捕まったベルリア
ゴガツたちが何かをすると考え、キトリはゴガツたちを追いかけていた。その途中でゴガツたちがベルリアを捕まえ、どこかへ去って行く光景を目の当たりにした。
あいつら、一体何を考えているの?
そう思いつつ、キトリは尾行を続けていた。そんな中、ベーキウから連絡が入った。
「キトリ、今どこにいるんだ?」
「町の中。ゴガツたちがベルリアを捕まえて走っているわ。私はこのままあいつらを追いかける」
「気を付けてくれ。キトリの戦闘力なら問題ないが、あいつらのようなバカは何をするか分からないから」
「心配してくれてありがとう。それじゃ、あとで」
キトリはそう言って、通話を終えた。
連絡を終えたベーキウは、シアンとクーアの方を見てこう言った。
「俺、アグレリオに話をしてくる。ジャオウたちもいるけど……あいつらのことだし、なんだかんだ言ってあいつらも協力しそうだからな」
話を聞いたシアンは、首を横に振ってこう言った。
「アグレリオに話をするのはババアに任せましょう。ベーキウは私と二人であいつらを……」
「ちょっと待てい」
クーアはシアンの両頬を掴み、力を込めた。
「お前、どさくさに紛れてベーキウと二人っきりになろうとしているじゃろ? そんな浅はかな考え、お見通しじゃ」
クーアの言葉を聞いたシアンは舌打ちをし、クーアを睨んだ。
「クソが。それよりも早くあんたはアグレリオに話をしてきなさいよ。このままだとベルリアがあいつらに何をされるか分からないわ」
「このままだとベーキウがお前に何をされるか分からんじゃろうが! ベーキウのことはわらわに任せて、お前は早くアグレリオに話をしてくるのじゃ!」
この後、シアンとクーアは互いを睨み、互いの腕を強く握った。
「あんた……このパーティーのリーダーは私よ? リーダーの言うことを聞けないのかしら?」
「年長者のわらわが一番偉いんじゃ。十八年しか生きていない尻の青い小娘が生意気なこと言ってんじゃねーぞ」
「面倒ね、やっぱりここは……」
「戦って決めるのが一番じゃ」
「じゃ、俺はアグレリオに話をしてくるから!」
と言って、ベーキウは走ってアグレリオの元へ向かった。残されたシアンとクーアは去って行くベーキウを見た後、ため息を吐いてキトリの元へ向かった。
キトリが到着したのは、町の外れにある廃工場だった。ゴガツ一派が廃工場に入る光景を見たキトリは、物陰に隠れながら周囲を見回した。入り口前には、ゴガツの部下が二人立っていたのだ。
「見張りってわけね」
キトリはそう呟き、次の行動を考えた。ゴガツ程度の強さならキトリ一人であっという間に蹴散らすことができる。だが、相手はキトリに発情した変態野郎。自分を見て発情した変態を見たキトリは、若干トラウマを抱えてしまったのだ。あんな変態と戦うのは勘弁と思っていると、シアンとクーアがやってきた。
「無事の用……まぁ、あんたのことだからあんな雑魚に倒されるわけがないけど」
「一人で攻め込まないのか? 話の展開を考えていたのか?」
「そんなメタなことを考えてないわよ。あいつら、私を見て発情したでしょ? それが怖くて……」
キトリの発言を聞き、シアンは呆れた表情になった。
「確かにね。キトリがあそこに突っ込んだら連中は発情するわね」
「あんな奴らを相手にしたら、トラウマになるのも当然じゃのー。じゃが、あいつらと戦うことになるかもしれんぞ」
「その時は腹をくくるわ。それより、ベーキウは?」
キトリにこう言われたシアンは、少し考えてこう言った。
「アグレリオの元に向かったわ。アグレリオなら助けに……」
「アグレリオが町に向かったら、大変なことになるんじゃない?」
キトリの言葉を聞いたシアンは、アッとした表情になった。
ベーキウはアグレリオの元へ向かい、ベルリアがさらわれたことを伝えた。話を聞いたアグレリオは立ち上がり、ベーキウに近付いた。
「助けに行こう! 私も行く!」
この言葉を聞いたアルムは、急いでアグレリオに近付いた。
