回りくどいやり方なんて止めとけ止めとけ
ゴガツは無性に腹が立っていた。アグレリオを亡き者にしてベルリアを泣かせてやろうと、なかなかな陰湿で嫌なことを考えていた。だが、悪い奴の願いは叶わない。アグレリオを倒す作戦は大失敗に終わってしまった。
翌日、ゴガツはものすごい不機嫌な顔で教室に入った。ゴガツの顔を見たクラスメイトらは、教室の隅に集まってこそこそと話を始めた。
「ゴガツの奴、めっちゃ不機嫌な顔をしてるな」
「そーだな。まぁ、何かバカなことを考えて、大失敗に終わったんだろう。まぁ、いつものことだよ」
「いい加減自分がバカだって気付かないのか、あいつは?」
クラスメイトらが話をしていると、鬼のような形相のゴガツが近付いていた。ゴガツの接近に気付いたクラスメイトらは悲鳴を上げ、その場から走って逃げて行った。ゴガツの部下は急いでゴガツに近付き、小声でこう言った。
「ゴガツ様、顔が怖いです。いつものかわいらしいお顔に戻ってください」
「うっさいわねー。こっちはなかなかベルリアに嫌がらせが通じなくて腹が立ってんのよ! 一発殴らせろ!」
と言って、ゴガツは部下の腹を殴った。部下はありがとうございますと悲鳴を上げ、その場で倒れた。その後、ゴガツはふんぞり返りながら椅子に座り、荒く息を吐いていた。
「あーイライラするー。どうしたらベルリアの奴をぎゃふんと言わせることができるのかしらねー」
「じゃあこれをお使いください」
部下の一人がノートを持ってやってきた。ノートを見ると、そこにはぎゃふんと書かれていた。
「それをベルリアに呼んでと言わせれば、ぎゃふんとあいつは言うでしょう」
「確かにそう言うでしょうね。でもね、そういう風に言わせたいんじゃねーんだよこのバカ野郎がァァァァァァァァァァ!」
怒り狂ったベルリアは部下に飛びかかり、パイルドライバーや四の字固め、スクリュードライバーなどの技を放った。そんな光景を見ていた部下が、ゴガツに近付いてこう言った。
「回りくどいやり方は止めて、いっそのことベルリアに対して総攻撃を仕掛ければいいのではないでしょうか?」
「総攻撃? それもそうね。でも、策も練らないと奴に返り討ちにされるわ」
「だったらいい方法といい場所があります」
ゴガツは部下と話し、悪人のような笑みを浮かべた。
「あんたもなかなかのワルねー」
「ゴガツ様ほどではありません。では、今日の放課後、作戦を実行いたしますか?」
「いたしますいたします。さっさとあいつをぶっ倒すのよ!」
悪い作戦を考えたゴガツは、高らかに笑った。
その日の放課後、授業を終えたシアンたちはあくびをしながら廊下を歩いていた。
「あー、出番ほしー」
「わらわもじゃー」
メタ的なことを言ったシアンとクーアに対し、キトリは呆れてこう言った。
「そういうこと言わないの。それよりも、今後のことを考えないと」
「そーねー」
キトリの言葉を聞き、シアンはため息を吐いた。自然のエメラルドを手にするためにモンスターというかアグレリオを倒す約束をしたシアンたち。だが、いろいろあってアグレリオを倒すことを流している状況なのだ。何が何としても自然のエメラルドを手にしたいとシアンは考えた。そんな中、猛スピードで走るゴガツとその部下たちと遭遇した。
「あ! あんたら廊下を走っちゃいけませんって言われてるのに!」
「うっさいわねちんちくりん! 誰があんたみたいなちんちくりんの言うことなんて聞くもんですかっての!」
ゴガツの言葉を聞き、シアンの額に青筋が浮かんだ。それを見たクーアは爆笑し、腹を抑えていた。
「ひーひー、ちんちくりんって言われたのーお前。まぁ、真実じゃからしょうがないって言えばしょうがないけどなー」
「うるさい! 黙れババア!」
シアンは怒り叫びながらクーアに向かって回転蹴りを放ち、クーアの顔を壁に沈めた。走り去ったゴガツたちを見たキトリは嫌な予感がし、喧嘩を始めたバカ二人にこう言った。
