたゴガツは、外の騒動を察して出入り口の方を振り向いた。


「何か音がしたけど……あんた、見てきなさい」


「了解です」


 ゴガツの命令を受けた部下は、いざと言う時のための武器を手にして出入り口へ向かった。次の瞬間、大きな爆発音とともに扉が部下に向かって吹き飛び、激突した。


「なっ……何だ!」


「近くで工事をやっているのか?」


「いやァァァァァァァァァァ! 爆発だァァァァァァァァァァ! 怖いよゴガツ様ァァァァァァァァァァ!」


 慌てる部下を鎮め、ゴガツは前を見た。そこには、シアンたちが立っていた。


「あんた、何を考えているかはこの際どーでもいいわ。ぼっこぼこにされる前に謝ることをおススメするわよ」


 シアンがこう言うと、ゴガツは笑みを浮かべて言葉を返した。


「私が謝る? あんたらに悪いことをした覚えはないのに、頭を下げることなんてしないわよ」


「わらわたちにじゃないぞ。ベルリアに頭を下げるのじゃ」


 クーアの言葉を聞き、ゴガツは笑い始めた。


「あんな奴に頭を下げることなんてしたくないわねェ! 上にいるのはこの私! この私なのだから!」


「あなたが上? 私から見たら、あなたは変態共を従えている変態野郎のトップにしか見えないけど」


 と、見下すような目でキトリはこう言った。シアンたちの言葉を聞き、苛立ったゴガツは部下に向かって叫んだ。


「あんたら、勇者パーティーを半殺しにしなさい!」


 ゴガツの命令を聞いた部下たちは、ゴガツの方に向かって土下座した。


「すみません。それだけは勘弁してください」


「俺たちが勇者パーティーを倒せると思っているんですか?」


「あいつらは剣と魔力を武器に戦っています。我々の武器はその辺に落ちていた鉄パイプ。それじゃあ勝てるわけがございません」


「帰っていいですか?」


 部下の情けない言葉を聞き、ゴガツの額に青筋が浮かんだ。だが、あることを思いついたゴガツはパンツを脱ぎ、しゃがんだ。


「頑張ればもっと足を広げるかもよ? お望みであれば……上もサービスするわよ」


 ゴガツのギリギリで際どいポーズを見た部下たちは激しく興奮し、シアンたちに向かって走り出した。あまりにもバカバカしい光景を見たシアンは呆れた表情をして呟いた。


「あんな安っぽいお色気でやる気が出るって……単純な連中ね」


「呆れとる場合じゃないぞ。あいつらが襲ってくる」


 クーアはあくびをしながらこう言った。その直後、鉄パイプを持った部下がクーアに向かって攻撃を仕掛けたが、クーアは小さな風の刃を放ち、鉄パイプを切り落とした。


「あ……ありゃ? 俺の武器が」


「そんなもんでわらわに勝てるわけがないじゃろが」


 クーアは部下の股間に向かって、思いっきり早く左足を上げた。急所に蹴りが命中したことにより、その部下は股間を抑えながら地面に倒れ、悶絶した。


「ひ……ひでぇ」


「俺たち男の急所をためらいもなく攻撃するとは……」


「こいつら人間じゃねぇ!」


 動揺する部下たちだったが、ゴガツは制服を脱いで下着を見せ、ブラのホックを外した。


「あーん。これでもーっと本気を出してー」


 ゴガツの手ブラを見た部下たちは鼻血を出し、やる気になった。


「よーし! お前ら、協力してこいつらをぶっ倒すぞー!」


「えいえいおー!」


 ゴガツの部下たちは、一斉にシアンたちに襲い掛かった。だが、近くにいたキトリに目も心も奪われた。


「かわいいロリっ子めっけ!」


「ぶっひィィィィィ! 興奮するゥゥゥゥゥ!」


「ペロペロさせてェェェェェ!」


 再び自身を見て興奮する変態野郎たちを見たキトリは、顔を青く染めながら強い魔力を開放した。


「いやァァァァァァァァァァ! こっちこないでェェェェェェェェェェ!」


 キトリの叫び声をとともに、強い魔力が放たれた。




 廃工場の近くに到着したベーキウたちだったが、天井が爆発した音を聞いて立ち止まった。


「もう戦いが始まってる」


「あの人たち……手加減してくれてるのかな?」


 アルムの言葉を聞き、ベーキウは少し不安になった。その時、アグレリオが何かを見つけた。


「あの、変な鉄の物体が近付いてくるんですけど」


「鉄の物体? ああ、車のことか」


 ジャオウがそう言うと、突如現れた車はベーキウたちの近くで停まった。車の窓が下に下がると、車内にはオーガツカが乗っていた。


「オーガツカ先生! どうしてここへ?」


「ゴガツの奴がまた悪さをしたって聞いてな。あそこの廃工場がゴガツの隠れ家なんだ」


「本当にバカな子ですよあの子は! 腐ったミカンって言われてもしょうがないってレベルですよ!」


 と、オーガツカの横に座っていたゴールドエイトが泣き叫んだ。何故か泣いているゴールドエイトを見て、不安に思ったレリルがベーキウに尋ねた。


「あの人、どうして泣いてるの?」


「俺も分からん。感情が不安定なんだろう……多分」


 ベーキウとレリルが話をしていると、何かを見つけたアルムが驚きの声を上げた。アルムの声を聞いたベーキウたちは周囲を見回し、予想外の物が近付いてくることを察して驚きの声を上げた。


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