「アグレリオさん! あなたが町に向かったら騒動になりますよ!」
「だが、このままだとベルリアが何をされるか分からない!」
「シアンたちがすでにベルリアをさらったゴガツの元へ向かっています」
ベーキウの一言を聞いたアグレリオは、少し考えてこう聞いた。
「ゴガツって?」
「変な格好であなたを誘惑した変な女の子です」
「あの不審者か……」
アグレリオはゴガツとの遭遇を思い出し、ため息を吐いた。
「あの子は一体何を考えているんだ?」
「自分の欲のことしか考えていないみたいです。それよりも、俺は今すぐシアンたちの元へ向かうけど……」
「俺たちも行くぞ」
ジャオウの言葉を聞き、ベーキウは頷いた。
「やっぱりな。シアンたちは多分キトリと合流していると思うから、急ごう」
「それよりも、私も……」
同行しようとするアグレリオを見て、ベーキウとジャオウは困った表情をした。だが、何かを持ったレリルが笑みを浮かべてこう言った。
「だったら変装したらいいじゃない! 話を聞いたすぐ、変装用の衣装を作ったのよ!」
「衣装? お前作れるのか?」
レリルの話を聞いたジャオウは、感心した様子でこう言った。レリルの手には黒いコートのような服があり、サイズもアグレリオが着ても問題ないように見えた。
「さぁ、これを羽織りなさい! これを羽織ればモンスターだって分からないと思うから!」
「そうか……君を信じよう」
アグレリオはレリルが即興で作ったコートを羽織り、ベーキウを見た。
「急ごう。今すぐにベルリアを助けに行こう!」
「はい!」
その後、ベーキウたちは森を抜け、急いでシアンたちと合流を目指した。
倉庫内。天井からぶら下がる鎖で両手を封じられたベルリアは、自身を見上げているゴガツを睨んでいた。
「あんた、何を考えているのよ?」
ベルリアの質問を聞き、ゴガツは高笑いしながら答えた。
「特別に教えてあげるわ。私はあんたをどうやって痛めつけるか考えているのよ」
「だったら直接私と喧嘩すればいいじゃないの」
「あんたと真っ向勝負して勝てるわけないじゃない!」
「弱いってこと、認めるのね……」
答えを聞いたベルリアは、呆れたようにため息を吐いた。その顔が気に食わなかったゴガツは、手にしている鞭を振るった。鞭はベルリアの体に命中し、大きな音を鳴らした。
「あぐっ!」
「そんな顔をしないで。私のことをバカにしたら、あんたの体をズタズタにするわよ」
「ふん。あんたみたいな性根の腐ったバカの言うことなんて、聞くと思っているの?」
と言って、ベルリアはゴガツを見下すようにこう言った。態度、口調、何もかもが気に食わないゴガツは怒り狂い、何度も鞭でベルリアに攻撃をした。
「私は! あんたの存在が気に食わないのよ! 何でもかんでも私が一番なのにッ! あんたは人気も実力も私の上を行く! 努力も何もしていないそんな奴に、負けるのが一番嫌なのよ!」
「いろんな面で私に劣っている? 劣等感を感じるなら、もっと努力をした方がいいんじゃないの?」
「グッ! 生意気なことを言うな!」
ゴガツは力を込めて鞭を振るい、ベルリアの体に当てた。強い衝撃で、ベルリアの制服が破けてしまった。ちらりと見える肌と下着の一部分を見たゴガツの手下は、生唾を飲み込んだ。
「うわ……ちょっとずつエッチな気分になってきたぞ」
「このままゴガツ様が攻撃を続けたら、すっぽんぽんになるんじゃないか?」
「そりゃーいい。がんばれゴガツ様! サービスシーンになるかどうかは、あなたの手にかかっています!」
バカな理由で盛り上がった自身の部下を見て、ゴガツは鞭を下に叩きつけた。
「バカなことを言ってんじゃないわよ! こんなシリアスな場面で言うセリフじゃないでしょうがァァァァァァァァァァ!」
ゴガツは大声で部下に向かって叫んだ。その様子を見たベルリアは、呆れて再び見下すような目でゴガツを見ていた。
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