「私、後を追ってみる。あんたらは喧嘩してないで職員室にいるベーキウを呼びに行って!」
キトリの言葉を聞いたバカ二人は、すぐに喧嘩を止めて職員室に向かおうとした。だが、シアンとクーアはにらみ合いを始めた。
「おい、私がベーキウを呼びに行くからあんたはキトリと一緒に行動しなさい」
「わらわが行く。ここは年長者に任せるのじゃ」
「あんた、普段はババア扱いされるの嫌がるくせに、こういう時だけ年長者とかほざいてんじゃないわよ」
「実際年長者じゃろうが。経験が浅く、尻も青いちんちくりんはあの変態共の後を追え」
「数十年部屋に引きこもって野郎が(アッー!)するゲームをやっていたクソババアが偉そうに命令するんじゃないわよ! このパーティーのリーダーは私よ!」
「お前みたいなちんちくりんがリーダーじゃと? 年長者のわらわがリーダーじゃろうが!」
「あんたみたいなのがリーダーだったら、とっくにこのパーティーは崩壊してるわ!」
「何じゃとー!」
喧嘩を再び始めそうになったバカ二人を見たキトリは、魔力を開放してバカ二人を睨んだ。
「さっさと行け」
「はい、すみません」
シアンとクーアはキトリに向かって頭を下げた後、猛スピードで職員室に向かって走って行った。
一方その頃、ベルリアは学校の外を歩いていた。アグレリオと会うため、少し化粧をしようと考えていながら歩いていると、前からゴガツたちが走ってきた。
あいつら、また私に用があるの? 面倒だな。
心の中でベルリアはそう思い、近付いてもスルーしようと考えた。だが、部下の一人がベルリアに近付き、スプレーを噴射した。
「あぐっ! な……何を!」
「今に分かりますわよー」
笑みを浮かべるゴガツを睨み、ベルリアはヨーヨーを手にした。だが、突如ベルリアの
視界が歪んだ。
「あれ……体の力が……」
ベルリアは気を失い、その場で倒れてしまった。部下の一人は気を失ったベルリアを抱え、ゴガツの方を見て笑みを浮かべた。
「ほーほっほ! 作戦通り! 後は目的の場所へ行くのみ! 急ぐのよお前ら!」
「あいあいさー!」
ゴガツの部下たちは大声を上げ、どこかへ去ってしまった。その時、近くのコンビニで買い物をしていたベルリアのクラスメイトが、この光景を目撃していた。
「あわわ……どうしましょう。ベルリア様が捕まってしまったわ!」
「落ち着いて素数を数えるのよ! えーっと、確か……114514」
「そこから始まるんじゃありません! とにかく、頼れる人に連絡を……」
「頼れる人なら、私たちのクラスにいるではありませんか!」
クラスメイトはそう言うと、急いでスマホを取り出し、シアンのスマホに電話をかけた。
職員室。ゴガツたちがまたバカなことを考えていることを知ったベーキウは、ため息を吐いた。
「あいつら、何を考えているのか分からないけど……まぁ、何かするんだったら止めた方がいいな」
「キトリが後を追いかけているけど……連絡がないわねー」
「見失ったかもしれんの」
話をしていると、シアンのスマホから着信音が鳴った。シアンは急いでスマホを取り出し、電話に出た。
「もしもし?」
「シアンさん! 大変です! ゴガツとその不愉快な仲間たちがベルリア様を捕まえて、どこかに去ってしまいました!」
「えええええ! ちょっと待って! 今、ベーキウたちもいるから!」
その後、ベーキウたちはクラスメイトから詳しい話を聞いた。話を聞いたベーキウはすぐにゴガツたちを追いかけているキトリに連絡を始め、シアンとクーアは軽くストレッチを始めた。
「あいつらが何をするか知らないけど……」
「騒動が起きそうじゃの」
そう話をした後、ベーキウたちは急いで職員室から出て行った。
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